★22話 兄の出演するドラマの第一話を兄の幼馴染と見る会
今日はもう一話上がっているのでそちらから読んだもらえると嬉しいです!
栞ちゃん視点からになってます
私宮島栞はかつてないワクワクと緊張を感じていた。というのも今夜は記念すべき兄の初出演ドラマの第一話の放送日であるからだ。ネットではハルくんも出ていた番宣インタビューの回が大バズりしている。ハルが演じる九条隼人推しをヒロインを演じる野村楓さんが公言したことと、プライベートで食事に行くなど仲良しエピソードが放送されたことでドラマの放送前から話題がつきない。
野村楓さんと言えば共演した男性からの誘いを断ったり熱愛が全く出たことがないなどこういうエピソードがないで有名なアイドル女優である。その彼女といま話題のハルがプライベートで親交があるとなればそれだけで大騒ぎである。
「由希ちゃん今日は泊まってくでしょ?お兄ちゃんは今日事務所に泊まるらしいから大丈夫だし。」
ハルくんは今日事務所のみんなと大地くんでドラマの第一話を見るらしい。本人はすごく嫌そうだったが熱量で押し切られていた。
「うん、ありがとうね栞ちゃん!流石にドラマ見た後のハルに会うの緊張するから良かったよ。」
私と由希ちゃんも誘われていたが正直本人がいると集中できないからこうして二人でうちで見てる。お母さんもいるがちゃんと見るつもりがあるのかはわからない。
こうして全ての準備を終わらせてテレビの前で待機しているととうとう放送が始まった。
主人公である山本海斗とヒロインの北村結衣が出会うシーンからストーリーが始まる。ここまでは結構王道だ。やんちゃめな海斗と真面目な結衣が惹かれ合うというストーリーなのだろう。結衣は登校中に不審者に絡まれているところを海斗に助けられる。結衣がお礼を言おうとするとすでに海斗は立ち去っており、結衣はお礼を言えなかったことが少し心残りになる。
「後藤達也ってあんまり好きじゃないけどこういう役はやっぱり似合うよね。まぁやんちゃ系って好みじゃないけど。」
私は由希ちゃんの言葉に何度も頷く。私と由希ちゃんは結構作品やキャラクターの好みが合うから居心地がいい。
場面はヒロインが大学から帰って来るシーンへと変わった。
ちなみにお兄ちゃんが演じる九条隼人は地味だけど成績優秀でスポーツも万能の優等生という役柄だ。
『結衣さん…?やっぱり結衣さんだ!今日早いですね!」
聞き覚えしかない声が部屋に響く。
そしてついにその九条隼人が画面へと映った。
「わー!ほんとに映ってる!てかメガネ似合ってるし!」
私が由希ちゃんの方を見ると私以上に興奮してテレビを見ている。
「ありです…!てかビジュがえぐい…。黒縁メガネで髪下ろしてるのはやばいわあ…こんなの見たら絶対ファンになるよ!」
ここだけ由希ちゃんとの好みが合わない。私は絶対ハルは髪を上げたりしっかりセットしてる時の方がかっこいいと思う。だけど由希ちゃんはこの役みたいに髪を下ろしていたりセットしていない時の感じが好きなんだと言う。もちろんかっこいいなんてのは前提なんだけれどね。
「由希ちゃんってこういうスタイルのハルのこと好きだよね、あの謎の変装ファッションとかさ。私は絶対ちゃんとしてる時の方がかっこいいと思うよ。」
「私だってどっちがかっこいいかって聞かれたらちゃんとしてる時の方がかっこいいと思うよ。けど…このオフ感っていうのかなあ、自然な感じがかわいいんだよね!」
正直あんまり分からない、けどこのメガネは好きだ。それに思ったより演技が上手い。
嬉しそうに子犬みたいな笑顔で結衣の元へと駆け寄って来た。結衣の元へと向かうシーンではあるがこれは視聴者的には完全に自分のところへと来ているような気分になる。
