第21話 狐仮面の男
(なんでやっ!?)
詩織の得意とする五行式――【光鷹】による絨毯爆撃も躱され弾かれる。詩織の有する最大の攻撃力を誇る【悪業罰示式神】による呪術もかすり傷程度しか与えられていない。
詩織は平安の頃から受け継がれてきた陰陽術師の系譜の中でも古参の三家の一つ――安部家の長女。他人よりも才能もあると自負しているし、実際に血のにじむような努力によりこの四天将の座まで上り詰めた。人を超えた生物だと疑ってはいなかったのだ。それがあの種族の選定とかいう訳の分からない概念により、あっさり覆る。
今まで同格と認識していた四天将の二人が異形種を選択したことにより、天と地ほどの実力差が開いてしまったのである。
そして、今回もあの選定前なら詩織にとってただの雑魚に過ぎなかった人間に押されている。それが――。
(くそ! くそ! くそぉ!!)
どうしようもなく悔しくて不覚にも涙がでそうになった。
『詩織、合わせろ! これ以上は、SATの隊員たちがもたん。わしが仕留めちゃる!』
陰陽術の初歩術式――念話により、今も接近戦を繰り広げているスキンヘッドの大男――九蔵の声が頭の中に直接響き渡る。
九蔵も詩織と同様、異形種を選択できなかった四天将だが、それでも奴の得意とする棒術に関連する種族を選び、その技を至高のものへと昇華している。
現にあのグリムとかいう鬼人は詩織の術には、まるで五月蠅い蠅でも追い払うように払いのけるだけだが、九蔵の黒棒のみを警戒し避けている。あれも何らかの種族特有の能力なのだろう。要するに足手纏いは詩織一人ということ。
(集中しろ! こないな素人丸出しの奴に敗北したらそれこそ家の名、いや陰陽師という名にすら傷がつく)
ふつふつと沸き上がる負の感情を全力で押さえつけて、己を奮い立たせる。
それに九蔵の言う通り、警察ももうそろそろ限界だ。警察組織が誇る最高クラスの人材だけはあり、どうにかあの鬼化した化物どもと五体満足でやり合っている。
しかし、重傷を負い一人、二人と戦線を離脱するものも増えてきている。この上、部隊長まで戦闘不能となれば隊は事実上崩壊するだろう。
鬼化したテロリスト共の猛攻で避難誘導は中断し、まだ多くの避難民がこの場にはいるのだ。もし、特殊部隊が壊滅すれば、その凶刃はこの建物内の避難民たちに向けられるだろう。そうなれば詩織達の全面敗北が決定する。
勘違いのないように言えば、陰陽師は正義の味方ではなく求道者。六道王に拝謁し直接その加護を受け、人の身でありながら神の領域へと至ることを悲願としている。人民を救うために行動はしないのだ。
しかし、此度陰陽師は、1000年以上も維持してきた閉鎖性という不文律を破って日本政府と手を組みその組織に組み入れられた。生じたダンジョンの探索、そして種族特性の情報の取得の必要性など、閉鎖性を維持するメリットよりもデメリットの方が強くなったと判断したから。
ここで陰陽師最強に位置するとされる詩織達が作戦に失敗すれば、陰陽師の地位は失墜する。そうなれば政府の優遇度の低下はいなめまい。まさにこの戦いは陰陽師という一族の未来を決する負けられぬものなのだ。
(やれる。うちはやれる! いつも通りやれば、失敗なんてあり得えへん!)
意識を集中し詠唱を開始、詩織が保有するなかで最大の束縛呪術――【黒蛇】を発動する。途端にグリムの足元の瓦礫が大蛇に変わり、纏わりつきその身体を締め上げる。この術は体力と霊力も奪うという追加効果もあり、まさに今回の目的にピッタリの術。
「効かなーい」
グリムが大蛇を蹴飛ばすと爆発霧散し、石へと回帰する。
(ここっ!)
