【神ノ1】恐怖!神様の一種の呪い!
そもそもがどうしてこうなったのか、今思い返してみても訳がわかんない、、、
ミハルはソファーですやすや眠る猫を見ながら思い返していた
く、、、寝ているとなんてかわいい奴なんだ、、、
思わずもしゃもしゃしたくなるではないか、、、
普通であればかわいい飼い猫を躊躇せず抱っこして、すりすりしそうなもんだが、ミハルと猫の関係は違った
お話は6時間前に遡る
〉〉〉〉
「ひょんは神の一種なんだ。突然だけど、お前は選ばれた
から、今日からひょんを飼育しろにゃん」
6時間前に遡ったところの一言目も訳がわからないが、会社帰りに道で寝ているにゃんこを見つけて、写真を撮ろうとした矢先にいきなり猫に声をかけられたミハルはもっと訳がわからなかった
「え?あ、いや、すいません?神の一種なんですか?」
普通はびっくりしそうなもんだが、絶対に間違いなく、この猫がしゃべってるわー、ということがわかると、意外と普通に会話をしてしまうもんである
「そうだ。ひょんは神の一種だ。
あ、ちょっとごめん。この時間は車通りが多くてね、
声が聞こえづらいからもうちょっとこっち寄ってくれる?」
「あ、はあ、、、」
ミハルはひょんの言う通り、声が聞こえるようにしゃがんで顔を近づけると、その瞬間、、、!?
ーピトッ!ー
ひょんはいきなり顔を突き出し、その鼻をミハルの鼻にくっつけた。
猫界隈ではよろこばれる“鼻チュー”だが、好きな猫以外に急にそれをされると、軽く衝撃を受けるものである
そして、その鼻チューの瞬間、二人(正確には1人と1匹)の鼻の間に黄緑色の光が煌めく
それはあたかも未知との遭遇的な感じであった
「なあーっ!いきなりなにすんのよ!」
ミハルは咄嗟の出来事にびっくりして、後ろに尻もちをつく。尻もちってこういったときにするんだな、というくらい絶妙な尻もちであった
「いや、なにって、俗に言う"契約"って奴にゃ。
これでひょんとお前は半径500mから離れられなくなったのだ。」
ひょんは顔を手で洗いながら淡々と答える
ミハルは尻もちついたところをパンパンとはたきながら立ち上がると、顔を思いっきりしかめながら、ヒョンに向かってまくしたてる
「はぁー!?めちゃくちゃでしょ!
完全にだまして契約させてんじゃない!
神様ってこんなことするわけ?」
猫が喋るだけでも驚きなのに、契約とか、変な制約かけられるとか、、、
ミハルはこの頭がお花畑のような展開の驚きと怒りを目の前の猫にぶつけるしかないのだ
「だから、神様じゃなくて、神様の一種だって。
そこんとこ間違えないでよろしく。
ちなみに、お前は今の契約で呪われたから、一日15分ひょんをマッサージしないと寿命が百日ずつ縮まって行くから、毎日心して飼育するんだにゃん。」
「なんだ、その恐◯新聞のパクリみたいな呪いは。
そんで免除設定緩すぎだな、、、
神様の一種というのもわからん。
神様は呪わんだろ。悪魔の類じゃないのか?」
「神様だって呪うことはあるんだにゃ
古今東西、神様は色々な場面で呪いを使ってきたもんだ
お前、神様は人に優しくて、辛い時に救ってくれるとか思っているかもしれないが、神様ってそんなに聖人君主なキャラじゃないからな
ギリシャの神様達なんて子ども食べちゃうし、不倫しまくりの言い訳しまくりの暴力しまくりの奴らだからな
今の人間社会なら、神様全員コンプラ違反で解雇になっている感じだ
だから呪いなんて可愛いもんだ。しかも今回のケースは“神の一種”の呪いだから、そりゃもう超キュートでときめき宣伝部も黙っていないくらいだぞ
お前、浅はかだな。チコちゃんに毎日怒られそうな奴だ」
ひょんは得意げに神様知識をひけらかす
しかしときめき宣伝部はそんな呪いには見向きもしないだろう
しかし、いきなり神様知識でマウントをとられたミハルは黙っていられなかった
「うるせーっ!!!!
そもそも神の一種っていう設定が曖昧なんだよ!!
そこんとこ、何者なんだかはっきりしろ!!
