勝利
俺は、奇声をあげて殴りかかろうとするボスを力強く蹴っ飛ばした。
「よくも、妹を!!」 そんなようなことを叫び散らしながら。
――もはや、何を言ったのかすら覚えていない。
ボスを目の前にして、俺は我を完全に忘れて暴走していた。
それは、憎かったから。 とてつもなく、憎く思えたから。
だけど、何よりも妹を巻き込んでしまった自分の不甲斐なさが憎かった。
だから、俺はボスの顔をグチャグチャにした後に、、、
いや、気が付いたらボスが勝手に気絶していて、、、
いやっ、俺が憎しみを込めてグチャグチャになるまで、
ボスの顔をひたすら殴り続けたから、ボスが気絶して、、、
そのことに、ふっと我に返って気付き、 俺は俺を責め、
だけど、そんな風に後悔する俺よりも、 何よりも、 誰よりも、
その現場を、最初から最後まで見ていた妹が泣き叫んでいた―――。
「やめてっ! おにぃちゃん!!」 「もう、終わったから!!」
――その声が、俺の自傷行為を止めた。
俺は自分を責め続けた結果、
無意識のうちに、自分の顔面を殴り続けていた。
右の拳は何十人もの敵を相手した挙句、自分を殴り続けた所為で、
皮が捲り上がり、肉までもが見えていて、 よもや感覚はなかった。
そして、俺の顔面は自らの拳にやられ、青や赤のアザだらけで、
左腕の骨折部分も紫に腫れ上がり、 俺の全身はボロボロだった。
だけど、勝ったんだ。 そのことは、間違いない。
俺は大切な妹を巻き込んでしまったけれど、護ることが出来たんだ。
我を失って自分で自分に傷をつけるとか、どうしようもない馬鹿だけど、
俺は結果的に妹を護ることが出来たんだ。 俺は、それだけで十分。




