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私は今日も仮面を被る

作者: 春さん

短編ですがお許し下さい。

私は産まれてから"私"という存在がわからない。

産まれてからずっと考えていた。


どういう風に人格を演じれば良いのかを。

性格は?性別は?設定は?

私は男女どちらを演じるのか?

男装をして主人公が同情するようなただの物語と化し、主人公に片想いをする。

ただそれだけの存在なんだよ、私は。

自分なんて存在はいらない(・・・・)


いつからか、そう思ってしまうようになった。



自分なんて存在は一回も出すことはなかった。


…いや、一度だけあったか。

産まれてからずっと《活発な少女》という仮面を被っていた私は、

両親に"本当の"私を見せたような気がする。


自分でも"私"という存在がなくなってしまったから覚えていないけれど、

それでも見せたことだけは鮮明に覚えている。


まぁ…両親に《こんなのは私達の娘じゃない!》と言われて翌日から仮面を戻したが。


私は私という存在がわからない。

いや、わからないのではなく"わからなくなった"の方が正しいか。


私は何度も輪廻転生をした。




ある時はとある国の令嬢、


ある時は戦争の孤児、


ある時は全ての反感を買う皇帝、


ある時は男が絶滅危惧種の皇太子、


ある時は魔女や聖女。


数えたらキリがない。



まあ、寿命で死んだり殺されたりして輪廻を何回も何回も何回も転生させられた訳だからもう慣れたっちゃ慣れたが。






男と女、混じりながら仮面を被ってきた。

なぜか死んでからも(・・・・・・)記憶を持って


詳しい原理は知らない。


というか、知りたくもない(・・・・・・・)



ただ、"私"という性別が分かるのは、私が"女"だということだけ(・・)はわかっているから。

男になってもそれは変わらない。

孤児院に行って男だと分かったときも、ちゃんと心では"女"だった。




“輪廻転生?はっ、そんな馬鹿げた話があるか“



誰かはこう言うだろう。

けれど、私が体験してきたものは"現実"であるし、生きているのだ。

私だって馬鹿げていると最初は思った。

だがその思考も何百、何千と転生していればもう慣れるものである。



““私は死ねないのだろうか?““



ふっと、その思考が過る。

いや、わかっていることか。

もう私は"人間"ではない。


ただの永遠の時間()を生きる化け物なのだ。


私は今日も輪廻転生を繰り返す。

ずっとずっとこの地獄を味わうのだ。




君も一緒に来ないか?


楽しい愉しい地獄だぞ、少年。





さて、「少年」とは誰でしょうか?


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