Ch0.7 僕のスキル選択(1)
今回情報量がとても多いので、この話のまとめはこちら↓
アキヒトは一般人ステータスです。ステに関して秘められた力とかは特にはありません!
よろしくお願いします。(^-^)
とんとん拍子に時は過ぎて二ヶ月後。
「それでは、イマジン・ファンタジーワールドの仕様と今チャプターの達成目標を説明するわね!」
ドン、という効果音の後、砂煙に紛れてわれらが美人所長は腕を組んで登場した。所長が話すたびにうおおおおお!と会場内も盛り上がる。パチパチパチパチ、と拍手も鳴りやまない。……所長の努力が報われている。とても所長が嬉しそうだ。プレゼンのために勝気な表情を保とうとしているが、ニマニマと口元が緩んでいる。僕たちも嬉しいぞ!
今僕たち先行体験者はVRゲーム内のウォッチングルームという場所で、ゲーム開始直前の最終説明を受けている。今この場でライブ配信も行われているようだ。
今の今まで、このゲームの情報はグラフィックの描写や初期スキルの説明くらいしか解禁されていなかった。それを先行プレイ開始直前で一気に発表することで、世論の話題性を高めるのが目的だろう。僕もウキウキが止まらない。
少し長くなるわよ、と所長がゲームの説明を切り出した。
「まずこのゲームの仕様として、このゲームのプレイ時間は現実の90倍まで引き上げられるわ。なので、現実で2時間弱のプレイ時間が、7日間のゲーム体験時間となるわ!」
いきなりぶっ飛んだ情報を放り込んできた。はい?90倍?……科学の力って、スゲー!
会場もノリに流されて情報を整理できていないのか、うおおおお?まぁいっかうおおおお!といった異様な盛り上がりを見せている。
「今はまだ現実の時間と同期してるけど、IFワールドへアクセスできるようになってからはこのウォッチングルームもすぐに時間が引き上げられる予定よ。それと、安全面にもちゃんと気を使っているわ。セーフティとして、ゲーム内で7日間続けてプレイした場合は強制的にログアウトされるの。そしてログアウトした、もしくはせざるを得なかったプレイヤーは現実で7日間のアクセス制限が設けられるわ」
生活リズムや脳の自律神経を保つため、らしいわ。
安心して?と、可愛く所長がウィンクしている。そんなに可愛くウィンクしているくらいだから安全だと信じよう。ゲームなのだから、楽しければなんでもいいのだ。うおおおお!
「そしてIFワールドにはチャプター毎にクリア目標があるわ。今回チャプター1のクリア目標は、一人で2週間生き残ること。そのためには、ゲーム内で2週間ちゃんと飲み食いして、致命的なダメージを負わないことで達成されるわ」
プレイヤー1人で2週間生き残ること。1章はチュートリアルのようなものなのか、日数は長いが条件がゆるい。難しくはなさそうだ。特に目的を持たず、自由に世界を探索してこのオープンワールドVRゲームを楽しんでほしいのだろう。
次にステータスについて説明するわね、と所長が説明を続ける。
「それでは、ステータスオープンとつぶやいてみて!」
「「「ステータスオープン!」」」
400人全員で一斉に言ったので、結構なボリュームとなった。みな逸る気持ちが抑えきれないのか、反応がとても速く、半ば叫ぶように言っている。皆一様に目の前の虚空を見つめだした。
僕も僕の目の前に表示されたステータス画面を見る。
ステータス(数値、ランクともに現実準拠)
モリ アキヒト
HP 生命力 20 空腹ゲージ 0%(MAX100%。100%に近づくにつれ加速度的にHP、MP 共に減少値上昇)
MP マインドポイント 24 (テレパシー所持で+10)
ATK Eランク (戦闘能力向上でDまで引き上げられます)
DEF Eランク (環境適応能力でDまで引き上げられます)
AGI Eランク (戦闘技能向上でDまで引き上げられます)
DEX Eランク (変身魔法所持でDまで引き上げられます)
LUK Eランク (カリスマ所持でDまで引き上げられます)
***括弧内の説明はゲーム開始直後からは省略されます。
このゲームのステータスはやはり現実準拠らしい。前回のVR体験でも自分の体の動きに全く違和感がなかったため、そうではないかと疑ってはいた。……僕のステータスはあきらかに高水準ではなさそうだ。
「ステータスに関しては、書いてある通り現実準拠のステータスとなるわ。簡易的にAからEランクで表示されてるはずよ。ちなみにDはその道のプロレベルで、Cとなるとオリンピック選手レベルになるわ。Bでは優れた野生動物レベル。チーターがAGIでB-ランク、ゴリラがATKでB+ランクといった感じになるわ。Aとなると、もう規格外の存在、といった感じかしら」
……ならば僕は全く持って一般人のステータスということだろうか。全てEランクだ。悲しい。
「……カケルはステータスどんな感じ?」
「んー、基本全部Eランクだな。でもAGIだけDだって」
負けた。なんでキミ素早さはプロレベルなの。どっかの番組でグラサンとスーツで走ってるの?
互いに傷をなめあおうとしたら、僕だけさらに傷を負った。
「ワタシは全部Eランクね。脳からの情報だけでちゃんとステータス量れてるのかしら、このゲーム」
おお、心の友よ。エミリ、キミだけが我が癒しだ。
はいはいホイミホイミと雑に扱われた。ヒドイ。
「……まあみんな初期ステータスは最低ランクが多いでしょうけど、安心して!この世界では経験に応じて初期スキル以外にも色んなスキルを習得することができるわ!そうしたら、ステータスもどんどん上昇するはずよ!」
400人の中の大半のプレイヤーの嘆きを感じ取ったのか、オロオロと少し戸惑った後、励ますように所長がそう言った。
「では気を取り直して、スキル選択画面に移るわ!」
おお、ついにか。待っていたぜェ!! この瞬間をよぉ……!
裏設定(1)
読みづらいので、読み飛ばしていただいても大丈夫です。理解せずともストーリーを追うのに特に問題はありません。
3人のステータスとざっくりな説明+α(補足情報)
それぞれ、主人公 カケル エミリ の順で表示
HP(生命力) 20 29 19
MP (マインドポイント) 24(+10 ※Dランク相当) 20 25
(開発者は60 IQ、EQ、世界の造形への理解力も含まれる)
ATK それぞれEランク
DEF それぞれEランク
AGI カケルだけD+(反応の速さも含まれている)
DEX それぞれEランク (自分の思考・想像を現実に変える能力)
LUK エミリだけD+ (良いかえるとカリスマ。自分の思い通りに世界と他人を動かせる力)
ステータスに関しては、すべて現実準拠のステータスとなるため、簡易的にAからEランクで表示される。Cでオリンピック選手レベル。Dでその道のプロレベルなので、ほとんどのプレイヤーはEランク。Bで優れた野生動物レベル。例:チーターがAGIでB‐ランク(時速100 VS 人間が速くて時速50)。ゴリラがATKでB+(握力平均500 VS 人間が強くて100)
Bからはプラスが付くごとに倍の数字。他はランクが上がるごとに1.5倍の数字。それ以上の数字となると、規格外として、Aランク。
ランク推定にかんしては結構ざっくり。計る基準が多すぎるため。
※ランクに関する数値の説明は、後々変わる可能性があります。まあ難しく考えすぎないようにしています。フィクションですしおすし。