モンスターたちの座談会
深い深い森の奥、なにやら話し声が聞こえてきました。
「最近、冒険者が増えてきましたね」
「この森にも、毎日のようにやってくるから、キリがないぜ」
そこにいたのは、スライムやゴブリンなどの、モンスターたちでした。
すると、大きな足音が響き渡ります。
「こっ、この足音は!」
「この集まりには、あの方も参加するのか……」
オーガがため息をついていると、木々の間からドラゴンが現れました。
「おぉ、皆集まっているな」
「ドラゴン様、この集まりはなんなのでしょうか」
オーガが尋ねると、ドラゴンはため息をつきます。
「近頃、冒険者が多いだろう?」
「そうですね……この森にもよくやってきますし」
「僕たちスライムは、初心者の冒険者から狙われるから、逃げるので精いっぱいですよ」
「俺たちゴブリンも、この間魔法使いと出会って、大やけどしましたからね」
「うわぁ、それ悲惨ですね……」
ゴブリンの話に、スライムは顔を引きつらせます。
「それに比べて、オーガさんやオークさんは、戦えていいですね」
「そうでもないぞ」
オーガは腕を組んで、周りを見回します。
「俺たちのところに来る時は、相手も人数を多くしてやってくるからな」
「それだと、厄介ですね」
「皆、わしの話も聞いてくれ」
皆が話していると、ドラゴンが割って入ってきました。
「わしなんて、洞窟の奥にいるから、誰も来てはくれないのだ!」
「それは……いいことではないのですか?」
「いいことなどあるか!」
ゴブリンの発言に、ドラゴンは怒ります。
「誰も来ないということは、暇でしょうがないということだ!」
「えーっ!?」
「このわしが強いのはわかるぞ? でも、誰か一人くらい来てもよかろう……」
あぁ、結局自慢話か……と、全員は顔を見合わせます。
その間でも、ドラゴンの話はとまりません。
やがて陽は沈み、夜になりました。
しかし、ドラゴンの話は終わりません。
「これ、いつまで続くのでしょうか」
「この方の気が済むまでだろうな」
「そんなぁ……」
そして、ドラゴンの話は朝まで続いたのでした。
「うむ、わしは話して気が済んだ」
「それは、よかったですね……」
皆疲れて、ぐったりしていました。
「よし、なら今日もこの森に来る冒険者どもを倒しに行くぞ!」
「えーっ!?」
その後、冒険者との戦いは、いうまでもありません。
そして今日もまた、モンスターたちは集まって話し始めるのでした。
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