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コロッセオ・プルガトリオ-より良き来世のための死後ライフ  作者: 栗木下
1章:死後の世界

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62:次の決闘の前に-1

「決闘相手が決まっているって……どういうことですか? オニオンさん」

 オニオンさんの言葉に俺もノノさんも驚きの色を隠せなかった。

 いや確かに、これまでの決闘を組む速さを考えたら、事前に決まっている事はおかしくないかもしれないし、『煉獄闘技場』の主ならば俺たちの成長段階を読み切る事も可能ではあるとは思う。

 けれど、これまで公表してこなかったものを急に明らかにする意図はなんだ?

 明らかに何か異常が起きている。


「意味についてはそのままだ。ハリとノノの嬢ちゃんが次に決闘する相手は決まっている。これから暫くハリとノノの嬢ちゃんが鍛え続けたとしてもな」

「つまり、それだけ強い、あるいは何かしらの面倒な能力持ちって事ですか?」

「その件については……流石に喋るなと言う指示が出ているな」

「なるほど。オニオン様の意思ではなくて、『煉獄闘技場』の主様の意思なのですね」

「ま、そう言う事だな」

 いや、異常ではあるが、正常でもあるのか。

 なにせ、『煉獄闘技場』の中で何が許されて、何が許されないのか、そう言ったルールについては、全て『煉獄闘技場』の主が決めている事なのだから。

 『煉獄闘技場』の主が白と言えば、黒でも白になるのだ。

 そして、今回の件は言うまでもなく『煉獄闘技場』の主がやると決めた事なので、完全に問題はないのだろう。


「それで、相手が決まっている事は分かりましたけど、それだけじゃないんですよね。オニオンさん」

「ああ。色々と連絡事項や渡す物があるぞ」

 そう言うとオニオンさんはPSSを取り出して、色々と操作をする。


「一つはこれだな。次の決闘が始まる前に、空いている時間で構わないから、このチケットを切って欲しい。だそうだ」

「チケットですか?」

「えーと……面会チケット、と書いてありますね」

 まず渡されたのは、面会チケットと表面に書かれた、白地の長方形の紙が二枚だった。

 ただ、それ以上の情報は無い。

 誰との面会かも書かれていないし、何処で面会するかや、使い方も書かれてない。

 そしてオニオンさんも誰と面会するかについては知らないらしい。


「次はこれだな。次の決闘相手についてのデータだ」

「えーと、良いんですか? こんなものを貰っても」

「上が問題ないと言っているから、問題ないんだろ。ただ、普通は貰えるものじゃないと言うのは忘れないようにな。後、見るのは後にしてくれ」

「分かりました」

 次に決闘相手に関するデータ。

 オニオンさんのPSSから、俺とノノさんのPSSへとデータが送られてくる。

 まあ、オニオンさんも言う通り、普通は貰えるものではない、と言うのは肝に銘じておくとしよう。

 と言うか、いったいどんなやり取りがあれば、こんなものが渡されるのか……正直に言って怖くなってきた。

 ちなみに、本物であることを示すように、神殿のマークがデータの片隅には入っている。


「三つ目だな」

「「まだあるんですか!?」」

「まだあるんだよ。怖い事にな……」

 そして、まだ何かあるらしい。


「と言う訳で三つ目。色々と条件が付いた100ポイントだな。ちなみに二人でだぞ」

「ひえっ」

「あわわ……」

 ヤバい、プレッシャーがヤバい。

 これまでの流れから送り主の正体についてはなんとなく察しがついたし、面会チケットを使った先に誰が居るのかも分かった。

 だがそれだけに恐ろしい。

 いやだが、まだ希望が無いわけじゃない。


「オニオンさん、色々と条件が付いたとの事ですが、具体的にはどのような条件でしょうか?」

「敬語になってるぞ。ハリ。気持ちは分かるけどよ。で、えーと、条件だったな」

 オニオンさんが再びPSSを操作し……それから答える。


「まず期間は次の決闘相手との決闘が終わるまで」

「はい」

「用途は神殿での利用に限定」

「はい」

「期間終了時に使っていなかったポイント及び、このポイントを使って得た物品と能力の没収。と言う条件が付いているな」

「なるほど。じゃあ、新しい武器や強力な薬を購入して、それを使うことなく終わっても」

「没収だな」

「新しい魔法や、基本の身体能力を上げるような事をしても、期間が終われば」

「没収だ」

「完全にヤバい奴だ……」

「ど、ど、そうしましょうか、ハリさん……」

 はい、希望は潰えました。

 決闘相手のデータが手元にある状態で、決闘相手への対策の為だけに使えと命じられたポイント。

 なんとしてでも勝利しろと言う送り主からの念を感じずにはいられません。


「まあ、どうするもこうするも受け取るしかないんですよね。オニオンさん」

「まあ、そうだな。これが普通の贈り物だったら受け取り拒否と言うのもあるが、今回は上からなんとしてでも渡せと俺は言われているし、たぶんだが、俺が持ち帰ってもいつの間にかお前らの手元にあるパターンだな、これは」

「完全にホラーじゃないですか」

「ある意味ホラーだな。動いている金額と言う意味で」

 一つ救いなのは、送り主がどちらかと言えばノノさんの味方と判定される相手である事だろうか。

 なので、受け取ったとしてもこちらにとって損になる事は無いだろう。

 そして、仮に受け取らなかったとしても、決闘相手が変わる事もないのだろう。


「はぁ。とりあえず受け取ります。そしてまずはデータの方を見させてもらいます。色々と判断するのはそれからで」

「まあ、それが妥当だろうな」

「ううっ、一体どんな相手が待っているんでしょうか……」

 そんなわけで俺はオニオンさんから色々と受け取ると、早速次の決闘相手とやらのデータを見てみた。

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― 新着の感想 ―
[一言] >このポイントを使って得た物品と能力の没収。と言う条件が付いているな ハリ君、いいものがある つ 蛮勇データインストール
[気になる点] 動いている金額…… 金霊かな? (日本古来より伝わる金の精霊達で金の動きを操作して人に財を与えたり、逆に貧乏にさせたりする。良く考えると財政面に限るが文明を裏で支配出来るヤベーやつら…
[一言] 今の状態では手の届かない能力を得て感覚だけでも掴むことができればそれは流石に没収できないでしょうから得できますね でも変に強力な能力をゲットしてしまうと没収後に感覚ズレそう 出来るだけメタ…
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