24話 久々の登校は緊張する
ドラマの撮影も順調に進み放送は第二話を終えたところだ。俺はドラマが放送されてから初めての登校日を迎えていた。
「ハルー起きてるー?今日学校行くんでしょ?」
今日も例によって栞ちゃんが朝起こしに来てくれる。一週間と少し学校に行っていないのには撮影が忙しかったというのも本当だが、学校から芸能活動を学外活動として単位にしてくれると言われているからサボったというのもある。
正直今日も行くのが面倒という気持ちもあるが、由希ちゃんからおそらく一緒に行きたいという主旨であろうメッセージを受け取ってしまったからな、仕事もない今日ことだったしこれは行かなければならない。
「今日もありがとうね、栞ちゃん。んーそろそろ準備するかあ!」
俺がベッドから出ると栞が何かを取ってきて駆け寄ってくる。
「はい!これでいつものやつお願いね!」
そう言って俺に黒縁のメガネを差し出す。最近栞はよく俺にメガネをかけさせるのにはまってるらしい。まぁそれだけドラマにはまってくれてると考えると嬉しいけどね。
「これでいい?でも俺のメインの回ってまだ先だけど九条役そんなにいい感じかな?嬉しいよ!」
「え!メイン回やっぱりあるの!?私はあのオフショット動画の九条の日常に密着!みたいなやつ見てハマったんだけど…メイン回ちょー楽しみ!」
事務所で撮ったオフショットが大好評だったらしくドラマの公式でも俺を特集してくれたものをアップしたらしい。なんか俺自体より九条隼人っていう役の方を栞が気に入ってるのは若干複雑だが海斗派とかじゃなくて良かった…。
その後も栞からのリクエストに応えつつ朝食を食べたりと準備を終わらせて家を出た。
由希との待ち合わせ場所に向かう先に待っていてくれた。ちなみに今日は遅刻していないです!
「おはよう、ごめんね待たせちゃって。」
「ううん、全然!久しぶりに一緒に登校できるのが楽しみだったから早く来ちゃっただけだよ。そ、それにしてもその格好で来たの…?ファンサ?」
由希が嬉しそうに笑ってくれた後に少しだけ複雑そうな顔で見てくる。俺は由希指摘されて朝栞に言われた通りの格好だったことに気づいた。
「あー…メガネもこれで来ちゃったか…。…これでどう?やっぱりサングラスだよねー!」
「んー…私的には九条っぽくて好きだったけどなあ。やっぱりあの格好だと騒ぎになりそうだからそっちの方がいいね。私も最近やっとサングラスにも慣れてきたよ。」
「ねえ…やっぱりみんな九条役が好きなの?由希ちゃんにはもっと俺として褒めて欲しいんだけど…。」
自分で言っておいて情けないなと思う。けどさあ、複雑なんだよ!
「かわいい…!ハルーごめんね!でも九条がかっこいいってのは結局ハルがかっこいいってことだからね!」
由希はめちゃくちゃ嬉しそうに俺を撫でてくる。明らかに子ども扱いされてるような気もするが嬉しさもあるため複雑な気分だ。
その後も登校中とても褒めてくれるのは嬉しいんだが流石に恥ずかしかったです…。
そんなこんなで登校したわけなんですがいつもと違うことがいくつかあります。まずは誰も話しかけてきません。次は由希ちゃんが学校でも話してくれるようになりこれは嬉しい。
「ねえ、俺って嫌われてないよね?いや確かにここ最近学校来てなかったしさあ…。でも仕事が忙しかったのはほんとなんだよ?そりゃサボった日が絶対ないかって聞かれるとないことはないけどさあ…。」
俺は真剣に悩んでいるのだが二人の視線は相変わらず冷たい。大地は呆れたような視線を、由希は何かを言いずらそうにしている。俺は近くにいた薫くんに相談する。
「薫くん的にはどう思う?俺どうしたらいいかなあ…。」
「遥くんって思ってたよりかわいい人なんだね。みんな緊張してるだけだよ。」
微笑みながら薫くんが教えてくれる。なんでも最初の頃はモデルをやっていたとはいえネット中心でいま話題の!くらいだったし、この学校には芸能活動をしている人もいるから緊張しつつも話したりはできたらしい。しかしなんでもドラマが好評らしく大体の人が見てくれているらしいから急に緊張してるだけなんだとか。
「んーあんまり気にしないで欲しいんだけどなあ…。人気が出るのは嬉しいけどみんなには普通に接して欲しいんだよね、楽しい学校生活ってちょっと憧れるしさ。」
その後薫くんに学くんを含めて適当に話していると少しずつ他のクラスメイトとも話をすることができた。クラスの子たちもドラマの話をしたかったらしく結構盛り上がった。俺と同じクラスで気を遣ってくれているのか分からないが全員が九条隼人派だと聞いた時は苦笑いしかできなかったね。ネットの評判ではまだ海斗派の方が優勢らしい。まぁ主人公だからね…!
