81話 箱入りの天然のイケメン
【王国騎士団専用宿泊所・ウィリアム視点】
バンディ城で”勇者に会いたかった”と言い残し消息を絶ち、アクアラグーンの宿場町にあるルーシーが滞在する宿までやってきた”天使族長ミカエル・キング”。
変装のつもりなのか行商人のフードを被っているけど、スリットから出ている白く発光しているような立派な翼に金髪の長身で白い肌、そして輝く金色の瞳。こいつはただの天使族じゃないって、僕でもなんとなくわかった。
どれだけ我儘で偉そうな奴だと想像してたけど、全然違っていた。
+++
(回想)
ホーリーウッドのカフェから宿泊所に行き、待機しているジュード団長補佐に連絡を入れ、戻る途中。宿 (ホーリーウッド)の方へ向かって走るルーシーを見つけ焦った。
ルーシーが”天使族長ミカエル・キング”に見つかってしまうと、急いで宿に戻ると……あいつは大人のくせにしくしく泣いていて、サミュエル副隊長が、その涙をハンカチで拭っていた。
ええええっ?……何があったの?
「サミュエル、すまない……君のように……なりたくて……すまない」
「な、なんで?」
「……すまない」
涙を拭うサミュエル副隊長に、ミカエルさんは何度も謝っていた。
ミカエルさんは、サミュエル副隊長の昔からの知り合いなのだろうか?
それも、幼馴染のような親密な間柄なのだろうか。
「…………」
ルーシーに会うためにこんなところにまで来るなんて……とか、嫌味の一つでも言ってやろうかと思ってたけど、その涙になんだか拍子抜けしてターナーのパンケーキを黙って食べた。
その後、案の定ルーシーたちと鉢合わせになったけど、ミカエルさんはその権力を行使してルーシーに命令するわけでもなく。近づいてベタベタ触るわけでもなく。ただただ見つめ、ルーシーと目が合うと息が止まったように固まり、赤くなって微笑むだけで……なんか、天使界のトップの荘厳なイメージからだいぶかけ離れた、好きな相手をまともに見ることすらできない、思春期をこじらせた”男子”のようだった。
”全て計算づくで、純粋さを装いながらルーシーを取り込もう"としているのかなって、少し疑ったけど、そういう感じでもない。敢えて言うなら、
ミカエルさんは、天然の箱入り息子!
僕の事を”ウィルお兄様”と変な呼び方で呼ぶし、”レイお兄様””ホムラ嬢”、しかも、スカーレットを”麗しい”とまで言う。サミュエル副隊長が女の子と会話しているのに凄く驚いてるし、多いからって自分が飲んでいる飲み物をサミュエル副隊長にあげようとするなんて、なんか面白くて、思わず僕が助け舟を出しちゃったけどね。
ミカエルさんは、いったい今までどんな生活をしてきたのだろうか。
王国騎士団専用宿泊所も、絶対見たら泣き出すと踏んでいたが。実際は、目を輝やかせて風呂を覗きに行くし、部屋を見て回るときも楽しそうで僕も嬉しくなった。それに、ルーシーの婚約者のイムさんに対しても、嫌悪する様子もなく寧ろ”目をキラキラ”させて「なんと……かっこいい」とまで言い出す始末。
ルーの事が好きでここまで来たのに、この人は何を考えているのだろう。
午前中の雨のせいで部屋が見つからず、アイザックの部屋を借りることになってホッとしたが、アイザックは今晩ルーと同じ宿のマルクス副隊長の部屋に泊まると言っていた。これはこれで、僕としてはあまり落ち着かない。あいつはルーを嫌ってたから、なんか気に入らない。ジュリアンと、虫よけの何とかで、仲良くなってたみたいだけどあいつは……。まあ、あの宿にはレイ兄さんもいるから心配ないか。いざとなったら静かに闇に葬る事だって……。
アイザックを心の片隅で警戒しながら、サミュエル副隊長とミカエルさんと風呂に入った。
