メモリー11
「あんたって女は最低ね」
なんとか時間に間に合ったのは良かったが、教室に入った瞬間、
頬に走った痛みに呆然とその場に立ち尽くした。
「奈美、最低友達の彼氏に手を出すなんて‥‥‥」
周りからヒソヒソ声が聞こえてきた。
慌てて、
「違う。
そうじゃない」
否定しても、優子は怒りで顔が引きつらせていたる。
「レポートのことで奈美に電話したらどうして信也が奈美の携帯に出るのよ。
奈美のこと信頼していろいろ信也のこと相談していたのに酷すぎる・・・」
大粒の涙を流し大げさに足から崩れ落ちた優子に周りの女子が駆け寄った。
「大丈夫だよ。
信也さんも一瞬の気の迷いだって」
「奈美なんかより優子の方が美人だから自信もって」
「地味な奈美が優子に勝てるはずなんかないじゃない」
次から次へと浴びせられる罵声
奈美に対して悪意のこもった言葉に耳を覆いたくなったが、
「待って本当に違うの。
信也さんに優子のことで相談があるって呼び出されて、きっと
その時携帯店に忘れてきたんだ」
優子は奈美を鋭い視線で睨みつけた。
「信也の相談てなによ?」
優子の声の響きに変化が見えた気がする。
「相談されたのは、優子が信也さんに大して本気がどうか」
その場で必死に嘘をついた。
本当はつきたくない嘘だけど今は仕方がない。
「それで奈美はなんて答えたの?」
「優子は信也さんに対して本気だって伝えておいた。
たったそれだけだよ。
すぐに後は別れたよ」
周りの女子の刺すような視線が痛い。
「本当に本当なの?」
優子の声が柔らかくなる。
「本当だよ」
嘘をつくのは、心が痛いと思い知らされる。
「私と信也のこと、ちゃんと応援してくれていたんだ」
その瞬間、優子は立ち上がり奈美に抱きついた。
せっかく面白いものを見つけたと喜んでいた女子は、冷めた視線を二人に送った。
「奈美大好き。
今夜にでも奈美の携帯私が預かってきてあげるね」
いつものようにご機嫌な声に戻った優子に一安心したが、
本当にこれで良かったのか自信はなかった。
一人になると心が痛い。
もう二度とあの人には会いたくない。
奈美は心に誓ったが、物事はそんなに上手く回らない。
いつも更新遅くてすいません。
それでも読んでいてくれる人、本当に感謝します。