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【神ノ2】お前のせいで地球が風邪をひくかもしれん

〜〜ԅ(ФωФԅ)ԅ(ФωФԅ)ԅ(ФωФԅ)ԅ(ФωФԅ)〜〜

【前回のおさらい】

なんか、横浜に住んでるミハルさんが、神の一種に呪われたと思ったら、頭の上に植木鉢が落ちてきそうになって、びっくらこいているところです

〜〜ԅ(ФωФԅ)ԅ(ФωФԅ)ԅ(ФωФԅ)ԅ(ФωФԅ)〜〜



ーー危ないっ!右に避けるにゃっ!!ーー


どこからか脳に声が響き、ミハルは驚いて反射的に右に飛んだ


ーガシャーンッ!!ー


さっきまでミハルがいたところに大きな植木鉢が落ちた

どうやら、上のマンションの一室から落ちたようだった


「・・・あっぶなっ!

 あの、、、ありがとうございました。」


ミハルは声をかけてくれた人にお礼をと振り返るが、そこには誰もいなかった


「え、、、なに?

 あの声、、、ひょっとして、、、」


声の主にあたりをつけたその時に、また脳内に声が響く


『ようやく波長があったようだな、、、

 まったく、危ないところだったぞ大事なことだって言ったのに!』


その声の主は先ほど出会った猫のひょんのようであった

その場にひょんの姿はなく、いわゆるテレパシーって奴らしい


「なに、、!あんたの仕業だったの!?

 イタズラもほどほどにしなさいよ!」


ミハルはよそ行きの声色から変えて、空を睨みながら言った


『お前、だから早とちりするな!

 いいか、お前は死神に標的にされているんだにゃ』


「はぁ?あんたねぇ、、、

 猫が喋ってテレパシーするくらいの不思議現象から死神

 なんて、飛躍しすぎでしょ

 じゃあ何よ、あたしが死神に殺されるっての?」


『そうだ。そして今日死ぬ

 これからお前に、この金沢区担当の死神の年間の死の執行予算の1/4の予算が使われた作戦が展開される予定なんだにゃ

 死神のヤンニョムのやつも久しぶりに本気だ』


「なによ、その旨辛そうな死神の名前は、、、

 胡散臭すぎるでしょ

 大体なんでわたしが死神にねらわれなくちゃ、、、」


話の途中でミハルははっと我に返り周囲を見渡す


そう、"この人間違いなく独り言を呟いている変な人だよー"という視線を自分に向けていることに気づいたのだ


帰宅ラッシュ時間だけあって、信号赤待ちの人達がそりゃもう結構な人数いたが、その人達の前で“全力の独り言”を撒き散らかしてしまったのだ


いうまでもなく、周囲の100%の人がドン引きしている


しかし、これは見る人よりもやってしまったひとの方が何倍も恐怖である


もう、気づいた時は血の気がサーッと引いて、身体中の血液が全部抜かれた位にサムくなる


しかも急にやめると、“あ、あの人気づいたんだ。変な人じゃなくてやっちまった人だったんだ” と思われて、無用な同情の嵐で致命傷を負いかねない


ああ、消えてしまいたい!と思っても、ドロンッと消えることはできない


ミハルは顔を真っ赤にしながら、足りない脳みそをフル回転させて、なんとか取り繕える策を探すと、開き直ったように前を向いて大声で言った


「よしっ!明日は本番だから、演技がんばらなくっちゃ!うん!絶対主演の座を取るんだ!がんばろう!」


言い終わってガッツポーズを決ると、奇跡的なタイミングで信号が青になったため、ミハルは全力で横断歩道を走り抜け、真っ先に路地裏に駆け込み、真っ赤にした顔を両手で隠しながらうずくまった


「はぁー、はぁー、恥ずかしかったーーー!!」


目をひん剥いて大汗をかいてうずくまるミハルに、ひょんが不思議そうに聞く


『なんだ?お前明日仕事じゃないのか?急に会社の宴会芸の話か?』


「ちがわいっ!あんな人通りの多いところで、全力で独り言かましてしまったから、取り繕ったんだよ!」


『?人間は無駄なことやるな?

 天の声と話してるって正直に言えばいいんだにゃ』


「あほか!そんなことしたら、もうあの道歩けなくなるだろ!明日から道で出会う人みんなからひそひそ話される痛い人になってしまうわっ!

 そうでなくても、2週間くらいは隣駅から通って息を潜めたいくらいだ

 って、ええいっ!そんな話はいいから、早く本題に入ってもらおうか」


ミハルは路地裏でうずくまったまま、キョロキョロしながら口に手を当てて、小声で話す


それははたからみたら、なにかそういう薬物の発作に襲われたような怪しさ満点な人にしか見えない


おそらく、警察が来たらすぐに職務質問される感じである


『ああ、わかった。ちゃんと説明しないといかんから、少し長くなるにゃ』


「ぐっ、、、仕方ないけど、可能な限り短くしてよ

 ドラマの時間に間に合わなくなる、、、」


『お前な、命の危険と言っているのに、ドラマにこだわるのか。サブスクの再放送でみりゃいいだろ』


ミハルはひょんのいかにも合理的でドライな提案にイライラを隠せない


「うるせーっ!リアルタイムで見ることに意味があるんだよ!スポーツの生中継と同じなんだよ!

