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第5話 カレイを護らねば! カルパス置いていけなの

「なんか箱が動いてるなの!」

「こちら"なんか箱が動いてるなの"ですよ~」

「そんなメニュー無いなの!」


 物音で目が覚めたら、昨日のキス魔小学生がくれた箱の中で何か動いているなの。動くってことは生物が入ってるなの、プレゼントで生物を送るなら言っておけなの。


「非常に凝ったびっくり箱ね、自由研究作品かしら」

「そんなノリはどうでもいいなの、とりあえず外で開けてみるなの!」


 二人で恐る恐る箱を運んで朝日が眩しい外に出すなの。中で氷がぶつかる音がするなの。


「開けたら怖い生き物が出てきて食べられちゃうかも」

「ひぃッ! ここ子供扱いするななの!」

「ペカー!」

「もう開けるなの!? 心の準備がまだなの!」


 うごめく箱に入っていたのは……


「これはカレ……いやヒラメなの!!!」

「カレイね」

「カレイなの」


 ビクビクして損したなの。カレイがワタシをギョロ目で覗いてるみたいで嫌なの。しかもめちゃくちゃアホみたいな顔してるなの。


「カレイ……今日のお昼ご飯は決まりね!」

「え、カレイって食べれるなの?」

「もちろんそうよ! 刺身やエンガワもいいけど、カレイならやっぱり煮付けよね!」


 こ、こいつをお昼に食うなの?

 生きてるこれを刻むなの?


「触ってみましょ」


 と言って、えいやーとカレイを持ち上げるリン。


「何考えてるなの、指噛まれちゃうなの」

「大丈夫よ、カレイは尖った歯は無いし大人しいのよ? それに、質を確かめるには触るのも重要……あら、硬いしぬめりけも問題無し、身も引き締まってて裏のお腹も真っ白よ!」


 リンは前世が漁師だったなの?

 ……確かに箱に閉じ込められてた時より大人しいなの。擦っては眺められるカレイが可哀想になってきたなの。


「こいつを水槽に移すなの」

「水槽は残念ながら無いのよね~……あ、いいものがあるわ!」

「なになになの」


 リンが自信に満ちた笑顔でキッチンカーから持って来た円柱の物体。


「ジャジャーン! フルーツカット用巨大ミキサーよ!」

「ミキサーに入れるなんて人の心が無いなの! カレイジュースになっても美味しくないなのー!」


 カレイが元気にミキサーの中で泳いでても画が怖いなの。カレイもアホ顔でリンを睨んでるなの。


「ん~横倒しにして水を入れればいいと思ったんだけどな~。コードに繋げなければ安心だし……あ、あれなんてどうかしら」

「不安しかないなの」


 鼻歌交じりでランランならぬリンリンで持ってきたものは。


「ジャジャーン! 巨大フライパンよ!」

「ミキサーよりマシになっただけなの! 地獄絵図には変わりないなのー!」


 カレイを入れたフライパンに火を付けたらそのまま茹で上がっちゃうなの。リンは地獄の番人の資格があるなの。


「けどもうこれくらいしか無いのよ? それに、買ったはいいものの使い道が無かったフライパンに就職先が出来て私は嬉しいわ」

「カレイもフライパンもきっと嬉しいと思ってないなの」


 けど箱よりも少し大きいフライパンの方が過ごしやすそうだし仕方ないなの。カレイも我慢するなの。

 フライパンに移されたカレイはおちついてるなの。


「これでお引越し完了ね。後は置き場だけど……あ、フライパンだしコンロの上が丁度良いわね」

「カレイが処刑台に立たされてるみたいで狂気なの、いつでもお前を殺せるぞって脅せるなの」

「何言ってるのランちゃん、私達お昼ご飯でどの道食べちゃうのよ?」


 ……そうだったなの!

