★side:バーノン
一羽の鳥がバーノンの元へ飛んできたのは、そろそろ昼休みも終わろうかという時間だった。
それまでは、クラスメイトのダグラスと話をしていた。彼には先日、お節介ながら『付き合う女は考えた方がいい』と、スカーレットのことを忠告していたのだ。それから、ダグラスはスカーレットのことを自分なりに調べ、裏の顔を色々と知ったようだ。その愚痴に付き合っていたのである。
鳥を模した使い魔は、バーノンの手に乗ると、ぐにゃりと手紙へと姿を変えた。
『ディランが、教員により拘束されました』
その報告を見たのは、ロベリアが教室に駆け込んでくる直前のこと。
その一文では、何が起きたのかは分からなかった。ただ一つ、彼が拘束されたのは、ロベリアに何かあったから。分かったのはそれだけ。
全容を把握できたのは、当のロベリアから経緯を聞いてからだ。
「さて、と」
バーノンは、授業開始の鐘が響く中、教室を出ていく。
まずは、ディランから詳しく話を聞かなければ。
それから……。
そう、それから、スカーレットには、ぜひとも先日のお礼もしなくてはならない。
バーノンは考えを巡らせ、薄く笑った。