踏まれるな
「鬼さんこちら、手の鳴る方へ」
日が沈み始めた午後五時半。
帰る気配の無い子供達の影をさらに長く伸ばす。
「鬼さんこちら、手の鳴る方へ」
一人の子を中心に、周りが鬼の子を呼ぶ。
鬼の子は立ち止まる。
子供達の影がさらに長くなる。
最初は面白がってた子供達も徐々に声を荒立て
「鬼さんこちら!手の鳴る方へ!」
手拍子を早くしていった。
「あ、えっと」
捕まえようと一人に近づく。
でも、影を踏むと鬼の子は立ち止まる。
それの繰り返し。
辺りが暗くなり、誰かが、「つまらない!帰る」と言い出した。
次々と薄い影が公園から消えていった。
公園の中央で、黒い物質が笑っていた。
翌日。
ある小学校で、頭が潰れている児童が死亡しているニュースが流れた。