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Ⅷ
いつも通り朝食を食べに祖母の家に来たゆきちゃんに、僕は
「おはよう」
と声をかけた。
「詩晴、、、あなた、声が」
彼女は掠れて聞き取り難いはずの僕の声をちゃんと認識してくれた。
自分のことのように喜んでくれる彼女が、僕はやっぱり好きだなと想った。
それから、僕は彼女と過ごす時間が増えた。
"ゆきちゃん"と、自分自身の声で呼べることが何よりも嬉しい。
下らないことで笑いあったりする日々を過ごしていく中で一つ、気が付いたことがある。
彼女の癖だ。
彼女は、不安になると人差し指でトントンと叩くことがある。
彼女のSOSのサインだ。
僕といる間はあまり見ないが、彼女と別れるときに必ずと言っていいほど見る仕草だ。
このことを知ってから、僕は出来る限り彼女の傍にいることを誓った。
声が出せるようになってからわかったが"好き"という気持ちは簡単に心から溢れて、零れて、我慢ができない。
彼女といるとき、何度も溢れそうになった。
その度に胸の奥に押し込めるのは、結構辛い。
でも、彼女には知られたくない。
君と一緒にいる人は、君をめちゃくちゃにしたいと思っているなんて。
絶対に知られたくない。




