7.魂魄と魔力量
すいません。
昨日が忙しくて一日遅れの投稿となりました。
翌日。
早速、魔力量を増やす訓練をするために、まだ日が昇っていない早朝から訓練場へと来ていた。
俺としては図書館しても良いんじゃないか?とも思ったりしたわけだが……。
「もし、魔力が暴走して図書館を壊したら、弁償できるんですか?マモル」というマリルからの優しい忠告によって中断となった。
だが、訓練場は基本的にクラスの連中が使っていて、俺の秘密の特訓が筒抜けになってしまう……。
そのため俺たちは早朝からクラスの連中が来るまでの時間を訓練に当てることにしたのだ。
「マモル、今からあなたが行う訓練法ははっきり言って相当辛いものです。もしかしたら地面に吐瀉物を撒き散らして失神するような事態になる可能性さえあります」
「……つまり?」
「マモルはそれでもこの辛い訓練をやり遂げることができますかーーー?」
挑発的な笑みを浮かべたマリルに、俺は肯定の意を示す。
◆
通常、魔力量を増やすには魔物を倒すことが先決される。
その方が短期的な魔力量の向上が見込まれるからだ。
どうやら魔物の身体というものは、相当魔力が詰まっているらしく、そいつを倒した時に一時的に浴びることに魔力が、人間の魔力量を上げてくれるそうだ。
ゲーム的に言うなら経験値が手に入る、ということだろう。
ただし、その人それぞれには魔力許容量というものがあるらしく、どれだけ魔物を倒してもある一定のところで魔力量が上がらなくなるそうだ。
これが魂魄の限界というらしい。
そして、その魂魄の限界を超えるためには、ある内容の訓練をする必要がある。
それが今から俺が行う訓練だそうだ。
マリル曰く、この訓練は死ぬほど辛いらしい。
というのも、本来自分にあった形をしているはずの魂魄を無理やり大きくするのだ。
身体中から拒絶反応が出て、最悪の場合死に至るケースもあるらしい。
「まぁ、私がいる限りそんなことは万に一つとして起きることはありませんが……。そうですね……ただ、辛いというのはどうしようもないので、これに関してはなんとかしてマモルに頑張ってもらうしかありませんけど……」
「……わかった。覚悟して挑ませてもらうよ。……それで?魂魄を広げるというのは、どういう訓練なんだ?」
「そんなのは簡単です。ーーー魔力がゼロになるまで魔力を消費すれば良いんです」
ここから俺はしばらくの間、地獄を見ることになる。
◆
魔力をゼロになるまで使え、と言われた以上、俺も遂に魔法を覚える日が来たというわけだ。
無属性魔法と障壁魔法。
最初、どちらから使ってみようか?とも悩んだものだが、やはり最初ということもあり、自身の属性の魔法を使うべきだろうと判断する。
「えーと……障壁魔法の初級魔法は、っと……」
魔法には等級がある。
簡単なやつから順に、初級、中級、上級、超級、帝級、神級、となっている。
生活の中でも使うようなもので、中級になればちょっとした護衛術として役に立つレベル。
上級ともなれば魔法職としてやっていけるレベルだし、帝級ともなれば国王の護衛を任せられるようになるらしい。
神級に関してはほとんど使える人間が見当たらないらしい。
ただ、もし使えるのだとしたらその人は国の長になっている可能性が高いとのこと。
まぁ、俺は神級とかそこまで高望みをしているわけではないが、せめて超級ぐらいまではマスターしておきたいと思う。
そんなわけで記念すべき第一回目の魔法は……。
「『障壁板』……」
半透明のノートパソコンサイズの何かを生み出す魔法だった。
……初めてでこれか。
少しばかり魔法というものに憧れていたが故に、その失望感が結構大きい。
そのノーパソを手で叩いてみると、コンコンという音が聞こえてきた。
他にも殴ったり蹴ったり地面に叩きつけたりとしてみたが、ノーパソには傷一つ付いた様子がない。
……なるほど。
障壁魔法というだけあって中々頑丈に出来ているようだ。
少なくともそこらへんにある岩よりは硬いようだ。
しかし、俺はこんなへんてこなものを生み出すためにどのくらいの魔力を使ったのだろうか?
魔力が減った感覚はわかるのだが、どのくらい減ったのかが知ることができない。
これは結構不便だな……。
そんな俺の内心の感想に答えたのか、マリルが一枚のカードを差し出してくる。
「これは……?」
「これはステータスカードと言って、マモルがこのカードに魔力を通すと、マモルのステータスが出るようになっているんですよ」
「へー」
ナイスタイミングなマリルのプレゼントに礼を言って、俺は早速魔力を通してみる。
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名前 マモル・トウジョウ
魔法 障壁魔法
魔法形態 防御型
魔力量 100/150
熟練度 F
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100/150!?
ちょっと待て!
さっきのノーパソで魔力を50も使ったのか!?
マリルから魔力消費が激しいとは聞いていたが、これ程とはな……。
「……(才能があるとは思っていましたが……。まだ魔法の訓練を始めて一週間も経っていないのに……?他の異界の方達とも明らかに違う。あの勇者様ですら……)」
「ん?どうかしたのか?マリル」
「……ええっと、まぁ、話に聞くよりも激しい魔力消費だと思いまして……」
「そうだな」
あのノーパソで50。
俺がまともに戦えるようになるためにはどれだけの魔力量が必要になるのだろうか?
少しばかり先行きが不安になる俺だった……。