表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

甘いブドウ

作者: 増山あろは

あるとき、小さいシカがいました。

シカには、ずっと前から食べたいと思っていたブドウがありました。

ブドウは色がとてもよくて、見るからに甘そうなものでした。

ですが、そのブドウは鋭い枝に覆われていて、とても近づくことはできませんでした。

いつもは遠くから眺めているだけのシカでしたが、あるとき意を決してブドウに話しかけました。


「ブドウさん、ブドウさん。あなたのことをずっと前から見ていました。あなたを食べさせてくれませんか」

すると、ブドウはこう答えました。

「どうして、あなたに食べられないといけないの?あなたは身体が小さくて、何もできないじゃない」

「でも、あなたを食べて、その種を遠い場所に落とすことができます。」

「そんなこと、他のシカにもできることよ。鳥にだってできる。とにかく、あなたは絶対に嫌」

そういって、ブドウは黙りこんでしまいました。当然、枝に覆われたままでした。


シカは悲しくなって、その場から去りました。

(たぶん、あのブドウは本当に甘いのだろう、でも食べてしまうとそれっきりだし、

もしかしたらそれほど甘くないのかもしれない。だから、今までと同じ通り遠くから見ているのが一番いいんだ。ブドウは、見ているときが一番甘いんだ)

シカは、そう考えることにしました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