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行く宛もなくふらふらとさ迷う。
一時間ほど歩いたと思う。
今はもう廃れた、小さな公園を見つけた。
公園にある遊具はブランコとベンチのみ。
随分と寂しい所だが、今の僕にはぴったりだった。
僕はブランコに座った。
しかし、漕ぐ気にはなれずただただ座っていた。
僕はさっき何を考えた?
嫉妬、そんな生易しいものではなかった。
最早、殺意とも呼べるものをこの胸に抱いたのだ。
僕は彼女とどうなりたいんだろう。
恋人?無理だ、ゆきちゃんにはもう恋人がいる。
それなら、親友?今の関係性で事足りるだろう。
そもそも、今以上の関係を望むことすら僕には烏滸がましいと言えるものだ。
ずっと傍にいると誓ったのに。
こんなことで挫けるなんて思いもよらなかった。
自分の心とは、こんなにもコントロールできないものなのだな。
やっぱり僕の心も体も、全て汚い。
ゆきちゃんの傍にいたからといって、綺麗になる訳じゃない。
忘れるな、僕は汚れた人間なんだ。
ゆきちゃんの1番は僕ではない、誰か。
最初から同じ土俵に立てる訳もなかった。
綺麗な彼女の1番は誠実な男性で、僕みたいな異常者はその資格すら最初からないのだから。