ショートショート:漫才 宇宙旅行
お囃子
会場拍手
A「どうもー」
B「いつもの二人で漫才やらせてもろてますー」
A「最近はどないですか、なんぞ変わったことありましたか?」
B「そうですなぁ、ぼくの周りでは宇宙に行かはる人が増えましてね」
A「それやがな。すっかり宇宙旅行が身近になりました」
B「こないだもタウ星系にご近所さんが行かはりまして、お土産を持ってきてくれはりまして」
A「おお、よろしいやん」
B「これどうぞー、言われて渡されたもんがむこうの石ころや言うてね」
A「なんやそら、まんじゅうとかとちゃうんかい」
B「なんや言いはるには、あちらの石は学術的にそれはもう価値があるんやと言うてやね」
A「ああ、地球以外の石を調べると宇宙の成り立ちやら分かるとは言うわねえ」
B「そうそう、そない進められて土産物屋さんで買うてきたらしゅうてね」
A「……それ、騙されはったんちゃうか?」
会場笑い
B「いやいや、そうと決まったわけではないやろ」
A「そやで、ぼくはこないだタウ星系から来はった人に道ばたの石ころ売りつけたもん」
B「きみもやっとんやないかい!」
会場笑い
B「それはそうとして、ぼくらも宇宙旅行にでも行きたいねぇ」
A「ほな、きみとぼくとでやってみようや。ぼくが旅行者やるからきみが宇宙船のCAさんや」
B「よしきた」
二人、くるっと回って体勢を変える。
B「当機は地球を出発してアンドロメダ宙域への航行となっております」
A「すんませーん、すんませーん」
B「あら、どうかなされましたか?」
A「ちょっとお腹が減ってきたんですけど、機内食はまだでっか?」
B「かしこまりました。機内食は二通りからお選び頂けます」
A「ほう、なんですか?」
B「一つは鳥系人向けの昆虫料理、もう一つは植物系人の肥料水となっております、どちらをお選びになりますか?」
会場笑い
A「いや、ぼくは人間やからどっちもいらんわ。他のんはないんかいな?」
B「申し訳ございません、この機内には余裕がありませんので昆虫か肥料かの選択になっております」
A「ちょっと待ってえや。ここに乗っているの、ぼくを入れてほとんど地球人やで?地球人向けのはないのんかいな?」
B「あら、申し訳ありませんでした。地球人の乗客の方でしたか」
A「見て分かるやないか、どこからどう見ても地球人やないかい」
B「失礼致しました、口がとんがっておられましたのでてっきり鳥系の方かと」
会場笑い
A「ええかげんにしてえや、おちょぼ口は生まれつきやがな。地球人向けのはないの?」
B「それでしたら追加料金をお支払いいただけましたらファーストクラス向けの限定食をお出しできます」
A「あるにはあるんや、でもそれは相当高そうやねえ」
B「はい、今お持ちのお金を全額頂くことになりますが」
会場笑い
A「なんやねんそれ!いくらとかやなしに全部巻き上げるんかい!どないかならんのかいな」
B「そうは言われましても、本来はファーストクラスのお客様向けでございまして」
A「もうかなんなぁ、しゃーない、ないよりマシや、肥料でええわ、水みたいなもんなんやろ」
B「承知しました、お持ちいたします」
A「なんか思てたのとちゃうなぁ。宇宙旅行やから宇宙食とかチューブに入ったもんでも出てくるんかと思てたのに」
B「こちらのお客様、ご予約の宇宙食でございます」
A「そっちにはあるんかーい!」
会場大爆笑
A「もうやってられんわ!」
B「失礼致しました」
会場拍手




