Ch2.5 デイリークエスト(1)
「――じゃあ私は戻って寝てるね。おやす――」
「チミは何を言うとんじゃい」
素早く逃げそうになるケイを捕まえて掲示板の前に向かう。キミは銀髪だけど銀色のスライムじゃないでしょう。――どれどれ。
「薬草集めに、落し物探し。あと行方不明者捜索と討伐依頼がちらほら。うん。見るからに初級から中級程度の、初心者向けのクエストがそろってるね」
これこそファンタジーゲームライフというか、異世界での冒険の始まり、という感じのクエスト一覧だ。とてもわっかりやすい。クエストを始める前から、どうやって達成したらいいのかがどこか想像できる。
ここをチャプター1にしておけばよかったんじゃない? そうしたらプレイヤーの不満もだいぶ解消されただろうに。
報酬は、えーっと。1ピギーから4ピギーまでだね。ピギーっていうお金の単位の言い方はなんか面白いし可愛い。
――ていうかテレパシー超便利だな。この効果は多分以心伝心のほうではなく、受信のほうだろう。
多分他のプレイヤーたちは片言では会話できるけど、文章を読めはしないのかな。テレパシーで文章を読めるっていうのもおかしな話だが、このスキルによって見たり聞いたりして脳に入ってくる情報は勝手に翻訳されていく。いやあ便利だなあ。
ならばそのスキルのおかげでこれらのクエストを簡単に始められるのは僕の特権だね。
それにクエストという響きはゲーマーにとって魔性の魅力がある。いやはや、楽しみだ!
「じゃあ女将さん、この薬草探しのクエストを受けるねー!」
「あいよー。その草は門を出て少し歩くと見つかると思うよー! まあそのクエストの依頼書とちゃんと見比べるなら見分けられるさー!」
開店準備ももうぼちぼち終わってきたのだろうが、まだまだ忙しそうなのにちゃんとアドバイスまで送ってくれる女将さん。ありがたい。
「はいよー! じゃあ暗くならないうちに行ってくるねー」
そんなこんなで、都市アンダインでの、僕たちのクエストをこなしていく日々が始まったのだった。
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「――どうな様子だ?」
「まだなんとも言えないねえ。まだ子供だし、良い子そうではあるけど、ねえ」
「そうか。……疑わしきはなんとやら、か」
「――何日か見守ってみるよ」
「ありがとうな女将さん、助かるよ」
「警備長もお疲れ様ねえ。女神ちゃんにもよろしくねえ」
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