表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空はやさしくて、冷たい  作者: 上條 詩晴
1/35

中学3年の7月頃、

僕は、友人の彼氏にレイプをされ男性恐怖症、人間不信になっていた。

母子家庭で、身一つで僕を育ててくれた母にはどうしても話すことができず、部屋に閉じ籠った。

母は次第に弱っていく僕を見かねて、山奥の田舎に住んでいる祖母の家に連れていってくれた。

祖母の家でもあまり外に出ず、活動範囲は家から少し離れたごみ捨て場までだった。

ある日の朝、いつも通り人がいない4時頃にごみを捨てに外へ行くと、蹲って苦しそうにしている女の人がいた。

僕は祖母を呼ぼうか迷ったが、ふらつく彼女を放っては置けず、駆け寄った。

"大丈夫ですか"と声をかけた、はずだった。

しかし、僕の喉から音は鳴らなかった。

声が出なくなっていたのだ。

母とも、祖母とも会話をしていないせいで気が付かなかった。

いや、気が付いていたのだ。現実を見るのが怖かっただけなんだ。

あの忌々しい日、僕の上に乗る男は僕の首を絞めた。

声を出してはいけない、暴れてはいけない、抵抗をしてはいけない。

すべてを体に染み込ませられていた。

その事に気が付いた僕はショックでその場に立ち尽くした。

人の気配を感じたのだろう、彼女が僕の方を見た。

手を、伸ばしてきたのだ。

自分の方が辛いはずなのに、泣きそうになっている僕に微笑んだ。

「どうしたの、泣かないで」

僕は思わず彼女の手をとり、抱き締めた。

なんて細い身体なのだと驚いた。

少し力を入れすぎたら折れてしまうのではないかと、怖くなった。

彼女の体は酷く冷えきっていて、震えていた。

僕は彼女を抱えて、祖母の家に戻った。



ごみはちゃんと捨てた。

誤字、脱字、気になる点があればご指摘ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