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83話 本性とか分かっちゃう!? 戦略?協力?陣取り合戦!

【アクアラグーン訓練場・ルーシー視点】


 訓練開始!

 午前中は、基礎訓練、陣取り合戦、各技能訓練(私の場合は、VSジュード団長補佐)。

 午後は、魔力強化訓練。レベル別魔力実習訓練(妖精族や悪魔族による幻術の掛け方や、その防御の仕方。剣や弓矢への魔力の込め方、体術での魔力の使い方。ちなみに私は、幻術の防御と体術の強化班)。


 ようやく普段通りの訓練が始まったが、今日は、なぜか”天使族(おさ)ミカエル様”が、騎士見習訓練に参加している。ジュード団長補佐が、ミカエル様の"騎士になりたい”という意向を汲み、特別参加を認めたらしい。


 大丈夫なのかな……と心配していたけど、ミカエル様は、天使族アイザック、ヤコブ、シルバー、ロマノフをはじめ、ジュアリアン、マリオン、リンデ、ハリー……その類まれなるカリスマ性で騎士見習男子たちと既に打ち解け。和やかで緩い空気の中、基礎訓練は無事終了した。



 [陣取り合戦!5VS5]


 それぞれ5人ずつ黒チーム、赤チームに分かれ、グラウンド中央に引かれた国境線を境に、各サイドに置かれた陣地の旗を先取した方が勝ち。


 主なルールは

 ・陣を守りながら攻め、相手を捕まえ、敵陣の旗を先取する。

 ・相手を全員捕まえても勝ち。

 ・自陣にいる相手チームの人を捕まえる事が出来るが、敵陣では捕まえる事が出来ない。

 ・相手を捕まえた後、一度自陣に戻らなければならない。

 ・捕らえられた仲間を助けた時も、一度自陣に戻らなければならない。解放された者も、一度自陣へ戻らなければならない。

※魔力は使用禁止。各チームカラーのベスト、帽子()()()


 赤と黒に分かれるところが、悪魔の王の城アンフェールの騎士らしくて面白い。

 チーム分けは、くじ引き!


 なのに、よりによってアイザックと一緒になるなんて、最悪!

 しかも1回戦。

 相手はミカエル様率いる黒チーム。


 頭脳と筋肉の精鋭軍団ミカエル様、☆ヤコブ、エズラ、マリオン、バークリック。

 ※☆は、リーダー。


 黒チームのリーダー☆ヤコブ(天使族)は、肩より短い金髪ストレート、水色の瞳。アイザックの親友。賢い細マッチョ。 

 エズラ(悪魔族)は、黒髪坊主頭の赤目の長身(2m)マッチョ。無口だけど、友人のソン君と話しているときは笑顔を見せる。これがなかなかの美青年。マリオンの筋肉仲間。

 マリオン(人間ぽいが妖精族か何かの混血らしい、本人もよくわからないと言っていた)、イケボのマッチョ。見方でいるときは心強いが、敵となると、手の内を知られている分、少々厄介。

 バークリック(妖精族)は、マリオンと同じくらいの筋肉を保持した、短髪青髪に黒目の、(転生前の世界でいうアジア系)イケメン。同じ町出身のアーティット(妖精族、青髪、黒目、めっちゃ筋肉)と似ていて、兄弟のように仲がいい。もちろん、マリオンの筋肉仲間。 


 赤チームは、☆アイザック、ルーシー、ハリー、ロマノフ、クロの5人。

 ☆アイザック(天使族)、”俺がリーダーだ”と立候補。

 ハリー(妖精族)は、深い緑髪のきのこヘアーに青い糸目が特徴の、マリオンの筋肉仲間。

 ロマノフ(天使族)は、サラサラの金髪ショートに金色のクリッとした瞳がかわいらしいアイザックの親友。小柄ですばしっこい。

 クロ(妖精族)は、大柄で緑髪に黒目。頭から何かの芽がいつも生えている、いわゆる天然和み系イケメン。この合宿中に、何度か同じチームになっていて、一見、ぼーっとした感じに見えるが、()()()()()()()タイプ。敵になった際に、何度そのボンヤリとした表情に油断させられた事か!? マリオンが、筋肉仲間にしようとしている。筋肉仲間すごいな。



