Ch0.7 僕のスキル選択(2)
『スキル選択画面に移ります』 短いアナウンスが入り、画面が切り替わる。
1.変身魔法_Lv. I DEXを一段階上げる。
‐目の前にある無機物または有機物を自分の姿に転写する。
2.環境適応能力向上_Lv. I DEFを一段階上げる。
‐温度調整、免疫機能向上、空気循環、衝撃耐性。
3.テレパシー(受信)_Lv. I MP+10。
‐相手の話している言語の内容が理解できる。
4.戦闘能力向上_Lv. I ATKを一段階上げる。
‐肉体の瞬間出力向上。レールガンの装備付き。
5.戦闘技能向上_Lv. I AGIを一段階上げる。
‐反応速度向上。ライト正宗武装。
6.カリスマ_Lv. I LUKを一段階上げる。
‐自ら話す言葉に強い指向性を持たせる。
先ほどのステータス画面にも説明はあったが、スキル1つ1つに僕たちプレイヤーのステータスを上げる性能が付いているらしい。これはWEBサイトのほうでは説明がなかった情報だ。レベルⅠとも新たに表示されているが、初期スキルも冒険とともに成長していくということなのかな?
会場では400人のプレイヤーが悩まし気に、しかしどことなく楽しそうにスキル選択を決断しようとしている。
5分ほど経っただろうか。カケルとエミリはそれぞれ戦闘技能向上とカリスマを選択したようだ。
さてここは悩みどころだが、やはり前もって決めておいたスキルを選択しよう。
そう、テレパシーだ。
このスキルを選ぶ理由は、所長と親父がおすすめしてくれたからという理由だけではない。
むしろもう1つの理由である、イマイさんの影響のほうが理由としては強い。
僕は子供のころからイマイさんとは面識があるが、お互いにコミュニケーションをとれるようになったのは意外とつい5年前からだ。
それまで僕たちはお互い目を合わせてボディランゲージだけでコミュニケーションをとってきた。鬼ごっこをしたり、かくれんぼをしたり、普通の子供たちがやるような遊びはしてきたが、お互いに考えをシェアしたりするのはそれまで難しかった。なぜなら言葉が通じないからだ。
しかしある日突然、イマイさんは僕の考えていることがわかるようになったのか、僕の考えに反応するかのような行動をとるようになった。僕が無意識にしたいこと、してほしいことを感じ取って、行動するようになったのだ。
それは不思議な感覚だった。僕がなにか物を取ってほしいなと思ったら、彼女がそれを取ってくれたり、飽きたなと感じたらすぐに今遊んでることをやめるのだ。
そうしてしばらくすると、僕も彼女の考えていることが概念的に理解できるようになった。例えるなら、言葉ではなくイメージで彼女の考えがわかるのだ。その時から彼女はより一層僕に笑顔を見せるようになった。
しかしそのイメージで感覚を共有する期間は意外にもすぐに終わった。なぜならイマイさんがなんと日本語を話せるようになったからだ。話せるといっても、音ではなく脳内に直接言語を伝えるように彼女はコミュニケーションをとる。僕はそんなことできないので、普通に口頭で受け答えするのだが、いまではとても円滑に会話を交わせるようになった。
そう考えると、僕はテレパシーというスキルに対してどこか親和性を持っているのかもしれないと僕は思ったので、このスキルを選択した。この最新VRゲームで、なにか自分の得意分野で戦えるようにしたい。なにせ僕のアドバンテージになるかもしれないのだ。
……そう思うと他の言語にたいして興味を持ったのも、そのイマイさんとの体験が大きい。なぜなら、ぼくは彼女と言葉を交わすことができるようになってから、とてもうれしくそして楽しい毎日を過ごすことができたからだ。こういった経験をぼくはいろんな国の人たちと交わしたくて、語学勉強と留学に励んだのだ。
今回のゲームでも、6つのいろんな士族のゲームキャラクターたちが出てくるはずだ。たとえ彼らがなにか発達したAIのようなものだとしても、彼らの考え方に興味を示すのはなにかゲーム的な恩恵を受けられるだろう。
ピロン、と音が鳴り、スキルを決定する。
『テレパシー(受信)を習得しました。副次効果としてMPの数値を10向上します』
もう後戻りはできない。さあ、僕のテレパシーが火を噴くぜ!
裏設定(2)
脳への深刻なダメージへのセーフティとして、ステータス HP MP の上限を設定。(例:体が爆発四散するような状況に陥った場合、それを察知して事前に爆発四散する前に強制ログアウトさせるため)なお、継続可能な深刻なダメージ、例えば四肢の一つが欠損するなど、そういう場合がおきた場合は、ログアウトを選択することができる。
ログイン時はステータスが完全回復する。
空腹度以外に生理現象はほかにはとくにない。