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Ch*.001 プロローグ ****いせかい

 ずっと夢を見ていた。


『だから、悪意は躱しなさい。()()()()()。そうしたら――』


 夢の中で思い思いに悶々としていたら、唐突に鳴り響いてきた記憶。

 なにかを思い出すのは大抵いつも突然だ。

 そうそう、確か――。


 ――――――


 ……んあ?


 お風呂でうたた寝していたら、いきなり水が無くなって強制的に起こされた。

 そんな気分である。


 いや何言っているかワカンネーと思うが、……なんというか、夢に浸っていた。


 その夢では、なんというか、ムチャクチャ強い自分が他の人たちをバッタっバッタとなぎ倒していくのを目の当たりにする――、そんなずいぶんと気分の良い夢の内容であった。


 1つ気になったのは、夢の中で出てきた友人たちがなぜか必死な様子で声を投げかけていたことだ。なんか戻ってこいだとか……うーんだめだワカラン眠い。

 あと、なんか知らんけど二人ともめっちゃ(ツエ)かった。何アイツら漫画の主人公?

 だから多分今見ていたのは、幻想(ゆめ)であったのだろう。あんな一面知らんもんなあ。


 なんとなーくだが、……もしかしたら危ない状況だったのかもしれない。

 お風呂で寝てしまうと危ないとは子供の頃にニュースで見たことがあるし。

 

 うん。ちゃんと安全な所で寝よう。


 そう思い僕は起き上がって、夢うつつなままトボトボと、いつものベッドに向かおうとする。

 けれども、よく見ると何故か自分のベットの上がなにやらよく分からん()()()()()もので散らかっていて、よく分からんがこのまま飛び乗ったら怪我しそうだなと思った。


 そこでふと隣をみると、なんだか()()()()布団が近くにあったので、そこへ目掛けて飛び移ることにした。


 よく踏み込んで、行き先を見据えて飛び込む。

 この飛び方はつい先ほど真っ暗なダンジョンでコツを掴んだのものだ。


 ああ、これでキチンと快眠できる――。



「――あダ?!」


 布団は硬かった。まるで地面のようだ。あごと全身を強打した。おい。


 目を開けると、よく見なくても分かるがモノホンの土である。おい。


 ――いや本物なのか?

 ふと違和感を覚えるが、……いやいや固いし痛いしモノホンやろ。

 寝起きだからか、つい似非関西口調で荒くなってしまうのは何故だろう。


「……イッタイノーほんま。いてこましたるで」


 頭をガシガシと掻いて、気づく。何故か人差し指が土で汚れている。


「なんなんコレ。……バーコード?」


 以心伝心(テレパシー)でなんとなく分かる。これは……座標?

 先ほどまで掌が置いてあった場所に、バーコードのような()()が地面に書かれていた。

 おいもうなんなんだよく分からん。


 ……ていうか以心伝心使えるってことは――。


「ここは……現実じゃない、のか?」


 ならばどこだ。


 見上げると、蒼。

 やけに深く、どんよりと蒼い空が広がって、()()()()()()()


「――は?」

 

 青い空じゃない。……蒼い()


 頭上には大海が広がっている。


 頭の整理が追い付かないまま、ゆっくりと立ち上がる。

 踏みしめているのは土。

 よかった。()()()()()()

 

 しかしおかしい。

 地平線が、見当たらない。


 地面が、地続きじゃない。


 ――()()()()()

 まさか。


 起き掛けだからか、つんのめるやけにゆっくりな足を走らせる。

 近くの()()まできた。


「……おいおい」


 ()()()()()()と炎の渦がとぐろを巻いて、まるで雲のように散開している。

 そして無限の空が、奈落のように下へ、下へどこまでも広がっている。

 


 ――ブォオオオオオオオオオオオオオオオオオン!


 

 突然、汽笛のような馬鹿でかい笛音が僕の耳をつんざく。


 バサリ、バサリとあたりをまるで人間大のワシに囲まれていくような羽音が聞こえてくるようだ。

 いや――現に僕は取り囲まれていっている。

 大量の、鼻の長い羽の生えた男たち――。

 ――天狗? なんで天狗に僕は……。


 天狗たちは黙々と手のひらから魔法を展開させていく。


 ……攻撃されそうになっているんだ?!