由希ちゃんはすでに顔が赤い。この人は幼馴染なのにお兄ちゃんに弱すぎると思うんだよね。
ドラマの話に戻るが、隼人は結衣にとって近所に住む昔からの知り合いの高校生男子である。あらすじによるとヒロインの結衣に昔から想いを寄せるも結衣は全く意識をしていない。結衣の妹の佳奈とは小中高の同級生である、とのことらしい。
『隼人が帰って来てるってことは佳奈ももう帰って来るのかな?』
『いやー分かんないっす。あいつ高校入ってから冷たくなっちゃって…。まぁ小中も一緒だったんでいい加減にうっとうしいんですかね?』
隼人は苦笑いをしながらそんなことを結衣に話す。
「そんなわけないでしょ!絶対佳奈ちゃんは好きだよ!」
画面の前で由希ちゃんが叫ぶ。さっすが本物の幼馴染は言うことが違うね!と思いつつそれには私も同意だ。
『佳奈が帰ってくるまでうちで待ってたら?いま私しかいないけど退屈じゃなければ。佳奈って素直じゃないけど隼人のことは嫌いなんて思ってないよ。』
『…やめときます。あいつも帰って来て俺が家にいたら嫌だろうし!…でも結衣さんもあんまり誰でも家あげたりしたらダメですからね?』
『隼人くんが家に来るなんて今更じゃない?それに私だって誰でもあげるわけじゃないからね?じゃあまた今度遊びにきてね!』
隼人は少しだけ悲しそうな顔をしたが笑顔で返事をして帰っていく。
「…わーせつないかも。全く男としては見られてないってことだよね?」
私が由希ちゃんに尋ねると由希ちゃんも複雑そうな顔でこちらを見てくる。
「これって私も当てはまってないよね…?なんか複雑なんだけど…。」
少しの沈黙の後私たちは黙ってテレビを見ることにした。
その後一話も終盤に差し掛かり結衣が通う大学の場面になる。結衣がいつものように友達と大学で過ごしていると見覚えのある男性を見かける。思わず彼女はその男性を追いかけて声をかける。そしてその相手が山本海斗であり結衣は彼にあの日のお礼を言うことができた。海斗は結衣の顔を少しの間じっと見つめた後にそっけない返事だけを残して去っていった。
「わー終わっちゃった…。ネットも好評みたいだね、オフショット上がってるしめっちゃ話題になってる。」
ネットで議論の中心になっているのはどっち派かという話題だ。今のところはやや海斗派が多いように見える。まぁハルの出演シーンはまだ少ないもんねー。
「私はもう断然ハル派です!あの年下感にキュンとしました!」
「由希ちゃんはもはや隼人派とかではなくハル派なんだね…。まぁ聞かなくてもわかるけどねー!」
今更になって顔を赤らめているけれど遅い。少し照れたような嬉しそうな表情は私から見ても圧倒的にかわいい。この顔をお兄ちゃんに見せれば一発でいけそうなのに…。
「でも前に楓ちゃんがインタビューで言ってたけど話が進むごとに九条推しになったって言ってたから楽しみだね。由希ちゃん的にはファンが増えるとライバル増えるから大変そうだけどね!」
「明日学校に行くのが怖い…!でもよかったあ遥が今日いなくて。これ見た後に会うのは流石に緊張するよ。」
そんなことを話しているとお母さんが部屋に入ってくる。
「そんなに面白かったのー?録画はしておいたんだけど見るの緊張するのよねー、流石に息子が出てる恋愛ドラマってなると…。そういえばお腹減ってない?二人とも何か食べる?」
「食べるー!ちょうど夜食的なのが欲しかったんだよね!由希ちゃんも食べるでしょ?」
「食べたいです!私もちょっと興奮しすぎてお腹減ってきちゃって…。」
私たちはその後お母さんが作ってくれた軽食を食べながらドラマの感想やハルの最近の話なんかで盛り上がった。久しぶりに女子会!って感じで楽しかったー!
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