詠唱に応じ指を動かし、うまい具合に粉々になり飛び散った石の礫を触媒に立体魔方陣を形成する。
「んぬ?」
グリムは、動こうと一歩踏みだそうとするが身動き一つできない。当然だ。この【朱の鳥居】は、詩織だけが扱えるオリジナル呪術。詩織はこの術式を完成させたことで、四天将の地位を得た。六道王のいかなる眷属の力を得ているかは不明だが、相当高位なものなのは間違いない。
初めて僅かな躊躇いを見せるグリムの脳天に九蔵の黒棒が振り下ろされる。
「ヌオオオォッ!!」
グリムは獣のような咆哮を上げると、【朱の鳥居】の束縛を上半身のみ無理矢理解除し、身体を捻ると頭部への直撃を回避する。
九蔵の能力により真っ赤に発色した黒棒は、グリムの右肩から胸部の肺をも切り裂く。
ゴフッと吐血しグリムは片膝をつく。その上半身は真っ二つに分かれていた。
「えらいしんど。ようやくチェックかいな。右近の奴に特別ボーナスでも貰わな、やってられへんわ」
「九蔵、まだ戦闘中やで! 気ぃ抜くなっ!」
そうは言ってはみたが、どう控えめにみてもグリムは瀕死。あと一分と立たずにこの世から滅び去る。
「へいへい、わかってるで」
グリムはノソリと立ち上がる。最後のあがきかと身構える詩織達に、グリムは悪鬼のごとき笑みを浮かべ、
「やめた……」
「ん?」
「たかが人間種の銀蠅の分際でいい気になりやがって! 今回は金の獲得だけを最優先と思っていたが、もうやめだ」
そう宣言すると、脱力し俯いてしまう。
「なーんだそりゃ、負け惜しみぃか? ええ年してみっともないでぇ?」
あまりにその様相が異様だったからだろう。野次るような言葉を吐いてはいたが、九蔵の顔から余裕というものの一切が抜け落ちていた。
「ぐぎっ! がくっ! ぎぎっ!」
一瞬にして【朱の鳥居】の結界が引きちびられる。そして、部屋に反響するバキゴキと骨が砕け、肉が裂ける音。その音をバックミュージックに俯くグリムの体表がボコボコと泡立ち、全身の筋肉が急速に盛り上り、瀕死であった部分が超高速で修復されていく。忽ち、赤褐色の肌と剛毛を持つ全長3メートルにはなる巨人が出来上がっていた。
人に鬼が取り憑き、その身体を変質させることは変質前の世界でもそれなりにあったし、詩織たちも幾度となく祓ってきた。
しかし、二段階も変化した鬼には初めてだし、何よりあんな禍々しいものでは断じてなかった。あれでは1000年前のまだ世界の境界があいまいだった頃に出てくる鬼そのものじゃないか。
「また変化した? ねえ、九蔵、あれって――」
意見を求めるべく振り返るが、その九蔵の袋小路で猫に追い詰められたネズミのごとき姿を目にし、ぎょっとして目を見開く。
「退避だ……」
充血した目で、グリムを睨みつけながらもそう声を絞りだす。
「え?」
思わず聞き返すが、
「総員退避だっ! 死にたくなけりゃあ、全力で奴から離れろぉっ!!」
九蔵はそう捲し立てると背後に跳躍する。しかし――。
『残念、無駄でしたぁ』
グリムの丸太のような右手が九蔵の腹部に深く食い込んでいた。くの字に身体を折り曲げる九蔵の頭部を鷲掴みにするとグリムは右足で蹴り飛ばす。九蔵はボールのように高速で回転しつつも、壁に激突し地響きを上げる。
