Ch0.4 親父とスキル談義(1)
キャラが勝手に動き出すので、プロットから大分外れたんですけど、これって小説書く人にとっては普通のことなんでしょうか?? 教えて偉い人
そのおかげで美少女系アイドルヒロインの存在が無かったことになりました。空港で困っているのを主人公がさっそうと助けるシーンとか考えてたんですが、なぜかきづいたらいなくなってました。解せぬ。
出発までの1か月なんてあっという間に過ぎた。
3人で飛行機に乗って日本を発ち、もう1度飛行機で乗りついでカルフォルニアに着く。
途中でミクドナルドに寄って、誰かが上から踏んだのか?って思うくらい潰れたハンバーガーを食べて腹を満たす。
カルフォルニアに着いたらそこからはタクシーに乗って、親父の職場に直行。職場の入り口の車道のゲート前に下ろしてもらい、親父に電話でご一報。
親父は電話に出ないが、ゲートは開いた。入って来いということだろうか。遠くに施設の入り口が見える。
広いゴルフ場のような敷地に、遠めでも広々とした施設と、多くの蓄電池設備が並んで見える。まるで発電施設か、なにかの工場のようだ。しかしその施設の隣には、ロゴマークが付いているガラス張りのモダンな雰囲気な建物が数軒あり、かろうじてここが目的のゲーム会社だと認識できる。
僕たちはその建物に向かって歩きだす。
「いきなり撃ち殺されても文句言えないわね」
誰ともコンタクトを取らず、半ば侵入に近い感覚で施設に入場したので、エミリはいきなり冗談交じりにそんなことを言った。
「ゲーム会社だし、そんな物騒な集団ではないんじゃないか?」
カケルが歩きながら言葉を返す。
「アメリカと言えば、銃でしょ。どんな施設でもそれなりに大きければ、銃武装くらいしているんじゃない?」
エミリが少しステレオタイプなことを言い出してる。いやいや。
「それは、さすがにどうだろう?」
僕は苦笑いしながら言葉を返す。さすがにそんな武装集団というイメージの国ではないと思う。
エミリがこちらを一目見て、話をつづける。
「ワタシ、銃を持つことの正当性をまだあまり理解できていないのよね。だって銃って殺すための道具じゃない。ナイフでも人を殺せるっていうけど、でもナイフには他の用途があるわよね? 料理とか。でも銃は殺すためだけの道具だから、だれかれ構わず持っていいものじゃないと思うのよ。威力と目的性が違いすぎるわ」
目から鱗、とまではいかないが、その考え方には感心した。僕も一度アメリカの友人の家族に連れられて銃を撃ちに行ったことはあるが、確かに威力がすさまじかった。撃った時の音の反響と腕と肩への反動。想像とは違う、銃のリアリティーは経験しないとわからないものだ。
「うーん、正論かもしれないけど、もう銃への意見を変えるのは無理じゃないかな。なんてったって、銃を撃つのは超楽しいし」
そう、楽しいのだ。銃を撃つのは。なんというか快感なのだ。あの反動の重さは癖になる。彼らもその魅力には抗えないのだろう。
「変えるだなんて一言も言ってないわよ。ただ理解できないってだけ」
「銃っていったら、ゲームのほうにも実装されてたよな。レールガンだっけか」とカケルが一言。
「そうね。というか戦闘系スキル、優遇されすぎじゃない?なんというか、もらいすぎよ」
ハーこれだから素人は、と大仰に首を振るエミリ。確かに、戦闘系スキルは、なんというか装備が付いたり能力向上の幅が広かったり、受ける恩恵は多い気がした。
「そうかもな。でも初のフルダイブ型VRゲームで、戦闘も行えるだなんて、すげえよ。それをやっぱり開発側からしたら推したいんじゃないか?」
カケルが少し興奮ぎみに話している。リリース日は延期されてしまったが、そのゲーム体験が目前まで迫っているのだ。気持ちは僕もわかる。
なんて3人で話していたら、モダンな雰囲気の建物の前に到着した。けっこう歩いたなあ。
「入っていいのかしら。もう、暑いわ」
体力の限界が近いのか、エミリも口数が少なくなってきている。
「ちょいまって。もう1回電話してみる」
カケルがエミリに水のボトルを渡している。電話をならす。中をガラス戸ごしに覗いてみると、時々忙しそうに白衣の職員たちが左右に歩き回っている。先ほどは工場に見えると思えたが、中を見るとゲーム会社というよりかは研究所のイメージに近い。
『おー着いたか。ようこそ俺の職場へ。そのまま入って一番近くの部屋が俺の職場だ』
ガラス越しにおぼろげだが近くの一室から半身をのりだして手を振っているヒゲ面で白衣の男性が見える。親父だ。
『はるばる俺の職場へようこそ。色々見せたい面白いものがあるんだ。アキヒト、久しぶりだな』
ガラス戸ごしに見える親父は、早く来いよ、というように大きく手を縦に振っていた。