 SNSで気持ちを共感しながら見るの!

 この気持ちはドラマ好きじゃないとわかんないんだよっ!」


ミハルはまた青筋をたてて反論する


同じようなことは、よく親や友達からも言われるのだが、ドラマ好きからしてみると"マジでなんでこの気持ちがわからないんだろうな?"ということで、非常に腹立たしい話なのである


みんなこぞって、"理解できないなー、アホなんじゃないの?" と言う顔で首をかしげるので、普段は口にしないようにしているのだが、久しぶりにどストライクの痛恨の一撃をくらった感じであった


しかしここで我に返り、ミハルはブルブルと首を横にふって気を取り直す


「あー、だから、もういいや!

 この話はやめにして、早く大事な話って奴を聞かせて!

 可能な限り短くしてよ、まだドラマはあきらめてないんだから」


『お前、本当に危機感ないな、、、

 命とドラマとどっちが大事なんだ、、、』


ひょんはもはや諦めの境地で、可哀想なものを見るような目つきでミハルを見つめながら話すが、ミハルはいたって真剣モードである


「どっちも大事なんだよ!

 推しのサマーメンのメゴロくんが出るから更にゆずれないんだよ。推しを推せなかったら生きてる意味ないからな!」


『わかった、、、前に進まないから説明に入るにゃ


 まず死神は、世の中の魂のバランスを取るために、人の死を管理しているんだにゃ


 現世の生きている魂と霊界にある魂のバランスが自然の要因で取れている時はいいんだが、大きく崩れると、現世と霊界のパワーバランスがおかしくなって、、、』


ミハルはごくりと唾を飲んだ。いまいち信用のならない話ばかりなのだが、ここは非常に大事そうな感じがする


そう、魂のバランスが崩れると、それはもう霊界と現世が混ざって、幽霊とか妖怪とか魔物とかが、この世界に溢れ出てきそうな展開だからである


ひょんは詰まった言葉を吐き出すように、静かな声に力を込めて続ける



『世界が風邪をひくんだ』



・・・!?


ミハルは一瞬聞き間違えたかと思ったが、こんな短い言葉を聞き間違えることはない。別に褒めるわけではないが、ひょんの滑舌は非常によく、なおさら聞き間違えるようなものではなかった


しかしミハルは聞き返す

まさか?そんな?を確かめるために


「・・・世界が風邪?・・・をひくの?」


ひょんは下を向きながら、神妙な面持ちでゆっくりと答える


『そうだ。世界が風邪をひくんだ・・・』


これ以上聞き返す必要はない。確かに “世界が風邪をひく” と言ってらっしゃる


それは残念なことにそうおっしゃっておられる


神の一種がそうおっしゃっているのである


「はぁ?世界が風邪?途中まではどっかの死神漫画の設定のパクリかと思ったけど、世界が風邪ってなんなん?」


ミハルは思いっきり裏切られた。久しぶりに少年少女の青春的なドキドキが少しだけ胸を踊ったが、まさかの微妙なオチにドキドキは行き場を失ったのだ


そんなミハルとは反対に、ひょんはまだ神妙な面持ちで緊張感を醸し出しながら続ける


『あぁ、世界が風邪をひくと、、、』


ゴクリ・・・ミハルはまた息を飲む


期待してはいけないのだが、また一縷の望みをかけてしまう自分の心の若さに、、、若さゆえの過ちとわかっていても、それは止められないのである


『なんかちょっと気温が上がる。風邪が治るまでな』


ん?やっぱりダメなのか?いやまてよ、気温が上がるってことは人類に、世界に大きな影響があるんじゃないのか?


ミハルも神妙な面持ちで聞き返す


「・・・それは、結構やばいのか?

 エルニーニョとか、ゲリラ豪雨とか、、、

 世界を巻き込む大洪水がおきるとか、、、」


ひょんはミハルの話を聞くと、“理解デキナイデスネー” といったように首を傾げる


『いや、本当にちょっとあがるだけ

 気持ちあがるだけだから

 でも、こじらせるとよくないだろ』


「こじらせるとどうなるんだよ」


『気温が上がる期間が長くなる』


ん〜、ダメ?ダメなのか?やっぱりこれ?

まったく真剣な展開にはならない気がするのだが、、、

たまりかねたミハルは問い直す


「いや、どうでも良くないそれ?