 すかさず動き出そうにも、身体がまるで沼に浸かっているかのように鈍い。しかし眼球だけはあたりの情報を収集しようと必死にぐるんぐるんと回りだす。

 

 動転していて気付かなかったが、辺りには骨が散乱している。

 ――様々な形の骨と、人に似た大きさの頭蓋骨が地面に転がっている?


 視界の端に看板を捉える。

 ――流天の処刑場と読み解く。処刑場?


 身体を見ると多量の生傷。――生傷? なんでこんなにボロボロなんだ?

 それに身体が非常に疲れているのはどうしてなんだ?

 まるで長距離マラソンした後に、全力で走り幅跳びをしたかのような――。


 いやまずい、捨て置け。情報よりも今は――。


 命を。


「――緊急回避魔法(エスケイプ)!」


 ――――。



 僕、モリ アキヒトはなんとか歯を食いしばって今でも生き残っている。

 

 魔法こと暴風雨がどこもかしこも吹き荒れている。

 しゃれこうべが風に舞い、水刃こそたおやかに多くの生命を貫き奪おうとし、炎爆によって僕の目と喉が焦がされる。


 まるで紛争の真っ只中にいるかのようだ。

 見るも地獄。進むも、戻るも地獄。まさに死屍累々。


 いきなりこんな情景を見せられても、困惑するよな。


 説明しようにも、……少し待ってくれ! 今忙しいんだ。


 見るからにカオスで、無作法で、無作為に、殺意が満ち満ちている。


 助けを呼んでも誰も助けてなんてくれない。そういうことは前々回に学んだ。


 だけど言わせてくれ。


 誰か。……もしこの景色を見ているのだとしたら、助けてくださぁあい!!



 ――しかしどうやったらこんな極限状態に陥るっていうんだ。現実逃避がてら過去を少し脳内が勝手に過去をさかのぼっていく。

 事の発端は、そう確か――。



 ……()()()考えられるが、発端は、()()()()()()()は――。


 なぜだか直感的に理解する。

 思い出した()()()()()()()()



『――そうしたら、新たな世界と出会えるから』


 しかと理解する。


 拝啓。

 十五(+2)の僕は今異世界に来ています。


 やぁけに前置きの長かった、アキヒト君の異世界転移譚がはっじまっるよ~。


 ……長ぇ! 前奏部分が長すぎるよぉ!

 他の小説じゃ一行で終わらせる異世界転移部分を20万文字近く使ってしまっているアキヒト君の物語でしたが、いかがでしたでしょうか?


 闇鍋と書いてバトロワと読むこの3章は、物語の起承転結で言う転部分でしたが……、筆者的に……いやムズイ、むずすぎる。


 3人視点ムズイよー大変ダタよー。

 3章は全体的に実験的な試みを盛りだくさんにしてしまったので、分かりにくい部分も散見してしまっているのかもしれません。

 また更新も遅れに遅れて……。ほんとにここまで読んでいただきありがとうございました。


 また遅い反応となってしまっていますが、ブックマーク登録に加えて評価の数々、誠に、誠に! ありがとうございます!!!

 みなさんの応援に励まされなんとかここまで書くことができました。

 総PV数もおかげさまで3万を超えました。

 総PV/ユニークアクセスの値で分かる読了率が今3.9となっているので、個人的な目標の4.0には近づいて来ているのも嬉しい点です!


 また最近では、誤字報告も何件か届くようになってきました。ありがとうございます!

 報告を届けてくださった方をお気に入りユーザーにしようと思いつつウキウキと修正を受け入れた途端、そのユーザー名消えてしまって大変心苦しい気分を味わいましたが……、……もっかい!もう1回報告してください! おなしゃす!!!


 これからの予定としては、文章の修正・改善もかねて数話ずつカク読みとアルファポリスに投稿していこうと思っています。

 なので再開は早くとも2ヶ月後とさせて頂きます。

 ただアキヒト君がどういう風に異世界を冒険するのか個人的に興味があるので、早めに再開出来たらな~とは思っています。

 

 みなさんの毎日が楽しいものでありますように願っております。

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