 「陣取り、スタート!」


 ハント副隊長の掛け声で、陣取り合戦が始まった。

 赤チームの戦術は、”クロくんが、陣の守備。私がおとりになって敵をおびき寄せ、アイザックと、ハリーが迎撃位置で捕獲して、相手人数を確実に減らし、減ったところの隙を突いて、ロマノフか私が突撃して”旗”を取る”という戦法。




 なのに、アイザック……あいつ、真っ先に捕まりやがった。



「ハハハッ、ヤコブの言うとおりだったな。あいつマジでルーと一緒に突っ込んできた」


 国境線を境に笑いながらマリオンが、いい声で私に話しかけてきた。


「読まれてたの!?」

「ハハハっ、二人が来たら、俺がルーを止めて。バークとエズラがアイザックに行くようにって……」

「あー、だから、私とロマノフでやるって言ったのに……」


「さあ、どうする?」

 余裕の表情でマリオンが嬉しそうに首をかしげて笑った。


「どうもしないよ、あっ!」


 ロマノフが動いたのが見え、瞬時にマリオンの脇を駆け抜け、黒陣地へダッシュした。

 ロマノフの誘導で、バークリックをハリーが確保し、これで4VS4!


 よし!


 ロマノフの攪乱により、エズラと、陣を守っていたヤコブが動いた。

 スピードを上げ、追いかけてくるマリオンを引き離し、大きく回り込みながら黒陣地へ狙いを定める。

 残るは、ミカエル様だ! 



バッ!


 そのミカエル様が陣の前で両手を広げた。

 

「友を助けに来たのか!」


 えええっ?


 ミカエル様の後ろでアイザックが、手を伸ばし「ルーシー助けて」と叫んでいる。


「それより”旗”でしょ!」

「そんな! 助けてよ!」アイザックが驚いた顔をした。

「はぁ!!!」


「友のためなら捕まえぬ」

  

 ミカエル様が両手を下し、”どうぞ”と言わんばかりにアイザックへと道を開けた。

 

 助けたくないっ!



「あああああああっ、もうっ!」



 仕方なく、アイザックにタッチし、自陣に一度戻ろうとすると、背後からもの凄い迫力で、エズラとマリオン”ダブル筋肉(マッチョ)”の追撃がきたー!!!


「うわぁぁぁぁぁ!」

「いやぁぁぁぁぁ!」


 と、叫び二手に分かれ、逃げた先にヤコブが……。



 ”ルーシー確保”





「お前ら、なにやってんだ!?」


 遠くでハリーの怒鳴り声が聞こえた。

 本当、なにやってんだろ。




「ルーシーでも、捕まるんだね」


 捕虜となり、黒陣地に片手をタッチしたまま戦況を見守る私に、ミカエル様が嬉しそうに眩しく微笑んだ。


「エリックさんの、天使のささやきにのってしまったせいですよ」

「フフフッ、この私でも役に立ったのですね」

「もう、最強ですよ」

「ルーシーは、大袈裟過ぎます」

「そうですか?」

「はい」

「そうかな。エリックさんには、特別な魅力がありますから」


「私が、特別?」少し驚き、困ったように首を傾けた。


「はい」

「フフフッ、ルーシー、君の方が、ずっと特別じゃないか。王国の騎士で、そして”聖なる光に選ばれし勇者”でもあるんだから」

「そんな……私は、特別じゃないし、勇者になんて…」

「勇者になんて?」


 つい口をついて出てしまった”勇者になんて()()()()()()()()”と言いかけた私に、ミカエル様が柔らかい微笑みを向けながら聞き返してきた。”なりたくなかった”とか、”やめたい”とか、今、口に出したらまずいよね。

 


「ゆ、勇者じゃなかったら、もっと気楽だったのに」



 苦し紛れにつぶやいた後、もしかしたらミカエル様も、私のように、なりたくて”天使界(おさ)”になったんじゃないのかもしれないと、ふと考えてしまった。

 

 その時!


「フフフっ、ルーシーは正直だね」


 ピカーーーーーーーっ!!!(効果音)

 後光? いや、神様とかが昇天するとき天から射し込む()()光!? 