 だって、気持ち気温が上がるだけなんでしょ

 こじらせて、肺炎とかになるような感じで、火山の噴火とか大地震が起きるとかじゃないの?」


ひょんは神妙な面持ちから、ミハルを睨みつけるように返す


『お前、世界をなめるなよ。そんな虚弱じゃないんだよ世界は!

 でもやっぱ体調崩すと辛そうでかわいそうだろ

 しかも世界が風邪ひくと、全国の地区管理の神様が管理責任問われてめっちゃ怒られるんだよ』


あー、やってしまった、、、期待なんかしてはいけなかった、、、そんな展開だってことは、かなり濃厚に感じていたのに、、、


なんで人はこう“期待という失敗”を繰り返してしまうのだろう


ミハルはそう感じながら、眉間に皺を寄せて左手で顔を抱えながら怒りを堪え切り替えて話す


「知らねーっ!なんっそれ!?まじどうでもいいんですけど!!

 うわー!このどうでもいい会話で5分も使ってしまった!早く本題に入れー!」


『お前が質問したり、つっこむからだろ! 

 ・・・まあいい。そんな背景がある中、今この横浜市金沢区の魂のバランスが大きく崩れているんだ』


「何が起きたんだ?まさか、裏でとんでもない戦争のような出来事とかが、、、」


いや、期待しちゃいけないと思っていたそばから、なぜそこを期待してしまうのか


人とはかくも愚かな存在なのだろうか


『いや、大型マンションが5棟も立って、多くの人が流入してきたんだ』


・・・


「おおぉぉおおいぃぃっっっ!!!???

 ふざけてんのか!そんなんそこら中でたってんだろ!」


『お前!人間はホイホイと大型マンションとか建てるけど、それによって、神様は地区の魂人口ウェイト調整やってんだよ!


 人口が減るところには、その分人間以外の自然の命のウェイトを高く設定してやらないと、トータルバランスがくずれて浮浪幽霊や妖怪が棲みついたりして、結構大変になるんだぞ!


 普通は魂の地区間移動の申請出して、地区間バランス調整するんだけど、金沢区の死神のヤンニョムのやつがうっかり申請出し忘れて半年放置してたから、今さら稟議書も通らず、金沢区は苦境に立たされてんだよ


 そして、魂の力の強いお前がバランス調整の標的にされたんだ!お前が死んでくれさえすれば、魂のバランスが取れて、何事もなくなる。世界が風邪をひかずに、地区の神様にも怒られずにすむんだよ!』


「なにそれ、、、じゃあわたしはその旨辛チキンの失態のために命狙われてるってわけ?」


『簡単に言うとそうだにゃ

 お前、無駄に魂の力があってな、、、

 丁度マンション5棟分くらいなんだ』


「ぶっ飛んでいる話なのに、そこだけは妙にスケールの小さい話に聞こえるな

 でも、同じ神様なのに、なんであんたは助けてくれるのよ。グルでわたしをドッキリしているんじゃないの?」


『ドッキリなんかであるはずがないだろ

 全く有名でもなんでもない、人間的にも面白くもなんともないお前をドッキリさせても、TVはおろか、SNSでも響かないからにゃ

 ひょんはコンプラリスク管理所属の適正執行アドバイザーで、神とか死神とかの不正や不適切な行いを見つけて、適正化する仕事をしているから、ヤンニョムにはつばをつけてずっと追いかけていたんだよ

 そしたら、案の定不適正な計画を見つけたってわけだ』


どうやらひょんはそれなりにしっかり仕事をする神の一種らしい


しかし、神様の間でも不正や不適正なことが起きていると思うと、本当に世の中は一筋縄では行かないなぁ、と思うもんである


「く、、、悔しいけど、確かにわたしをドッキリのネタにしても響かない気しかしないわ、、、

 でもなんか必要以上にディスられているようで腹が立つわね、、、

 要はあんたは神様の特命を受けて、悪を成敗する特命係長みたいな存在ということね」

  

『そうだにゃ

 ここからようやく本題に入るが、この後お前には、9個の死のイベントが待ち構えている

 鉄骨、車、ダンプカー、流れ弾、河で溺れる、土砂崩れ、爆発事故、鉄球、転落

 これらを全て乗り越えて生き残らないと、ドラマもなにもないということだ

 なにせ、この金沢区担当の死神の年間の死の執行予算の1/4の予算を使った作戦だからな、かなりのビックイベントになるぞ」


「はああぁぁぁっ!?

 なんでわたし一人昇天させるのに、そんな予算をかける

 のよ!?」


>>>>To be continued



→次回予告

 死神のヤンニョムとは何者で、どんだけいい加減な奴なのか?

 

 そんなことよりも、ミハルは莫大な予算をかけた死神イベントで生き残ることができるのか?


 そして、ミハルは結局ドラマのプライムタイムに間に合うのか?


 次回もあまり謎は解けないような気がするので、世の中期待をしないに限ります


 そんなこととは別に、次回も横浜市金沢区は平和そうです

 



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