ミカエルさんは白くてひょろひょろしていて、騎士になるなんて到底無理そうな身体つきをしていた。サミュエル副隊長の傷を、気の毒そうに見つめて「痛かっただろ」とか言っているが……いやいや、僕からすれば、その身体で騎士になろうとしてるミカエルさんの方が気の毒に思えた。一緒に湯船につかるマリオンにも、ミカエルさんは丁寧に挨拶するし、彼ら(+ジュリアン)から語られるルーシーやホムラ、スカーレットの話を、興味津々に楽しそうに聞いていた。
天使族長という地位を放棄してまで、妹ルーシーを追いかけ、こんな所にまで来るなんて……普通じゃ考えられない。やっぱり、なんて奴なんだって思って、敢えて僕は、ミカエルさんを困らせるために、ルーシーの事が”好き”かどうか聞いた。
「好きだよ」
と真顔で即答され、胸の奥がギュっとなった。
イムさんは一応ルーシーの”婚約者”って事になってはいるけど、いまだにイムさんの口から、ルーシーが”好き”とか、そういった類の言葉を聞いたことが無い。ルーシーの事を”妹”と呼び、名前で呼ぶ事すらしない。オスカー兄さんの同期で、妖精王の第3王子。双剣使いでカッコいいけど、ルーシーを本当に大事にしてくれる奴なのかどうなのか、正直よく分からない。
だから、僕を真っ直ぐに見つめ、ルーシーを”好きだからここまで来た”と言うミカエルさんの行動や言葉に僕は心底グッときていた。
”目が合っただけで赤くなる”とかバカにしてたけど、本当に好きだからそうなるし、話をするだけで、めちゃくちゃ幸せなそうな顔になるのも、心からルーシーが好きという思いで溢れていた。見ている僕の方が、恥ずかしくなるくらいだった。しかも、自分の気持ちを正直に認め、どうしたいか(騎士?になる)まで真剣に考えている。危険から守れるかどうかは別として、僕はミカエルさんの方がルーシーを大切にしてくれそうな気がした。
それに便乗して求婚するマリオンとジュリアンには驚いたけど、ルーはちゃんと皆に愛されているんだと嬉しく思った。
今後、見習の指導を少し見直して(優しくして)みようかと考えている。
+++++
【王国騎士団専用宿泊所・サミュエル視点】
ソロモン・ゼフィリス。
きっと奴が、俺の名前を教えたに違いない。
大雨の中。朝から”ダニエル様”という天使界上層部の奴が、ぞろぞろと白い服の天使集団を引き連れやってきて、分けのわからない事を言い出す。それに、突然現れたミカエル様……
心底、今日は疲れたーーー。
+++
(回想・王国騎士団専用宿泊所)
「サミュエル・ヒューゴ・シンベリー殿。あなた様は、本来なら、ここに居られる方ではないはず。お願い致します。そのお力を、是非、我々にお貸しては頂けませんでしょうか?」(ダニエル)
「は!?」(サミュエル)
フルネーム!?
……で、俺も一緒にあいつを探せって意味か!?
今朝。突然現れ、ルーシーの居場所を聞くついでにダニエル様という方が言い出した台詞に耳を疑った。
ソロモン……あいつ、俺の名前教えやがったな!?
別動隊でミカエル様を捜索しているのか、その白い天使集団の中にソロモンの姿はなかった。
「その”至高の癒しの光”の事です」
!?
シュプリーム……?
朝からわけのからない理由で押しかけられ、しかも”汚い、臭い……”とか白い服の天使がぼやく中、これまた意味不明な横文字を出され、イラっとして思わず怒鳴った。
「うるせぇ! 失せろ!」
青ざめた表情でダニエル様と、天使界の連中は怯えたように宿泊所から出て行った。
+++
(回想・ホテルホーリーウッド)
その後、ルーシーの宿に見回りに行くと、行商人のロックさんと一緒になぜかミカエル様が居て、しかも俺の名前を呼び、ほぼ初対面なのに親し気に抱きついてきた!
前日、あんなに睨みつけてやったのに、なんで!?
なんで!? なんで!? なんで!?
ミカエル様は混乱する俺の口を押え、金色に光る瞳で目くばせをしてきた。
こいつの目的は何なんだ!?
”至高の癒しの光”
こいつも、ダニエル様って方と同じことを言い出しやがった。
なんだそれ?
