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Ch0.3 エミリとスキル談義

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「私はカリスマ一択よ」


 ひぐらしがなく夜に、エミリは電話越しに自信満々な様子で言い切った。


「んー。なんで?」


「そんなの当然じゃない。エルフを侍らせるのよ」


 んん? こいつ今なんて言った?



 

 クロキエミリ。同じ高校に通っている同学年の友人だ。


 黒髪ロングで前髪ぱっつん。少し低身長でジト目が特徴的な女子だ。顔は整っているが、野暮ったい眼鏡をつけているので、それを知っている同学年の生徒は少ない。


 自分の容姿を良くみせる努力があまり好きではなく、「ワタシの内面にこそ恋をするべきよ」と一年前はのたまっていた。


 まる一年ぶりの電話越しでの会話となるが、んん?こいつ今なんて言った?

 

 「だぁかぁらぁ、男エルフを侍らせるためよ」


 一体一年で何があったっていうんだ……。正直、ちょっと……。興奮してきたぜ。


 やっぱり僕は、北斗〇拳に出てくる「我が生涯に一片の悔いなし!」と叫びながら死んでいくような奴らが大好きだ。わかりにくいかもしれないけど、なんというか、善人悪人問わず、自分を最後まで持っているようなやつらだ。


 だからこういうことを平気で言うような友達は大好きだぜ!クフフハハ。


「気持ち悪い笑いが漏れ出てるわよ」


「うるせえ。指摘ありがとう」


「どういたしまして。理由には、納得した?」


「まったくしてないけど、努力して理解を示そうとしている。でも無理かもしんない」


「そ。別にどちらでもいいけど。他人の意見なんてカンケ―ないし」


 なにがこの一年であったかなんて、深くは問うまい。失恋でもしたのだろうか。


「別になにもないわよ」


 心を読まれた。


「え?エッちゃんもうすでにテレパシースキル獲得してる?」


「そんなことないけど。ただの予想よ。あなたはそんなに変わっていないよーだし」


 そうなんだろうか。たったの一年。されど一年。人の考えなどうつろなものらしい。


「僕は変わってない、かあ」


「……。ああそういうこと。アイツと会ったのね。そうね。カケルも変わったわね。」


 またもや心を読まれた。というか無意識だったものまで読まれた。ヤメテコワいテレパシー。


「……カケルって、なんかあったの?」


「それワタシに聞く?そんなの本人に聞きなさいよって言いたいけど、ま、いっか。答えてあげる。」


「あ、やっぱりなんかあったんだ」


「いいえ?別になにも無かったわよ。ただ意識が変わったんじゃない?」


 ……。


「ある日突然、もしくは徐々に日常で、自意識に目覚めたんじゃないかしら?あ、これは恥ずかしいことなんだって。思春期だし、当然よね。少し遅めではあるけれど」


「ま、そんなこんなでアイツもヒーロー卒業よ。ちゃんと見送ってやんなさい」


「……。そっか。理解。そういうもんか」


「そういうもんよ」


「……。」

 

「……。」


「もう、いいかしら。チケット、ありがとうね。前向きに検討させてもらうわ」


「うん。」


「今度お礼になんかおごらせてもらうわ。なにがいい?」


「うーんと、そうだなあ……」


 そっから30分ほど談笑して、その日のエミリとの会話は終わった。

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