メモリー9
眩しい日差しに目をギュッと閉じた。
私の部屋はこんなに日当たりは良くないはずだと思いながら、体に感じる重みに
悲鳴をあげそうになった。
どうして信也がここに・・・?
慌てて回りを見渡し、自分の部屋じゃないことに気付いた。
・・・どうすればいい?
そっと抜け出そうとすれば、するほど、ギュッと抱きついてくる腕が痛かった。
でも今日は朝から外せない講義がある。
「お願い離して・・・・・・」
仕方なく信也の鼻をつまんでみた。
こんな時いったいどうして良いか解らないから仕方なかった。
苦しそうな顔をした信也は、目を開くと急いで口で呼吸を繰り返した。
「いったい、なんなんだよ!!!
起こす時は目覚めのキスに決まっているだろう!!!
童話の一つ読んだことねえのかよ!!!」
そうとう怒っている信也の表情に思わず奈美は噴き出していた。
(決して悪気があったわけじゃない)
その表情がいつもと違い無邪気過ぎたから・・・
重なった唇に時が止まったような気がした。
慌てて信也の顔をどかそうとするが力の差は大きかった。
重なった唇から信也の舌が無理やり口の中に入ってきて焦った瞬間噛みついていた。
「痛い・・・・・・」
信也は、慌てて飛びのいたが・・・
口の隅から血を流した信也は凄い形相で奈美睨みつけた。
それから逃れるように、奈美は信也を突き飛ばし形振り構わず部屋から飛び出した。
こんな状況、大嫌い・・・
嫌な光景が脳裏を占拠していた。
信也サイド
奈美の信也を睨み付けた顔が忘れられなかった。
悲しそうな顔をしていた。
俺はそんなに酷いことをしたのか?
今までの女と違い、扱い方が全くわからない状況に信也は困惑を隠せなかった。