 神々しい光に包まれる(ように見える)ミカエル様の満面の笑みに、思考が止まった。



「え、っと、その、」



 うわあああっ、どうしよう。

 ミカエル様の、クラクラするような眩しさに耐えられず、戦況を見るふりをして、視線を自陣へ向けた。

 顔が暑いっ(汗汗汗汗汗汗)。


 グランドの国境線付近では、ハリーがアイザックになにか指示を出し、ヤコブがそれを見てエズラになにかサインを送ったりしていた。ロマノフがおとりとしてチョロチョロ動き回るも誰も警戒して引っかからず、なかなか戦況は変わらない。



「なんか、静かだね」

「……は、はい」

「それにしても、暇だね」

「はい」

「そういえば、勇者の剣と喧嘩したんだってね」

「何で知ってるんですか!?」

「ウィルが教えてくれました」

「もー、あいつ!」

「仲直りはしたんですか?」

「はい、おかげさまで」

「あと、昨日……


 戦いはしばらく膠着状態が続き、私はミカエル様と黒チームの陣地で、たわいも無い会話をしながらのんびりと戦況を眺めていた。普段だったら、”集中しろ!”とかドSあたりに怒鳴られる状況だけど、ミカエル様に怒鳴る人は、ここにはいない。


 青空には白く大きな雲が浮かび、気持ちのいい爽やかな風が、少し汗をかいた肌を冷やしてくれた。




 戦況が動いたのは、突風が吹き抜けた一瞬だった。



 ザツッ…!


「あっ!」


 風上にいたロマノフが砂を蹴ってエズラにかけ、その隙を突いて前に出た。

 おおっ、かわいい見た目にそぐわず、えぐい手を使うな。

 それを止めようとマリオンが動こうとすると、アイザックとハリーが前に走り出て、わざとマリオンとエズラに捕まった。クロくんが走り出し、クロくんとロマノフの速攻で来ると判断したヤコブが、先手を打とうと赤陣地に真っ直ぐに駆けこんで行くのが見えた。すると、私達の真横の方向から、すごい速さでロマノフが飛び出し、シュッと旗を取り高く掲げた。



「勝者赤チーム!」

 ハント副隊長の声が響いた。



「ロマノフ、速っ!」

「良かった~。作戦成功して~!」(ロマノフ)


 息を切らし汗だくで喜ぶロマノフとハイタッチすると、ミカエル様も両手を挙げて、私たちと嬉しそうにハイタッチした。


+++

 

「エリック様、申し訳ありません。赤チームを勝たせてしまって」


 アイザックとロマノフが、ミカエル様に跪き敬礼した。

 

「そのような気遣いは無用だと言っているではないか! アイザック、そして、ロマノフ見事だったぞ!」

「もったいなきお言葉……」


 パチ、パチ、パチ、パチパチパチパチパチパチ……

 涙を潤ませるアイザックと、頬を赤くして照れ笑いするロマノフの二人に、なぜか拍手が沸き起こった。

 これぞ、ミカエルマジック!


+++

 2回戦


 黒チーム:リンデ、ルイス、☆スカーレット、カイル、ラキ。

 リンデ(妖精族)、ツンツンした緑髪に茶色の瞳の長身の剣士。足が速い。ハリーの親友。

 ルイス(悪魔族)、ふんわりとした短い茶髪の赤目の小柄な美少年。目立たないが、幻術が得意で、手合わせ中、彼の目を直視していたら、眠気を(もよお)した。

 ☆スカーレット先輩(悪魔族、母が天使族らしい)陣取りは苦手。とにかく負けたくない。

 カイル(妖精と悪魔のハーフ)黒髪グレー目の細身の秀才系。下ネタ好き。オウサイ(王犀)君と仲良し。 

 ラキ(妖精と悪魔のハーフ)ツンツンした短髪黒髪、黒と赤のオッドアイ。額に傷があり、常に冷静で物静かな、ミステリアスなイケメン。クロくんと仲良し。 

 そしてこのチーム、全員細身で足が速い。


 赤チーム:シルバー、ジュリアン、ホムラ、☆リク、オウサイ(王犀)。

 シルバー(天使族)、短髪の銀髪に水色の目、ガチムチ。真面目で、アイザックの親友。マリオンの筋肉仲間。

 ジュリアン(人間?妖精の混血?実は、ちゃんと聞いた事ない)、金髪、茶色の目、ポッチャリしていたが、最近痩せてきた。

 ホムラ(悪魔族)、逃げるのが得意! スカーレット先輩には負けたくない。

 ☆リク(悪魔族)、ひとつに結わえた長い銀髪に、鋭い赤い瞳。物静かで、落ち着いている。ルイスとダレンと仲良し。初めの頃、髪型が崩れるとか言って、帽子をかぶるのをめちゃくちゃ嫌がった。みんなは、”リック”と呼んでいる。