 こいつを煮込んで食べちゃうんだなの。


 コンロに引越し完了させキッチンカーから戻って来たリンは、箱に何かを発見したのかしゃがみこむ。


「あ、この箱の縁にメッセージカードが付いてるわ。"子持ちマコガレイさんです"ですって! このカレイ、子持ちカレイだったんだわ! 冬にしか味わえない限定カレイよ!」

「マコ?」

「マコガレイは一般的なカレイ、マコちゃんよ」

「マコちゃんなの……! それにマコは子供がいるなの?」

「そうみたいね、子持ちカレイは煮付けにすると真価を発揮するの。甘辛い感じが絶品よ」

「こ、子供をたくさん食べちゃうなんて……ワタシ達にはそんな重い十字架を背負えないなの。マコもアホ顔のまま恐怖のドン底に陥ってるに違いないなの!」


 あ……これはただのワガママなの。リンが食べたいとワクワクしてる気持ちを壊しちゃうなの。


 やっぱり、マコを美味しく頂く方が……


「ふふ、ランちゃんは優しいのね。私は食べる気満々だったけど、ランちゃんがそこまで言うなら」

「リンが食べたいなら食べるなの」

「ランちゃんが嫌なのに私だけ満足するにはいかないわ」


 ……リンこそ優しいなの。マコはリンに食べられるなら本望だと思ってるなの。


「私一人で食べて欲しいなんて魂胆はダメよ?」

「……じゃあ逃がすなの!」

「逃がすとしたら海に行く準備をしないとね!」

「やったなのー!」


 これでマコを護れたなの!

 キッチンカーの大きな窓から見えるコンロでおやすみ中なマコ。短い期間だけど新しい家族が出来たみたいで嬉しいなの。


 海に行く準備とお昼頃の営業に向けての準備をする中、キッチンカーに近づく一台の車。


「あれ、昨日のリンさんとランさんじゃないですか、おはようございます!」


 あ、突然現れたパトカーの窓から、昨日のカルパスポリスが覗いてるなの。

 朝からお疲れ様なの。


「あらおはようポリスちゃん」

「カルパスくれなの」


 私達の挨拶を、爽やかあっさり笑顔で対応するなの。


「ははは、カルパスは後であげますよ。そういえばわたしの名前言ってませんでしたね、わたしは鰈崎マコって言います、へへッ」


 カレザキ……マコ……?


「マコがここにも居たなの!!!」

「え?」


 なんかポリスの顔がマコのアホ顔に見えてきたなの。ポリスのあっさり顔がぴったり一致するなの。


 あっさりマコがパトカーから出てきたなの。


「朝早くから何してたんですか? 良かったらわたしも手伝いますよ」

「私達さっきまでマコちゃんを食べちゃおうかなと思ってたんだけど、やっぱりやめることにしたのよね~」

「わ、わわわわたしを食べる!? そそんな、昨日会ったばかりでそんな」


 リンの発言に、急に挙動が慌ただしくなるマコ、どうしたなの、カルパスを食べてない禁断症状なの?


「マコは子持ちだし可哀想だから逃がしてあげるなの」


 まあ気にすることないなの、どうせこの警察マコのことなら何を理由でもどうにかなるなの。勝手に慌ただしくしてるなの。


「えええ!? わたしに子供はいませんよ! だから遠慮なく……って違う、違います!」

「マコちゃんを触ると気持ちいいのよね~特に真っ白で引き締まったお腹!」

「い、いつの間にわたしのお腹を……!?」


 お腹をさする照れマコ。お腹痛いならトイレはあそこなの。一人で行ってくるなの。


「けどリンはマコをミキサーに突っ込もうとしてたの」

「え……ミキサーに……?」


 さっきまで真っ赤だったあっさり顔が本当の意味であっさりしてきたなの。


「やっぱり元の氷水に入れる方がいいかしら?」

「……すみませんでした、調子に乗ってすみませんでしたぁ! 氷、氷漬けだけは……! わたしのお腹たくさん触っていいですからあああ!」


 マコが真っ白で引き締まったお腹を出してリンになでなでして貰ってるなの。コンクリの床に寝転がって服従ポーズを決め込むその姿はもはや犬なの。

 昨日のキス魔小学生と言い変な奴ばっかなの。


 撫で終わり満足したマコは、ワタシ達の下準備を手伝い終わった後、リンが朝の事を説明するや否や顔をまた赤くして帰っちゃったなの。マコ、カルパス置いていけなの。


「良し、マコちゃんのお陰で支度も早く済んだし海へ出発しましょ~」

「海がフライパンのマコを待ってるなのー!」

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