分からなかったので聞くと、最上級の”癒しの光”の事で、俺のがそれに匹敵するらしい。
じゃあやって見せてと、お互いその”至高の癒しの光”を、翳し合った。
+++
とんでもない”癒しの光”だった。
温かい金色に輝く太陽のような光の中に包み込まれ、頭の中が澄み渡り身体がフワリと軽くなる感覚がした。
凄い……。
言葉も出ない……。
これまで怪我をした折に何度も天使族の”癒しの光”で治癒されたが、これ程まで強く優しい光で包み込まれ癒されたのは初めてで、心にしみ入るその温かさに泣きそうになった。
呆然と向き合うミカエル様の瞳から涙が零れた。
「君に、なりたいよ」
何を言っている!?
整った顔立ちに真っ白な肌、艶やかな金髪。非の打ちどころもない絵に描かれた天使ように完璧な容姿のミカエル様が”俺に、なりたい”!?。
ミカエル様の金色の瞳からあふれる涙は、それ自体発光しているかの如くキラキラと輝いた。
なんで!?
俺なんかに……。
「君の光は、空のように清々しく、自由で、気持ち良かった……」
「……え? その、ミカエ……、エリック。今のがシュプリームなんとかってやつか?」
「そうだ。君の光は、素晴らしいよ。私のはどうだった?」
「凄いよ。あんなの初めてだった」
「凄いのは君だ。同じ力を持っている……グスッツ」
「同じって……」
カウンターにいるターナーに顔を向けると、ターナは俺に向って静かに頷いた。
どういう意味だ!?
「……同じなのに、どうして私は……君みたいに」
「ああ、わかった。わかったから、泣くな。な、頼む」
「サミュエル、すまない……君のように……なりたくて……すまない」
「な、なんで?」
「……すまない」
+++
宿泊所から戻ってきたウィリアムが、俺に報告を済ませ、何を察したのか”ミカエル様の涙”には全く触れず大人しくパンケーキを食べて始めた。
ミカエル様の涙が落ち着くと、今度は、ジョギング帰りのルーシーたちがカフェへやってきた。
普段から見慣れた見習用の水色の半袖運動着にベージュの隊服ズボンで、ルーシー、ホムラ、スカーレットの3人が並ぶ姿に、今はまだ騎士見習の合宿中なのだと俺は我に返った。
非常にまずい……。
護衛の騎士を除き、女の子の騎士見習が泊る宿に例え上官でもむやみに立ち入ってはいけない規定があったのを思い出した。そのうえ、宿のカフェで女の子の騎士見習と一緒にお茶なんてもっての外。
俺たちがいるとは知らず、遅れて彼女たちの後からやってきたレイが、一瞬、俺に殺気のようなものを向けた。ルーシーたちは気が付かないようだったが、レイは、”キメ顔事件”以来、僅かながら俺の事を常に警戒している。普段はクールなイケメンだが、オスカーと同じく妹の事になると異常なほど感情的になり速攻撃してくる。重度のシスコン。スチュワート様が、ルーシーの護衛に”適任”と判断したのも頷ける。
(別回想)
だが、ウィリアムはそうでもない。
ウィリアムとは見習時代含め、3年程一緒にいるが妹ルーシーの話をあまりしない。
ちなみに、俺が第二部隊に所属していたとき(当時20歳)に入隊してきたオスカー(当時17歳)は、毎日のように妹自慢(めちゃくちゃ可愛い)をしていた。レイ(当時15歳)は、無表情で変わった奴だったが、妹の話(すっごく可愛い)をするときは表情が緩んだのを覚えている。
ウィリアムが俺に懐き出したのは、第4部隊に配属された直後(当時17歳)。”副隊長になるにはどうしたらいい”のか聞いてきて、「俺より強くなったらなれるぞ」と答えたら、それからずっと、俺をつけ狙ってくる。妹の事を”ライバル”と言い。”両親と兄たちの愛情を奪った奴”と素っ気なく言ったのが印象的だった。きっと、ウィリアムが俺に甘えてくるのは、幼い頃の愛情不足からくるものなんだろうと俺は考え、時間が許す限り気が済むまで相手してやったりした。正直、合宿が始まり開放されてホッとしている。だが、アクアラグーンにまでやってきてまで、俺に絡んできたのには正直引いた。
あの優秀な二人の兄に比べたら、今のウィリアムはまだまだ可愛らしいが、かなりの野心家で努力家。体術においては伸びが凄まじく、副隊長候補としてすでに名前が挙がっているくらいだ。
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(回想・ホテルホーリーウッド)
「当店自慢の”生クリーム&フルーツ全部乗せ特大パンケーキと、スペシャルトロピカルソーダ”で、ございます。宜しかったら、どうぞお召し上がりください」
目の前にドンと置かれた、豪華なパンケーキに、俺は血の気が引いた。
「おい、ターナー、頼んでねえぞ」
スチュワート様の弟で、護衛でこの宿に潜入しているターナーに思わず口走ってしまった。
俺の財布の中身で間に合うかな……宿泊所に請求書を届けるように言った方がいいのかな。
焦って睨むと、”献上品”だと言い放った。
じゃあ請求はスチュワート様だな。王国の要人に対し、いつ何時でも最大級の”おもてなし”をするよう教育されているのだろうか。
+++
そんな事よりも、問題はミカエル様だ!
