第6話 分京区解放
12月22日(火曜日)午前時2時――分京区北方
タイムリミットまで、6日と15時間。
数十の規模の悪魔どもが俺に向けて決死の特攻をかけてくるが――。
俺に接近した悪魔が同心円状に瞬時にミイラ化し、バタバタと倒れ込む。そして採取獲得した血液で新たなアビリティを得てそれらを融合、新たなアビリティを創造していく。
まあ、血液がもったいないんでアビリティを実践投入してはいないわけなんだが。どうやら俺は人間側に監視されているようだし、建物を破壊して後で損害賠償を請求されてもたまらん。だから、アビリティは数時間前に一度使ったきりだ。それでも一度使っただけで、一帯が廃墟と化してしまったし、あとできっと問題になるだろうな、あれ……。
「なんなんだ、あの化け物はっ!!?」
最奥で指揮している青い肌に角を生やしたイケメン悪魔が泣きそうな声を上げる。
多少同情はするが、人食いの化物を見逃すことはできない。一匹残らずこの東京にいる悪魔は俺が駆逐する。それが唯一といってもいい俺のバアルを攻略する方法なのだから。
俺はゆっくりと近づき、奴らから血液を抜き取り絶命させる。もはや、俺にとってこいつら分京区の悪魔どもは俺の養分となる程度の意義しかない。
イケメン悪魔を守護している紺のローブにとんがり帽子を被った悪魔たちが申し合わせたように杖を天に掲げる。
俺の足元に六色の光が集束していき、次の瞬間――閃光が四方八方に過ぎ去っていく。
「どうだぁ!? 火、水、土、風、雷、氷の六属性の能力の同時アタックだ。骨さえも残らず――」
「うーん、残念!」
煙の中から五体満足で現れる俺に指揮官は顎が外れんばかりにあんぐりと口を開ける。その顔はたっぷりの絶望一色に染まっていく。
無理もねぇよ。奴が俺でもこんなター〇ネーターのような奴とドンパチやるのは御免だろうさ。
それにしても、防御アビリティも統合進化し、物理耐性に加え、今や火、水、土、風、雷、氷、光、闇の全8属性に耐性と、猛毒、麻痺、石化、催眠、呪いなどの状態異常の耐性を獲得している。俺の非常識な耐魔力とも相まって、俺にはこの手の魔力を使用する系の能力はほとんど効果がない。
ちなみに常時発動型のアビリティの消費血液は一応確認してみたが常時僅かに減少し、効果があった場合のみ大量に消費される仕組みのようだ。
「死ねぇ、化け物がぁぁっ!!」
破れかぶれかもしれない。紅の槍を振りかぶり、それを俺に向けて投げて付けてくる。
クロノの銃口を向けるが、槍が突如軌道を変えて上部へ向かい、俺の脳天へ落下してくる。
「やれやれ」
俺は鼻先まで迫った紅の槍を特定し、その内部を【チュウチュウドレイン】により奪い取る。直後、俺に衝突してガラスのように粉々に砕け散る紅の槍。
「そ……んな。あれは武功を上げて獲得した最上位の鍛冶悪魔が作成した槍だったのだぞ? それが砕け散った? あり得ぬ。そんなあり得てはならぬ……」
遂に戦意を喪失し、両膝を付いてしまう。
「うあぁ……」
「嫌だぁっ!」
「く、来るなぁッ! このぉ――化物めぇーー!!」
将が敗北し、絶望の声を上げて後退る僅かに残った側近悪魔たち。
そいつらをすべて特定し、俺は全力の【チュウチュウドレイン】により、その血液の全てを奪い取った。
『運営側からの通告。人類が分京区を奪還しました。奪還特典により人類側の領土として分京区は永久に保持されます。ただし、悪魔種と人類とのウォー・ゲームに人類が敗北したときは、この領土保持の効力は消失します』
そんな天の声が聞こえ、このとき分京区は俺達人類側が奪還した。
お読みいただきありがとうございます。
【読者様へのお願い】
ご興味いただけましたら、ブックマークと評価での応援お願いいたします!
下にスクロールしていくと広告下側に【☆☆☆☆☆】がございます。執筆活動の励みもなりますのでどうかご協力お願いいたします。