 オウサイ(王犀)(妖精族)、褐色の肌にウエーブのかかった肩ぐらいの長さの金髪、緑目の()()()()イケメン。異国情緒漂う名前とその容姿にそぐわない行動が、度々、見習いたちの間で物議を醸している。カイル君と仲良し。よくわからないカイル君の下ネタで笑う。



「陣取り、スタート!」


 リーダー☆スカーレットを先頭に、黒チームが、持ち前の俊足を活かし一気に赤陣地へ攻め込んだ。

 迎え撃つ、☆リクをリーダーとした赤チームも、全員捕縛!と、守りを固める!



「うひょぉぉぉぉぉ~~~~~~~~っ!!!」


「わっ! なに!? 気持ち悪い!!!」


 赤陣地に侵入したスカーレット先輩を、オウサイ君が甲高い雄たけびを発しながら追い始めた。

 これは、作戦なの!?

 かなり足の速いスカーレット先輩に、追いつきそうな勢いで距離を縮めたオウサイ君だったが、いつのまにか国境を越えていることに気づかず、スカーレット先輩に振り向きざまの平手打ちをくらい、確保された。


「顔を()つなんて…」


 半泣きのオウサイ君と共に一旦自陣に戻ったスカーレット先輩の前に、ホムラが立ちはだかった。


「来たわね!」


「今日こそ決着をつけてやる!」


 追いかけてくるスカーレット先輩を、振り切り、(かわ)しながら赤チームのホムラが黒陣地へ徐々に近づいていく。二人の様子を、ハラハラしながら見守っていると。


 パッと、赤陣地の旗が上がった。



「勝者、黒チーム!」


 ハント副隊長と一緒に、審判をしているレイ兄さんの声が聞こえた。



「あ…」ホムラが呆然と自陣を見つめた。


「ふっ、墓穴を掘ったわね」

 これも作戦よと言わんばかりに、スカーレット先輩が嬉しそうに長い銀色の髪をさっと払った。



 戦況は、スカーレット先輩が、オウサイとホムラを引き付けている間に、リンデ、ルイス、カイル、ラキの4人で総攻撃を仕掛けたらしい。スカーレット先輩とホムラの一騎打ちの方に気を取られ、見ていなかった私に、隣に座るマリオンがいい声で説明してくれた。

 そのあと、戻ってきたホムラとスカーレット先輩を含めて、皆で試合観戦をした。


 丁度、後ろのベンチに居たオウサイ君に「あれは作戦なの?」と聞くと、顔を真っ赤にして硬直した。


「こいつ、”弓の先輩”が自分の方に来たから、スゲー喜んじゃって。な、オウサイ」


 隣に座るカイル君が、楽しそうにオウサイ君の背中を叩くと、そっと両手を顔に当て、そのまま固まってしまった。

 そういうことか……と、私とホムラは納得したように顔を見合わせ、そっと背中を向け、スカーレット先輩に目を向けると。


 物凄ーーーく嫌そうな顔でオウサイ君を睨みつけていた。


 「うん、ないな」ホムラが笑った。




 ジュード団長補佐は、朝礼の後、グラウンドの端の木陰のベンチでずっと眠っていて、その隣のベンチでメモを取るブラッド隊長と、ミカエル様の執事のような方が、緊張した面持ちで訓練の様子を見守っていた。ミカエル様は、サミュエル副隊長(メモを取っている)の隣で、なにやら楽しそうに話をしながら陣取り合戦を観戦なさっていて、時折、二人が私の方を見て笑っているので、なんだか凄く気になった。

 陣取り合戦の後は、ジュード団長補佐との手合わせが待っている。休み明けの訛った体でどこまでやれるか、不安ばかりだけど、とにかく、全力を尽くすしかない!

 


+++++

お付き合い頂きありがとうございますm(__)m

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[良い点] 投稿お疲れ様ですm(_ _)m 懐かしいキャラクター達が再登場していて面白いです。 ブックマーク20人突破おめでとうございます!!これからも楽しみにしています。
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