Ch3.9 イマジンとファンタジーワールド(4)
『見てください、この幻想世界の美しさを! またプレイヤーたちもまるで現実に存在しているかのようなリアリティーです』
『いやー、きれいですねぇ。 魔法が花火のように舞う様子も幻想的で素敵ですねぇ』
『今回はバトルロワイヤル形式なので、やはり暴虐的でもありますがね。 奥さんには見せられないような映像かもしれませんね』
『――引き続きイマジン・ファンタジーワールドの期間限定バトルロワイヤルの様子を中継していきます! なんとも予想外なハプニングや波乱万丈な展開が続きましたが、依然首位独走中なのは、……モリ アキヒト選手です!』
――四方から、黒い斬撃が、爆発が、エネルギー波が――魔法は雨あられのように降り注ぐ。
『「……閃光!」』
視界を光で埋め尽くす。
『――フハハァッ! 水鏡!』
四方から迫る魔法をはじき返して他のプレイヤーを殲滅していく。
――先ほどからカウンターへの対処として、エミリが攻撃を一瞬とどめて遅らせている。小癪なやつだ。
そのためフラッシュで標的を見失わせてから、自らぶつかりにいってカウンターを発動させる。
……カウンターを多用するのは、アキヒトに自力が足りないため。
外からのエネルギーを使わなくては、他を殲滅することができないとは。
貧弱な身体とは難儀なものだ。
『まぁそれも一興。存分に楽しませろ』
手を振り、水刃で肉を断つ。
水噴射で攻撃を避ける際、ついでに道行く弱者を足蹴にする。
そのままの勢いで強者に果敢に挑戦し、打ち倒すべく一点集中攻撃。
――手に集めたエネルギーを凝縮させる。
ああこれが久しく忘れていた無双するという感覚。
夢想を楽しめ。
長く、長く溜めていたフラストレーションを――。
――発散。
「「――がッ」」
「うぐ」
「ぐうえええ」
「ッ」
腹に打ち据えた拳から、出所が予測できないであろう波状攻撃。
錐もみ状の水の槍を多方に発射した。
よし。これであらかたは片付いたか。
残るは……。