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Ch3.7 バグ(6)

 転移魔法とは――。

 世界と時空から自分の位相をズラし、自らの行きたい方向へと踏み込んで突き進む魔法だ。

 そのズラせる距離は使用者の意志力の強さによって増減する。


 特に生命の危機の場合、生きたいという強い思いに反応して発動しやすかったりするのかもしれない。

 僕の場合だと、生きる意志と逃げたいという意思が混ざってようやく転移魔法が発動する、……のだと思う。


 しかし本来の使い方は生きたい方向へ、生きていきたい場所を目指すための魔法……だったりするのだろうか。

 ……その本来の使い方こそがナッチョの使い方に近かったのだろうか。


 すべては分からない。


 しかし感覚的に理解する。


 これが真の転移魔法の使い方か。



 ……いや。()()

 もっと。

 もしかしたら、もっと遠くへ――。



『――ついたよ。最深部(ゲストルーム)へようこそ。ま、座って座って』

 


 定まらなかった視界が晴れていく。


 ……全体的に暗いな。

 ここは……。


 ゲストルームというより、モニタリングルーム、じゃないか?


 数千を超えるモニターの数。それらの画面1つ1つにプレイヤーたちの動向が映し出されている。

 その目まぐるしい映像に照らされる3脚の椅子。


「……なにここ。こんな場所知らないわよ」


 目と口を大きく開けて、所長は驚き呆然としている。


『そろそろ、えーっと、ショチョウ? にも声が聞こえだしてくる頃かな。おーい』


「……なんか変な声がこもって聞こえてくる気がする」


 青髪の少年は所長の傍に立って、身振り手振りを交えながら頑張って話しかけている。

 私お化けとか苦手なのよぉ……などとつぶやきながら、傍から見てもいっぱいいっぱいな様子で困惑している所長。一旦放っておこう。


 まずは僕も現状把握をしなくては。


「……えーと。まずキミは一体何者なんだい」


 青髪の少年に話しかけると、彼はこちらへ向き直る。


『……へぇ。その話し方。どこかやっぱりアイツに似てるや。面白いナァ』


 お互い影響しあっているのかナァ、などとつぶやきつつ、僕の方を見ながら遠い目をしている。


『……ああごめんごめん。そうだね。まずは自己紹介と行こうか。我が名はノー、……いやえーっと。あれだ。野口さんだ』


 野口さん。随分と似合わない和風な名前をお持ちらしい。


「……えー野口さん。先ほどはどうも助けていただきありがとうございます」


『いえいえ』


「野口さんは、プレイヤーではないよね。もしかしてデバッカーとかだったり?」


『いえいえ。そんなんじゃないよ』


「……え? じゃあ何だって言うんですか?」 


『管理者だよ。このダンジョンの管理者。あーというより、元々(オリジナル)のこちらの世界にあったダンジョンの管理者だね』

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