そうしなきゃ契約破棄だ、こんにゃろー!!」
ミハルはそもそも論理思考派というよりは感情行動派である
今回のケースは明らかに"お前が悪いんだろ!"ということを、話をはぐらかしながら、それっぽく論理的に展開することで、さも“自分にも分がある”と装うタチの悪いもので、ミハルが一番苦手で嫌いな展開であった
そんな感情で発してしまったミハルの言葉を巧みに利用するようにひょんが答える
「それはつまりひょんが"神の一種"であることを証明すれば、契約承認ということだな。ならば見せてやろう、これが神様登録証だにゃ。」
ひょんはそういうと、ミハルに一枚のカードを見せる
そこにはその猫の顔写真と一緒にこう記してあった
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【神様登録証】
ひょん
大宇宙の3丁目、銀河系の中の太陽系、第3惑星 地球、
日本国ー神奈川県ー横浜市ー金沢区管轄
神様資格「神の一種」に認定する
大宇宙 神様協会長 神様
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訝しげに見るミハルにひょんが続ける
「結構大変だったにゃんよ、この資格取るの。
なにしろ、超難問筆記試験を7割正当しなくちゃいけないし、その後、面接で、さらには“神の子音頭”の踊りと歌唱の試験まであるんだにゃ。
合格率20%の宇宙資格にゃんだよ。」
ドヤ顔で答えるひょんに対して、ミハルは頭をもたげ、両手で頭を抱えて、虚ろな目でつぶやく
「ツッコまねぇぞ、、、なんか神の子音頭とか、色々突っ込んで欲しそうな感じだけど、お前の思い通りにはさせないからな、、、」
「え?なんですって?
気になってるなら聞いた方が精神衛生上いいにゃんよ」
ひょんがニヤニヤとミハルを覗き込むようにツッコミを入れると、ミハルは怒りをあらわにして叫び返す
「っだああぁぁっ!?このやろー!?
神の一種だぁ?呪いだぁ?
知るかっ!!もー、付き合ってられん!
じゃあな、電波な人間集めて、楽しくやってくれっ!」
そう吐き捨てると、ミハルは向き直って急足で自宅の方に歩き出した
「ちょ、まてにゃ!
変な寝方してたら、足が痺れて動かな、、、
おーい、待てー!大事なこと言い忘れてたー!」
足が痺れてうごけないひょんが、そこまで切迫していない感じのそこそこ大きな声で呼びかけるが、ミハルは無視して歩き去っていった
・・・・・
「あー、だめだわ、、、本当に疲れてる、、、
なんだったんだ?あれ?猫の声が聞こえたのかなんなのか、、、
忘れよう。今日は21時からドラマがあるからな。
その時間までに夜ご飯食べて、明日の支度して、お風呂上がりのビールとつまみの時間とピッタリ合わせなければならんのだ。
アホなことに構って、わたしのプライスレスタイムを奪われるわけにはいかない。
朝ぶつけた足の小指の痛みも、くそ上司の小言も、アホ同僚の巻き込み事故の残業仕事も、全てはこの後のプライスレスタイムを演出するための肥やしだったのだ!」
ミハルはブツブツと独り言を言いながら、早歩きで進んでいく
ミハルは月曜と水曜のドラマと金曜ロードショーのために
生きていると言っても過言ではなかった
その時間に自分を120%甘やかす準備をして、全てを忘れて没頭できる環境を整えて臨むのだ
それはまさに"プライスレスタイム"なのであった
そんなミハルが家路を急ぐ途中、横断歩道を待っている時だった
ーー危ないっ!右に避けるにゃっ!!ーー
ミハルは突然脳内に響いた声に驚きながら、反射的に右に身体を避けると、目の前に ーガシャンッ!!ー と大きな陶器の鉢が落ちてきた
あと一瞬遅ければ、それは確実にミハルの頭に落ちていたに違いない
ミハルはゾッとした
いやもう、ゾッとを通り越して、ゾゾゾッ!?とした
関係ないのだけど、ZOZOTOWNは、「想像(SOZO)」と「創造(SOZO)」という2つの言葉に由来する造語なので、ゾゾッとするような恐怖からきているわけではないことをここに補完しておく
>>>>To be continued
<<次回予告>>
もはやわかりきっている気もするが、脳内に響いた声は何者なのか
そして、結局呪いは有効なのか?どうでもいいけど神様の一種にはどれくらいの能力と権限があるのか
果たしてミハルはプライムタイムを守れるのか?
そんなことの2割くらいが次回にわかるかもしれない感じらしいです
そんなこととは別に、次回も横浜市金沢区は平和そうです