閑話休題の一
閑話休題する必要すらないのにこういうのを・・・
グロ表現あります。苦手な方はそのまま飛ばして下さい。
「はぁっ・・・はぁっ・・・くっそ・・・」
一体・・・どうなってるんだ・・・
―あは、アハハハはハはははハ!!!―
「・・・なんだってんだよ・・・」
いつもはこんな感じじゃなかった・・・はずなのに・・・
「どこから歯車が抜け落ちたんだ・・・?」
機械仕掛けの時計と共に過ごしていた感覚。
どこで歯車がなくなった・・・?
「そうだ・・・あの時・・・」
思考した直後に想起されるのは今では忌々しい彼女の事。
いや、アレ(武田 ゆう)の事。
あの時から(・・・・・)
彼女は変わった(・・・・・・・)
・
・・
・・・
「なぁ、ゆう君。」
「はい?」
「もし、この世界がとても醜く惨たらしい世界になったら、君はどうする?」
「・・・そう、ですね・・・
考えつきません。」
「そっか。ま、そんな事があるわけないからいいんだけどねぇ。」
「あったとしてもつまらないと思いますよ。必死に逃げて、場合によっては死ぬか生きるかの瀬戸際に追い詰められて、嬲り殺される。そんな事だってあるかもしれませんし。」
「はっはっは、確かにそうだね。そうなったら俺みたいな貧弱は一瞬で終わってしまうね。」
「意外と筋肉はあると思うんですけどね。」
「どうだろうね。屈強な男とか、それこそスナイパーのような人が居ればすぐ死んじゃうさ。」
「それは誰でも同じじゃないですか・・・」
「はっはっは。ま、そんな事が有り得てたまるか!って所だね。平和の国日本じゃ絶対にないさ。」
「そう・・・ですね。
っと、そろそろ私は帰りますね。お疲れ様でした。」
「はいよ、バイバーイ。」
・・・
・・
・
あの時何故彼女は一瞬だけ思考した?
何故?
思考せねばならない言葉が出たから?
―せんぱぁい・・・どぉこでぇすかぁ・・・?あハ、かくれんぼですかぁ?―
甘ったるい様な、耳にまとわりつくような声が届く。
それだけで意識の線が千切れる。
気持ち悪い
今すぐ吐いてしまいたい
今
イマ
シニタ
「っ!」
ガンッガンッ!
ポタポタ,,,
無理やり意識を覚醒させる。
「危ない・・・あの声だけで死にそうになった・・・ありえない・・・」
「とりあえず、ここは危険だ。逃げよう。」
―せぇんぱぁいぃ・・・みつかりませんよぉ・・・―
まただ。また意識が朦朧とする。
頭を振って意識を覚醒させる。
「っ・・・」
強く振りすぎたか。少し眩暈が・・・
「と、いうか。この惨状はすべてアレ(彼女)のせいか・・・?」
いくらなんでも人間ごときがここまでできるとは思えない。
「機械を操る・・・?いや、アレ(彼女)じゃ無理なはず・・・それらの扱いには慣れてないはずだ。いや、アレなら大丈夫なのか・・・?
今の壊れたゆう君なら。」
―ん?んぅー?―
アレがこちらの方を見渡してきた・・・
―・・・アハ・・・みぃつけたぁぁぁぁ!―
「ッ!?」
全身の細胞が警告を出す。
逃げろ
逃げろ逃げろ
逃げろニゲロ逃げろニゲロニゲロ
ニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロ
殺される
殺されるコロサレル
「あはん・・・いいにおぉい・・・」
ゾクゾクゾクッ!!
「ッ!?クッ!」
瞬時に全身を呼び起こして離れるように逃げる。
―あぁん、どうしてニゲちゃうんですかぁ・・・―
・・・お前に捕まりたくないからだよッ!!!
『・・・う、うわぁぁぁ!来るな!化物ぉぉぉ!!!』
やめろ!よせ!!!
―ワタシはぁ・・・せ・ん・ぱ・い・と。オニごっこしてるんですからぁ・・・―
バキュグチャ
あ・・・あぁぁ・・・
―ジャマなモノはゼンブ排除シマスね♪―
本ッ当に気持ちが悪い。なんなんだアレ(彼女)は。
人・・・ヒトガタを素手一つで殺した・・・
あんなの・・・
―あー、でも、ちょっと硬いかなー。やっぱりキンニクが多いヒトのお肉はまずいですぅ―
絶対に捕まって(喰われて)たまるかッ!!!!
「(にげたいか?)」
「!」
―せんぱぁい、どうしまぁしたぁー?―
「(逃げたいならそこを左に曲がれ!)」
「・・・こっちか!!」
―ジャア、オニ(・・)ごっこ再開ですぅ!!アは!あははハ!―
ほとんど音が立たない走法をしているのだろう。
タッタッタッ
という音が微かに聞こえるだけだ。
音は軽やかなのにスピードは常人のソレとはまったく別物だった。
ギネス記録間違いなしだ。
「くぅっ・・・間に合え!ウオオオオッ!」
柄にもなく体に鞭を打って全力疾走する。
意味は成さない。しかし、捕まる(捕食される)時間は長くなる。
ズシャァァァァァァッ!!
・・・あれぇ?開きませんねー・・・
ドンッドンッ
・・・開けてくださいよぉせんぱぁい・・・
ドンッドンッ
「ほら、今のうちに逃げるぞ。遠くへだ。」
ドンッドンッ
「あ、あぁ・・・ところで、あなたは?」
「・・・ん?あぁ、俺か。俺は・・・
そうだな、セイギのミカタとでも覚えといてくれ。」
「ふむ・・・そっか・・・
もう一つ、聞いてもいいか?」
この間にも足を止める事はない。止めたら死ぬから。
「あ?あー、答えられる事なら。」
「アレ(彼女)は何だ・・・?」
「『感染体』俺達はそう呼んでいる。」
「バイオ・・・システム・・・」
「あれは細菌の一種だ。際限なく繁殖し、最終的にはその感染体を苗床として無限繁殖を繰り返す。
殺戮兵器って所だな。」
「そんな細菌なんて聞いたことない!人工細菌だとでも言うのか!?」
「ご明察。そう。あれは化学兵器だ。元々は戦争で投入される予定だったらしい。」
「せん・・・そう・・・
せんそうって、あの戦争だよな・・・
まさか、そんなものが日本になんて・・・」
「残念だが本当だ。
これはある国が極秘に日本に高性能化を迫った作品だ。
検体番号は671。今はまだ解毒薬・・・特効薬か?はまだ出来てない種だ。」
「検体番号・・・極秘・・・高性能化・・・
もしかして、ゆう君は・・・」
「ワクチンは用意されていた。でも失敗した。なんでだと思う?」
「・・・研究・・・者の・・・皆殺し・・・」
「お察しのとおり。そしてその検体はどうなる?」
「外に解き放たれる・・・つまり今の現状・・・か。」
「抗体さえあればすぐに死滅する細菌という事まで判明している。
そしてどの国が持ち込んだのかも、な。」
「なんだってこんなことに・・・」
「さぁ、逃げるぞ。今ならまだなんとかなる。
お前はワクチンだ。ワクチンに死んでもらっては困るんだよ。」
-To be continued-