何か悪さを企むとかそういった危険性は無さそうだが、こいつは、なんというか、素直で、天然で、純粋で、これはすごく失礼な言い方だが、おそらく童貞だ!(大丈夫、俺もだ!)
それに、明らかに、この俺より女子慣れしていない!
目の前に並んで座る3人の女子たちに見つめられ、おどおどし、ルーシーと少し話をするだけで赤面する姿に、天使界嫌いの俺はあろうことか、そんなミカエル様に僅かながら好感を抱いてしまった。
ルーシーを好きになる気持ちもわかる。
王国の勇者の力になりたいと考える気持ちも理解できる。
それが何故”騎士になる”という選択に行きついたのかが理解できない。
その権力があれば思うままに勇者に助力だって出来るのに……。
+++
(回想・王国騎士団専用宿泊所)
夕方近くに、ブラッド隊長と宿泊所に戻ると、泥だらけのダニエル様というお方がミカエル様の無事を喜び駆け寄ってきた。そのダニエル様を、あからさまに嫌そうに一瞥しミカエル様は”長を辞める”と言い放った。
ダニエル様は、気の毒に思えるほど落胆した表情で見つめ立ち尽くしていた。
「これは、私共の不徳が招いた結果なのです」
ダニエル様、ジュード団長補佐、ブラッド隊長、俺の計四人は、ロビー脇の談話室に集まり、これまでの一連の経緯をダニエル様から聞かされた。
ため息しか出なかった。
失踪した原因はルーシーじゃない……恐らく俺のせいでもある。
ミカエル様は、俺を中傷したソロモンをはじめ他のお付きの天使に対し酷くお怒りになられたらしい。
何を言われたのかは大体分かる。
あいつは昔から俺を目の敵にして、少しでも隙を見せたら最後、チクチクと針を刺すように傷を広げ、大げさに俺の悪口を周囲に言いふらす。見掛け倒しの性根の腐ったクズ野郎だ。そんな奴が、15歳で天使族長ミカエル様の護衛候補に選ばれたと、奴の母親が自慢げに話していたと、母さんが残念そうに言っていた。その話に俺は、天使界は腐った奴らの集まりなのだと判断し、家の後継ぎを辞退し、天使界とは一切関係ないアンフェール城の騎士になる事を決意した。
出来れば、天使界とは今後一切関わりたくはなかった。
「申し訳ございません。どうか私共の愚行をお許しください……」
何度も俺に対し謝罪するダニエル様の姿に、胸がすく思いだった。
まあでも、今さら何を言われても、俺の人生が特段変わるわけでもイケメンになるわけでもない。俺はアンフェール城の騎士として王国を守る仕事をするだけだ。
「謝罪など無用です。……それよりもミカエル様です。これから、どうなさるおつもりですか?」
ダニエル様は、肩を震わせ今にも泣きだしてしまいそうな表情で唇を噛み締め下を向いた。
「ひとつ、聞いても?」
腕を組みパイプ椅子に深く腰掛け目を閉じていたジュード団長補佐が、ドスの効いた声でダニエル様に聞いた。
「はい、なんなりと」
「この件は、天使界には報告したのか?」
「いいえ、まだ」
「軍事同盟後の協議の内容は、もう天使界の軍の方には伝えたのか」
「はい、同盟締結の連絡が入り次第、”能天使”の方へ連絡を入れるよう、ミカエル様からのご指示がございましたので」
「そのほかの緊急な連絡事項は?」
「今のところはございません。……予備日としてミカエル様に、3日ほど休暇をお取りしておりましたので」
ジュード団長補佐がニヤリと笑った。
「ほう、好都合じゃねぇか。じゃあ明日、見習の訓練に参加させる。それでいいな」
「は!?」
