11話 好評と大反響
今日ももう一話上げる予定です
写真の撮影を終えてから数日、販売決定のニュースが発表され表紙が公開された。なんでも発売前からかなりの売り上げを見込んでいるとか。そんなに甘い見通しでいいのか?と思いつつも星野さんとの次の撮影も決まりつつあると聞いているからおそらくは大丈夫なんだろう。
そして俺は今日見本を持って由希の家を訪れていた。
「う、うーん…ほんとにいいのかなあ…?き、気になる…けどこれを見てしまったらファンとして許されるのかどうか…」
由希ちゃんはずっと雑誌の見本の前で唸っている。風間さんがお詫びも兼ねてこれを由希に渡してくれとのことだったがなんか葛藤してるな。
「お嬢様開けましょう。開けてください、本人の前で見本版を読める機会なんて今後あるかどうか分かりませんよ。それにこっちから要求するのは許されませんが、向こうから読んでくれと言ってきてますからね。むしろ読まない方が失礼ですよ。」
まぁたしかにここまで悩まれると申し訳ないな。とはいえ別に読まなくても失礼だなんて思わないけど面白いから見守ろう。
「うう…でも何より本人の前で読むのが緊張する…。これを読んでしまったら幼馴染としてではなく芸能人の隼人として見てしまう気がする…。」
その後も10分近く悩み続けている。そろそろ可哀想か?
「由希ちゃん別にこれを読んだからってファン失格だなんてことはないし、俺も初だからむしろ意見を聞きたいんだよね。それこそファンかつ幼馴染としてどう思うかを聞きたいんだ。聞かせてくれないかな?」
「読みます!ありがたく!公式側が認めてるなら問題ないもんね!」
その後二人が目の前で自分の写真を眺めて感想を言うのを眺めるということがなかなかの苦行であったことに気づいた。
二人できゃーきゃー言いながら見るのは可愛いからいいんだけどさ、やっぱり恥ずかしいよね。
それからどれくらいの時間が経ったのかよく分からないが二人は満足したようで感想を話し始めた。そこまで厚いとも言えない雑誌でしかも全部俺が出てるわけじゃないのによくこれだけ長い時間楽しめるなと関心しつつ俺は二人の声を聞き流していた。
「あーまぁ今回のやつは今までよりよく撮れたと自分でも思うよ。星野さんってカメラマンの人が担当してくれてね、すごいいい人でやりやすかったよ。次の撮影の予定ももうすぐ決まるらしいから楽しみにしててね。」
「へ、へえー…。その一応だけど、女の人だよね…?」
「まぁそりゃ男のスタッフさんとかもいなかったし、そもそも数が少ないからね。あ、大地とかは将来的にそういうのも視野に入れてるらしいけど。」
男の人とかも増えたらもっとやりやすいかもな。着替えにくい服とか着せてくれる人もいて欲しいな。あとは男のデザイナーさんも増えてくれるともっと幅広い服とかも生まれるんじゃないかな。
「…変な人とかには気をつけてね!隼人は変に警戒心薄いところあるから!」
「みんなに言われてるから大丈夫だよ。それに俺だって誰にでもこんな感じじゃないんだよ?そりゃ由希といる時とかの感じだと心配かもだけど普段はもっとちゃんとしてるからね。むしろ由希も気をつけてね、変な男も全然いるんだからさ。」
「う、うん気をつけるね。たしかに女の子が被害に遭ったってニュースも結構聞くしね。でも今回の雑誌が発売したら絶対すごいファン増えるだろうなあ。前のやつよりも全然話題だしね。変なファンとかには気をつけた方がいいからね?」
うーん、それはそうだな。最近街を歩いていても前より気付かれてる気がするしな。
「そうですね…いまネットで隼人様のことが記事になっていますが表紙が発表された段階ですが、かなりの反響ですね。前回の雑誌のときはそこまで数が多くはなかったですし海外先行でしたが、今回は初の完全国内制作ですからね。モデルなんかは海外男性に依頼することも多かったですから日本で出てきたとなれば当然の反応ではありますが。」
俺と由希はそう言われてリンさんの差し出したスマホで記事を読む。
和製トップモデルの誕生か?期待の若手モデル九条隼人、ですか…。まぁ俺はスターになりたいわけだしな、こうやって好評な分には嬉しいよ。
正直俺はありがたいとは思いつつも気恥ずかしさもありあまり読む気にはなれなかったが、由希は食いついていたからきっといい記事なんだろうな。
「うう…こんな記事になったらまた人気が加速してしまう…。複雑すぎる…。」
なんだか難しそうな顔をしてるけどほんとにいい記事か?悪口とか書かれてないよね?
「しかしプレッシャーだなあ…。まぁ売れたいって願望がある以上しょうがないんだけどさ。ここまで一気に注目されるとちょっとな…。あ、そういえばリンさんも応援してくれてるんだってね、ありがとう!」
「い、いえそんな…。お嬢様があまりにもファンなもので私も気になったのですよ。むしろお嬢様も明るくなられたのでこちらこそ感謝の気持ちしかありません。」
まぁこうやって応援してくれる人もいるからな!頑張るしかないな!
