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メモリー  作者: 花子
2/17

メモリー2

鏡の前に立つと顔が真っ赤になった自分が見つめている。

お酒に弱いのも限度があると思いながら溜息が出る。

一層このまま帰りたい、携帯を取り出すと、裕子に電話をした。


「ごめん、お酒、飲みすぎて気分悪いから先に帰るね」

「ちょっと待ってよ。

 今からみんなでカラオケ行くことになったから、それまで付き合ってよ」

溜息が零れそうになったが、

「解った。本当に気分悪いから、外に出たら帰るね」

念を押していた。


 すぐ近くにあるカラオケ店に移動し、なぜか?みんな信也の歌に聞き入っている。

確かに上手いが・・・

暗い部屋の中、バラードが流れている今がチャンスだと思い荷物を持ち立ち上がった、

こっそり脱け出せば大丈夫だと思っていたのに・・・


「良い度胸だな。俺様の歌の途中で脱け出すなんて」

マイクから響く声に身体が硬直してしまう。

みんなの視線がいたくて立っていられない。仕方なくもう一度座りなおした。

本当に気分が悪い。頭がクラクラする。

それなのに戻ってきた信也はわざと奈美の隣に腰掛けた。


 女の子達が自分ばかり目立ってズルイ・・・そんな冷やかな目で見ていて居心地が悪い奈美・・・

その中に裕子の視線を見つけ、悲しくなった。

(そんなつもりはこれっぽっちもないのに・・・)


「気分が悪いので先に失礼しますね」

小さい声で呟いてみた。

「酒少ししか飲んでないのに酔ったりするのか?」

不思議なものを見るような目をした信也の顔が目の前にあった。

いつから見られていたのか知らないけど信也は私がお酒を少ししか飲んでいなかったことに気付いている。


「元々飲めないから少しだけで充分酔ってしまうんです」

信也と話していると余計に気分が悪くなり我慢の限界で立ち上がった。

勢いよく駆け出そうとしたが、後ろから手を掴まれた。

「俺送っていってやるよ。車の方が楽だろう」

優しい笑顔に思わず頷きたくなったが、視線に気付いた。

「本当に結構ですからそれより私の友達をお願いします。

 私が帰ったら一人になっちゃうから・・・」

苦しい言い訳を繰り返しながらもやっとの思いでその場から逃げ出すことに成功した。


 カラオケ店の外に出ると冷たい空気が酔いを落ち着かせてくれる。


読んで頂きありがとうございます。

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