陥没した壁にめり込み、白目をむいてピクリとも動かない九蔵の姿を呆然と眺めていたが、次第にその無常な事実を認識し、とびっきりの恐怖と絶望が嘔吐のごとく津波のように何度も襲いかかってくる。
九蔵は現存する四天将の中では、三番手。だが、それは他の二人があまりに非常識すぎるから霞んでいるだけ。陰陽師としては一世代前なら筆頭になれる実力はあったのだ。
それがなすすべもなく屠られる。それはまさに天と地ともいえるほどの実力差を意味する。当然、九蔵よりも実力が劣り、かつ単独戦闘に向かない詩織なら猶更勝てる道理がない。
「……」
周囲に立ち込める濃厚な死の匂いに、膝はみっともなく笑い遂には腰の力も抜ける。
ペタンと尻もちをついた無様な姿で、怺えても止められない身体の震えを自覚していた。
(あれはもう、人じゃない)
己の確定的な未来の死を自覚し、詩織の目尻から涙が流れる。
『女ぁ、お前はさっきこの僕にやってくれちゃったよねぇ? どうしようか? 生きたまま、指を切り落とし、生皮をはがす?』
詩織の小動物の様に震える姿にグリムは口角を吊り上げ、まるで歌うように得々とおぞましき言葉を口にしながらも、詩織へと近づいてくる。
「く、来るな……」
必死だった。そうただひたすら必死に上手く力の入らぬ身体を動かし、あの化物から遠ざかろうとするも、躓き顔面から地面にダイブする。
『いんや、四肢を切り落とした後で、死ぬまで、こいつらの相手をしてもらおうかな。
大丈夫、君は丈夫そうだし、きっと耐えられるさ!』
ガッツポーズで満面の笑みでそう宣言する。
「いやだ……」
泣き叫びながら唯一動く上半身だけで必死に逃げようと両手を動かすもあっさりつんのめる。
――怖い! 怖い! 怖い!
あの人とは思えぬ外見の怪物が――。
――恐ろしい! 恐ろしい! 恐ろしい!
人外のあのおぞましい思考が――ただひたすら恐ろしかった。
修行で苦しかった日々、平凡で退屈な学校での生活、両親兄妹との確執。次々に流れるモノローグの中、森で迷子になった幼い詩織の手を引くあの人の姿とその温かい右手の温もりをはっきりと思い出し、
「助けてよぉーー、お兄ちゃんっ!!」
喉が潰れんばかりに詩織のヒーローの名を絶叫する。
グリムの右手が詩織の細い喉に触れる刹那、ゴシュッという生理的嫌悪のする音ともに、グリムの土管のような二の腕は根元から明後日の方へ折れ曲がっていた。
『へ?』
暫し、グリムは己の右腕を呆然と眺めていたが、傍で佇む狐の仮面を被った男と視線がぶつかると、たちまち頬を壮絶に引き攣らせて後方へ飛びのく。
『な、何だ、お前は!?』
油断なく身構えた状態でグリムは狐仮面の男に尋ねるが、それに答えたのは、
「ホッピー!」
母親に抱きしめられていた少年だった。
「ほんとだ! ホッピーだ!」
「ホッピー! ホッピー!」
これは、鉄分の匂いが充満するかのような血なまぐさい現場。小さい子供なら怖いはずだ。泣きたいはずだ。なのに、子供達は皆、目を輝かせて狐仮面の男を指差し、ぴょんぴょんと兎のように飛び跳ねている。彼らの瞳の中には狐仮面に対する強烈な期待があった。
「おい、大丈夫か?」
「……」
狐仮面に安否を問われ、何とか数回顎を引く。
「じゃあ、あのスキンヘッドを連れて後方に避難してろ」
「み、見てわかるやん!? 動けへんのよっ!」
あまりに不躾で空気の読めない指示に咄嗟に叫んでいた。
