メモリー8
今時、水割りで酔いつぶれる奴がいるなんて笑いが漏れそうになった。
背中と太ももの裏に腕を入れ、ゆっくり奈美の体を持ち上げた。
俺が想像していた以上に奈美の体は軽い。
優しい香りが俺を包みこんだ。
香水じゃなく、奈美自身の匂いだって気付くのに時間は掛からなかった。
髪に顔を埋め深く奈美の香りを吸い込む。
ほのかな香りに酔いそうになる。
それだけで酒に酔う以上の興奮を得られた気がした。
俺が求めていたものはこれだった。
俺の名声狙いの女じゃなく、
奈美みたいに俺のことを警戒する無垢な女
俺はこの時、絶対奈美を手に入れたいと心底感じた。
車の助手席を倒し奈美を寝かしつけシートベルトを掛けた。
このまま家に連れ帰りたい気持ちにかられ、悩んだ。
ハンドルに手をかけ暫く深く考え込んだ結果。
隣から聞こえる寝息が俺の気持ちを昂らせその瞬間アクセルを踏み込んでいた。
手を出さないぶんには大丈夫、もう少しだけ一緒にいたかった。
夜は俺の気持ちを孤独にさせ、一人じゃいられなくさせる。
だから、毎晩俺は見知らぬ女をホテルに誘う。
後腐れのない関係、
何時も俺は自分のマンションに女を連れ帰ることは、なかったが、
この時ばかりは自分のマンションに車を走らせていた。
ベットの上に寝かしつけた奈美は起きる気配は全くなかった。
無邪気な寝息を立てている。
奈美の寝顔を見つめているうちに俺も酔いが回り、隣に潜り込んだ。
奈美の香りが俺に安心感を与えてくれる。
ギュッと奈美を抱きしめた頃には俺は、夢の扉を叩いていた。
いつもだったら、こんな事、有得ない・・・
女に手を出さないなんて。
更新遅めでいつもすいません。
それでも読んでくれている人がいると思うと
嬉しく感じます。感謝します。