そんな中クラスに響さんが訪ねてきた。
「遥くん!久しぶり、ドラマ見てるよー!それにしても全然連絡返してくれないじゃない。結構寂しいんだよ?」
「あーそれに関してはすみません…ついつい忘れちゃうんですよね…。あんまりまめな方じゃなくて。」
風間さんから仕事用とプライベート用でスマホを分けることを提案されてからそうしているが、基本仕事用を持ち歩かないんだよね…。だからそっちで連絡先を教えてる人への連絡は遅れがちだ。いやダメなのはわかってるんだけど仕事の連絡は基本マネージャーの優香さんを通してプライベート用の方にもらっている。由希や大地とか家族もプライベート用に入っているから仕事用ってあんまり意味がないと思うんだよね。
「遊びに誘っても断られちゃうしさあ…たまにはどうかな?仕事が忙しいのは知ってるけど、そっちの幼馴染の子との目撃情報は結構あるんだし。」
「あ、由希ですか?まぁでも由希と会う時間とかも結構ギリギリなんですよー、ドラマが終わるまではなかなか忙しくて。ありがたいことですけどね。」
撮影に加えて宣伝のインタビューとか次の雑誌の話とかもあって忙しいのは本当だ。最近は由希ちゃんと食事するような時間も減ってきてる。俺がいない間に俺の家で栞とテレビ見てるって話は聞いてるけどね…。
「そうじゃなくてさ、私とは会えなくて幼馴染ちゃんとは会えるのって何か特別な理由でもあるのかな?」
うーん困るなあ…。一旦笑って誤魔化そう!
「はは、そっすねー!」
「演技はできるのに誤魔化すのは下手なんだねー。」
手強いな…たいていの人はこれで引いてくれるのに…。
「まぁたしかに由希ちゃんは特別かもしれないですね。あ、でも別に先輩のこと避けてるってわけじゃないですから!忙しいのはほんとなんですよ。」
「んー…じゃあ夏休みはどう?もし予定があったら遊ばない?二人じゃなくて全然いいからさ!」
手を合わせてお願いしてくる。正直シンプルに忙しいだけなのでスケジュール的に問題がなければ全然大丈夫な話である。
「まだスケジュール未定なんで何にも言えないですけど、それでもいいならもちろんいいですよ。」
「ほんと!?ありがとね!楽しみにしてるよ!」
それだけ言い残して響先輩は自分の教室へと帰っていった。
「ってわけでさー響先輩と出かけるってなったらみんな来るでしょ?」
俺は近い席に座っている薫くんと学くんに聞く。
「僕は邪魔じゃないなら行ってみたいかな。遥くんとももっと仲良くなってみたいしさ。」
「俺も興味はあるが、響先輩は緊張するな…。」
んー学くんの方は意外に後ろ向きかあ…。
「大地と由希は行くでしょ?」
俺がそう問いかけると二人とも呆れたような目はしつつも頷いている。
「学くんもすぐには決めなくていいからさ、行けそうなら連絡ちょうだい。まぁ俺もまだスケジュール未定だしね!」
すると由希が伊織さんを連れてきた。
「伊織もいいかな?伊織も来そうだし、私的にもいてくれると嬉しくて。どうかな?」
伊織さんも遠慮がちに尋ねてくる。
「もちろんいいよ。断る理由なんて全然ないもん。よろしくね、伊織さん。あ、予定決まったら連絡したいんだけど由希通せばいいかな?」
「こういう時はねグループ作ればいいんだよ!…いま招待送ったから遥が男子たちを招待してあげて、私が伊織のやつやるからさ。」
グ、グループくらい知ってるよ!と思いつつ作り方は分からなかったので黙って従う。んーそれにしても結構こういうの憧れてたから楽しみだな!
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