「は、隼人!私も応援してるからね!当然だけどさ!」
「それはもちろん分かってるよ!由希が応援してくれてなかったから日本じゃ活動してなかったかもだからね。いつもありがとう。」
「あ、うん…!なんかちゃんと言われてると照れるよ…。けど無理はしないでね。隼人からなんかこう弱音みたいなの聞いたことないからさ、溜め込まないようにね?」
うん、優しいな…!こういう優しさがほんとに身に染みますよ。
「隼人様、スマホ鳴ってますよ。仕事の連絡かもしれませんし、出た方がいいのでは?」
リンさんが教えてくれなかったら気付かなかったな。こういうのもちゃんと忘れないようにしないといけないなと思う。
「あ、風間さんだ。ごめんちょっと出るね。」
俺は部屋の外に出て電話に出る。
「はい、もしもし。」
「あ、隼人くん?あのさーほんとに急で悪いんだけどね、今度テレビ出れる?」
お、なんだこの人ほんとに急だぞ?
「えっと…流れを聞いてもいいですか?」
「あのね、まず今回の雑誌がすごく注目されててね、販売もより早まって今週中には出るんだ。それでねまぁ発売後にはなるんだけどさ隼人くんにテレビかもしくは生のイベントに出て欲しいんだ。いま計画案として挙がってるのがバラエティ系のインタビュー番組と雑誌のトークイベントの二つかな。トークイベントが先になると思うけど。もし嫌じゃないならこれに出て欲しいんだけど…大丈夫そう?」
まずトークイベントね…俺できるかな…。テレビもやれそうな気がしないよ、てか俺にインタビューなんてして何になるんだよ!
「もしさ自分にできるかなとか思ってるなら絶対できるからね!」
「いやでも俺喋りとか得意なわけじゃないですよ?それにインタビューなんてされても答えられることがなくて…。」
なんかだんだんと自信無くなってきたな…。
「いま君どこにいるの?」
「由希ちゃんの家ですけど…見本とその感想を聞きに来てて。」
「よし!すぐ変わってくれ!由希ちゃんに!」
ええ…この人俺に仕事の話で連絡してきたんだろ…
俺が由希ちゃんに代わってもらうため部屋のドアを開けると二人がまた雑誌を読んでいるところだった。
「ねえ由希ちゃん風間さんがなんか電話変わって欲しいんだって」
俺がそう声をかけると由希は飛び上がって驚いた様子だった。
「み、見た…?引いてない…?」
「ん?何が?なんかしてたの?」
「いや!見てないなら大丈夫!で、電話ね、すぐ代わりますとも。」
そう言いながら俺のスマホを持ってすぐに風間さんと話し始めた。
「ねえリンさん、さっきって何してたの?」
「これに関しては私とお嬢様の名誉に関わりますのでお教えできません。諦めてください。」
ええ…そう言われると気になるんだよなあ。でも由希ちゃんだけじゃなくリンさんもってなると絶対教えてはくれないよな。
「ねえ隼人!インタビューにトークイベントやるの!?絶対やった方がいいよ!」
わあすごい乗り気だったよこの子。
「でもそんなに自信ないんだよね。どっちも喋る系じゃない、俺そんなに得意じゃないしさ。」
「そんなことないよ!それにみんな隼人が何が好きかとかそういうことを知りたいんだと思うよ。だから無理に面白いことを言って!とかじゃなくてこう趣味とかさ考え方とかそういうのを話せばいいと思うよ。それに一回やってみてダメだったら次は断ればいいだけだもん。ね?どうかな?」
あ、そうなのか…。てっきり俺はなんかこう盛り上げなきゃいけないかと思ったけどそんなこともないのかな?
「…うん、じゃあやってみようかな。ありがとね由希ちゃん。勝手にイメージが先行して自信無くなってたけどお客さん側の要望みたいなのが聞けてちょっと気が楽になったよ。」
「力になれたならよかったよ!ちょっとしゅんとした感じの隼人もなんか新鮮でよかったけどね!あ、風間さんにも連絡しなね?多分そわそわして待ってるからさ。」
あ、そうだ。全然忘れてたよ、けどあの人ほんと急なんだよなあ…。とりあえず電話かけるけどさ!
「あ、もしもし。あの、仕事受けることにします。とりあえず一回挑戦してみようと思って。」
「あ、そう!ありがとうね!やっぱり由希ちゃんにお願いしてよかったよ。詳細についてはさ、こっちで詰めとくからなんか要望とかあればいつでも言ってね!」
「ありがとうございます。トークイベントの方は発売に合わせてって感じですかね?とりあえず心の準備だけしときます。」
「おっけい!お願いね!それじゃ!」
そう言って容赦なく切られた。いやあの人こっち帰ってきてからキャラ変したよね…?
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