狐仮面は暫し、ジロジロと詩織を凝視してたが、
「じゃあ、別にそのままでも構わんが、丸見えだぞ?」
「丸見え?」
顎を引き、狐仮面の視線の先を確認し、
「--っ!!?」
あまりの羞恥心から、全身の血液が顔に集中してゆくような熱を感じて、捲れていたスカートを左で抑えると立ち上がり、
「このド変態っ!」
怒りの鉄拳を狐仮面の男の横っ面にぶちかます。
「ちゃんと立てるじゃねぇか。早く行け」
「あれ、ほんまや」
弾かれたように九蔵の元まで走るも、
『行かせるな!』
グリムの声が飛び、詩織の進行を塞ごうとする鬼化したテロリスト共。
しかし、まさに瞬きをする間、進行を妨害しようとしたテロリスト共は白目をむいて悶絶してしまう。そして気絶したテロリスト共の傍に佇む狐面の男。
(い、今の挙動すらも見えへんかった……)
つい先ほどまでグリムの傍にいたのだ。西洋の術か、それとも能力か。狐面の男が何らかの手段で移動したのは間違いない。ただ、気が付くとテロリスト共が倒れていた。挙動すらも認識させず無力化する。これがどれほどとんでもない所業なのかは子供でも理解できる。
「動いた傍から叩き潰す」
狐面の男は両手をゴキリと鳴らして、そう宣言する。
地面に縫い付けられたように、ピクリとも動くことができないテロリスト共に、SAT の部隊員たちも面食らったようにぼんやりと眺めていた。
「九蔵、無事?」
壁に綺麗にめり込んでいる九蔵を引きずりだし、背に担ぐと一応安否を確認する。
「無事なわけねぇやろ! 全身バッキバキでメッサ痛ぇよ!」
涙目で捲し立てる九蔵に、
「泣き言を言う余裕があるならいけるね」
客たちの元まで移動する。他の部隊員たちも全員、客たちのいる広場の隅へ移動し観戦を決め込んでいた。
「誰なんや、あの狐仮面?」
床に胡坐をかいて素朴な感想を述べる九蔵に、
「さあ、せやけど私達以上にグリムとかいう鬼人の方が知りたいと思うわ」
実に的確な指摘を返してやる。
「それもそうやな」
現在、丁度、グリムの指示で鬼人のテロリスト共は狐面の男を取り囲んでいるところだった。
グリムは詩織達を指さすと、
「客を人質に――」
包囲の外にいる鬼人にそう指示を出そうとする。
命を受けた馬面の鬼男は詩織達に向けて走ろうとするが、ベコッと顔が陥没し仰向けに倒れる。
「ひっ!?」
傍の鳥顔の鬼人は、馬面の鬼人の惨状を見下ろし、小さな悲鳴を上げて逃げ出そうとするが、突然空中で数回転し地面へ顔から激突する。
臀部を上げて、ピクピクと痙攣する鳥の鬼男の姿を視界に入れ、
「うぁ……」
「あぁぁっ!」
次々に悲鳴を上げながらも、鬼人どもは好き勝手に行動し始めた。
果敢にも狐面の男に向かっていった男は、盛大に吹き飛ばされて柱や壁に激突し、暫しの眠りにつく。
逃げようとする鬼人どもは、顔を地面や壁に叩きつけられてクレーターを作り、頭部を自販機にめり込ませる。
あれほどの傍若無人に振舞っていた鬼人の暴徒どもはものの数秒で皆、夢の国へと旅に出て、グリム一人となっていた。
『お前、何者だ?』
グリムは今までとは一転、焦燥たっぷりの顔で、詩織達も知りたい疑問を口にする。
「ホッピーさ」
即答する狐仮面に、再度、ホッピー、ホッピーと湧き上がる子供達。何だろ、この状況?