ダニエル様の声が裏返った。
「ブラッド、サミュエル、そういう事で」
「いや、その、訓練など、ミカエル様は……」
「(大声)騎士になりてぇって言ってんだろ!」
突然恫喝され、ダニエル様は呆然とジュード団長補佐を見つめた。
「…………はい」
腑に落ちない表情をしていたが、ダニエル様は小さく返事をした。
「さっさと、こいつをロイヤルラグーまで「ジュード様! 天使界の要人になんて事をなさっているんですか!?」
息を切らし移動式魔法陣で現れたスチュワート様が、物凄く怖い表情でジュード団長補佐を怒鳴りつけた。
「ちっ、来やがったな陛下の”ひつじさん”よぉ」
「執事です。ダニエル様は私が責任をもってロイヤルラグーンまで送り届けます」
「スチュワート様、私はミカエル様のお傍に、……この宿泊所に滞在いたしますので」
「申し訳ございませんが、そのご要望にはお答えできません。先ほどの件について、ロイヤルラグーンの支配人様並びに怪我をされた従業員様に、早急に謝罪をなさって頂かないとなりません。今後あの宿を天使界並びに天使族の皆様が、ご利用できなくなっても宜しいのですか?」
「はぁ(ため息)……そうでした。大変、申し訳ございません」
「では、参りましょう」
「ミ、ミカエル様は?」
ダニエル様が、俺とブラッド隊長を縋るような目で見つめた。
「大丈夫です。何かありましたらすぐに連絡を入れますので、ダニエル様は安心してロイヤルラグーンへ向かって下さい」
ブラッド隊長が微笑み胸に拳を当て敬礼した。
「どうか、どうかミカエル様をお守りください」
そう言い残しダニエル様は移動用魔法陣でロイヤルラグーンへ向かった。
「じゃあお前ら、頼む♪」
ジュード団長補佐が、うきうきしながら表情を緩ませ宿泊所から出て行った。
きっと宿場町まで飲みに行くつもりだ。最近、色っぽいお姉ちゃんがいる飲み屋を見つけたと言っていたからな。
俺も誘って欲しかった。
(回想終わり)
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[王国騎士団専用宿泊所]
風呂から上がり着替え、頃合いを見て食堂まで案内しようとミカエル様の部屋へ行った。
だが、ノックしても返事がない。
心配してドアを開けると、ミカエル様はハンモックの上で支給品の見習用の半袖短パン姿で口を小さくポカンと開け幸せそうな表情で眠っていた。
口半開きで寝ている姿も超イケメンだ。
”こいつは、こんな綺麗な顔で怒ったのか……”
俺の件で、”お怒りになった”と聞いた時、なんだか申し訳なく感じた。
見ず知らずの俺なんかの気持ちを重んじ、心を痛めるなんて、人がいいというかなんというか。……それに、こんなガリひょろの身体でバンディ城を飛び出しアクアラグーンまでやってくるなんて……。
バンディ城からここまで、50㎞ぐらいはあるよな……よく辿り着いたな。
「はぁ(ため息)……」
窓から吹き込む気持ちのいい夜風が、ミカエル様の髪を揺らしていた。
夜のアクアラグーンは意外に冷える。
「ったく……手ぇかかるな」
窓を閉め、傷一つない綺麗な脚にタオルケットを掛け、灯りを消し俺はそっと部屋を後にした。
お付き合い頂きありがとうございますm(__)m
ブクマ★いただけましたら励みになります!応援よろしくお願いしますm(__)m
※2021/11/2訂正しました。
※2024/2/13ちょっと訂正しました。




