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一人百物語

ポンッ

作者: 犬猫夜行
掲載日:2026/07/18


夏のある日、従兄弟の和明兄さんはホースで自宅前の道路に水を撒いていた。

と、ホースを持つ掌に、何かが当たった。ホースの中を何かが通って行った様だった。

「?」

と思うとほぼ同時に、ホースから何か白っぽい塊がひとつ、ポンッと小さな音をたてて飛び出していった。

それは水と一緒になだらかな放物線を描いて3メートル弱ほど宙を飛んでゆき、道路のアスファルトの上に何回か跳ねながら落ちた。

何だろうと数歩近づいて見てみると

ホースから飛び出したものは薄い肌色をした、大きさも形も小さめのミカンくらいのもので……真ん中あたりには小さな尖った歯をむきだしにした物騒な口がついていた。目鼻と手足は無かった。


「シャーッ!」


その奇妙なものはさらに歯をむきだして唸ると、ピョンと跳ね上がるや道路脇の雑草の中に消えた。

以降、和明兄さんはあたりの薮に入るのが、なんとなく怖くなってしまったらしい。


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