『ほざけ! どこの兵隊かと聞いているんだ。 米軍か? EU関連かっ!? それとも東側か? まさかこの国の兵隊というわけではないよな?』
狐仮面は肩を竦めると、
「俺の所属先など心底どうでもいい。だってお前はここで終わりだから」
破滅の宣言をする。
『ふ、ふざけるなっ!?』
退路を確保するつもりだろう。チラリと後ろを振り返るグリムに、
「ふざけちゃいないさ。お前はここで終わるんだ」
狐仮面――ホッピーは両腕を広げ、陽気な声を上げつつも近づいていく。
『死ねぇ!!』
風を切って迫るグリムの巨大な左拳を狐仮面は易々と掴む。
『ば、馬鹿なっ!? この僕の渾身の一撃だぞ!』
「ああ、今のお前なんてその程度だ」
狐仮面はグリムの左手首を掴むと無造作に持ち上げ、床に叩きつける。
『ぐがっ!』
背中から叩きつけられ、肺を膨らませようとしているグリムを
『ぐぎっ!』
やはり床に叩きつけた。
『うひぃっ!』
床に放り投げられたグリムは必死の形相で飛び起きると今も近づく狐仮面から逃げるべく、バックステップをするが――。
「おいおい、マジかよ」
九蔵の絞り出すような驚愕の声。それはそうだ。あの一瞬で狐仮面の姿が消失し、グリムの奴の背後でその右の掌によりその進行を妨害していたのだから。
肩越しに恐る恐る振り返るグリムに、狐仮面の男は、
「よぉ」
挨拶をする。
『―っ!?』
声にならない悲鳴を上げて、身をよじって地面を転がり構えをとるグリム
その顔は真っ青に血の気が引き、大粒の汗が滝のように流れ出していた。
「クソ餓鬼、もっと全身全霊をもって向かってこい。そうしたら、特別に大人の扱いをしてやる」
『くそがぁっ!』
詩織達に向けて走り出そうとするグリムに、狐仮面の男は軽く舌打ちすると、その進行方向に瞬時に移動し、無造作にその衣服の胸倉を鷲掴みにすると引き寄せる。
『は、離せっ!!』
「お前は色々世の中を舐め過ぎだ。しっかり、己がしてきた行為の報いをうけろ」
『くぼっ!』
狐面の男は右の掌で奴の左頬を平手打ちする。
『きさま――』
『がぶっ!』
さらに右手の甲で右頬を打ち付ける。
『やめ――』
『ぶばっ!』
ただひたすら、狐面の男は左右の頬に平手打ちを実行する。
15分後、ハムスター頬袋のごとく頬が大きく腫れあがったグリムを床に投げ捨てる。
狐面の男は、詩織には視認すらできない速度でグリムに平手打ちをし続けた。途中まではその驚異的なグリムの回復力により癒えていたが、そのうちその速度は著しく低下し、いつのまにか変身が解け、人間の姿にもどってしまっている。
グリムは、ヨロメキながらも立ち上がり狂ったように笑いだす。あれだけ徹底的に痛めつけられてよくもまあ、逆らう気になるものだ。
「死んだ! 死んだぞ、お前ぇ!」
そんな意味不明な言葉を捲し立てる。
「僕の目を通じて、あの人はこの景色を見ている。お前は今日、確定的にあの人の敵となった!」
「あの人? 異形種解放戦線とかいう頭が痛そうな名前の組織のボスのことか」
「ああ、僕らの至高の導き手だっ!」
グリムが叫んだそのとき、その背後の空間に黒色の数メートルにも及ぶ円状の靄のようなものが出現する。そして黒色の円状の霧の向こう側から、全長三メートルにもなる怪物がゆっくりと出現してきた。
「おい、後ろ」
狐仮面の男はグリムの背後を指先して注意を促すが、
「あの人はとてつもなく恐ろしいぞぉ! 泣き裂けんでも無駄ぁ。世界中にお前にはもう逃げ場は――ぴぇ?」
狐仮面の指摘など聞こえてすらいないのか得々と宣うグリムの横っ腹に黒色の怪物は、右手に持つ巨大なハンマーを打ち付ける。
グリムは頓狂な声を上げて砲弾のように一直線に遠方の柱まで突き進み激突。その柱を粉々に全壊させてしまう。
「うぁ……」
客の一人から漏れる絶望の声。そして、その牛の頭部を有する怪物は肺を膨らませ、
『BMOOOOOOッーーーーー!!』
大気と建物さえも振るわせある大咆哮をぶちかまし、新たな真打の登場により、第二ラウンドのゴングは打ち鳴らされた。
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