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Ch2.7 誰が宿敵か(2)

「……遠いか」


 ブゥさんがクールにつぶやき、素早く銃を下ろし構えを解く。


換装(カスタマ):ロングバレル」


 そうブゥさんが短く唱えると、下におろした銃の砲身が太く短いものから長めの銃へと変形していく!

 

『――チッ』


 それを見たオゥルが体を翻し、攻めの姿勢から逃げの姿勢へと転ずる。


「――逃がすかよ」


 その手に持った筒の長い銃を軽々と上げ、片手で狙いを定めるブゥさん。


 ドォン、と先ほどよりも大きめの銃声を轟かせたと思ったら、()()()()()()()()()()()()()()


 ……ワーオ。ナイスエイム。

 ブゥさんが強すぎて、もう勝負は決まったかのように思えるぞい。


 ……ていうかさっきから何を飛ばしているんだ? 弾丸がまったく見えない。

 空気砲のように、弾が大きくも見えないのだろうか。


『ク、ソ……!』 気づくと空中でのバランスを失ったのか、ヒュルヒュルと墜落していくオゥル。



「――走るぞ」


 彼が落ちていくであろう墜落地点へと足を急がせる僕たち。


「ブゥさん、それって……」 走りながらあけすけに質問する僕。


「……ん? ああこれが俺の魔法だ。銃製造(オーバーホール)魔弾(ブレット)。使い勝手は、まあ悪くはない」


 オゥルのを除くとこの街で初めて見る魔法だ。……かっちょええ。

 やはりブゥさんや長老ゴブリンも言っていた通り、魔法とはイメージのようだ。個人の思想や願望に強く影響されて顕在するからか、各々が使う魔法すべて独特(ユニーク)なものになるのだろう。


「――オマエさんも使えるんだろう? どんな効果なんだ?」


「僕のは、テレパシーです。意思を伝える魔法かと」


「……ほう。良い魔法じゃねえか。()()()()()()()()魔法っつうのは珍しい」

 

 大切に扱えよ、と会話を終えると同時に、目標を視認する僕たち。


 ハァ、ハァと息が上がっている様子。もう一息だ。


「……観念しろ、オゥル」


 ここは、建物の間の一角、であろうか。狭く、じめじめしていて暗い。


『――ククク、来ましたねぇ……』


 視線の奥で、2坪くらいの空間の狭さの中、なぜか横柄な態度を崩さないオゥルが不敵に笑っている。


()()は移動するのが不得意でね。この場所からは出ていこうとしないのですよ。……存分にあなたたちの目的をはたしなさい』


 ――バリン、バリン、バリンバリン、バリンバリンバリン、バリンバリンバリンバリンバリンバリン――続々と四方の建物の窓ガラスが割れていっている……?!


 上を見ると、窓から血をにじませながら手を突き出し、血走った七色の瞳を持つ、無数のピグモン族が次々と顔をだしてこちらを覗いている。


 

「「「――ブルアアアアアァァアアアア!!!」」」



『――この天才オゥルが、こんな醜い声を上げるわけないじゃないですか』


 彼らの咆哮が響く中、なぜか彼の嘲笑はひどく耳に残った。

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