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Ch2.7 誰が宿敵か(4)

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 拳をどんどん()()()に固く握りしめていく。しかしそれとは裏腹に柔らかい口調を意識して、僕はおもむろに彼女に話しかける。


「……助けてくれて、ありがとう」

 まだ固い。……悟られるなよ。


「……む? なあにお安い御用よ! ついでじゃ! ついで! ……いやあ新作のゲームが待ち遠しいのお! 早くゲームマーケットに急ぐぞ、ブゥ!」


 わかったわかったと、あの女神をあやすかのようになだめるブゥさん。

 彼らはあからさまに、親密な関係を築いているようだ。……信じたくはない。


 本当に、前回とは性質が変わっているのか。


 正直、彼女の内面をテレパシーで感じ取りたくはない。

 この目で見える情報はまだ目をそらせられる。

 しかし心で感じてしまったものは、もう否定ができなくなってしまう。


 テレパシーを使えば、()()()()()()のために、見てはいけないものを見てしまう。そんな気がする。――ならば。



「――ごめんブゥさん」 足にいっそう力を入れる。


「……なに?」



「なあ女神サマ、僕と、この槍に見覚えはある?」



「んああ? ()()()()()()。知らんわ。……いやまてその槍――」


 ――誰じゃオマエ、だってさ。

 頭の中が、ぶちぎれる音がした。


 瞬時に、両足の力場を解放する。一瞬で、()()までの距離はこれでつぶせた。


 思考が加速しているのか、もう目の前に迫った――クソ女神の表情まではっきりと見える。目を多少見開いて驚いているが、こちらの動きは補足されている。


 このままこのこぶしを振り抜けられるか――?


 強く、痛いほど固く握りしめる拳を、そのまま慣性に乗って振るう――!


「――まずい、自動迎撃魔法が――」

 瞬間、ブゥさんの実際の声なのか、心の声なのか、そんな焦った声が僕の頭の中に響いてきた。


 気付くと視界の端に、女神の周りに水の刃が幾重にも、ものの数瞬で展開されていっている。



 ……知るかぁ! このまま、振り抜けっ――!



 慣性と、力場と、力の限りの思いを込めた僕の一撃はもう半歩手前まで彼女の頬に迫っている。

 

 ――しかし女神の四方を囲む水の刃は、すでに完成されてしまった。

 ブワッ、と一瞬で膨張し、周りのすべてを切り裂き始める――!


 その水の刃は僕の胴体に、今にも届くだろう。


 あと、ほんの少しなんだ。


 ――――――間に合え……!







 ……ズバッ。


 ――――――そして、無情にも響いたのは、四方を切り裂く水の刃の音。


 拳を振り落とす音はいまだ聞こえない。

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