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第2話 クリスマスを護らねば! このサンタさん、クーポン配りの働き者なの!

「開けましてお菓子くれなきゃメリークリスマス!」

「はい! "開けましてお菓子くれなきゃメリークリスマス"なのー」


 いちごと餅入りかぼちゃペーストのサンドイッチ"開けましてお菓子くれなきゃメリークリスマス"は、今日十二月二十四日クリスマスイヴの日も好評なの。


 私の横でサンドイッチを受け取ったお客さんに手を振るロングヘアな女の子。


「ありがと~今日は深夜にこっそり家におじゃまするわね~」

「ええ!?」

「クリスマスジョークよ~」


 相変わらずメニューに変なネーミングをつけるこの水月リンは純粋無垢、いや超が何億付いてもおかしくない純粋の中の純粋なの。全ての人類を心から信じ、運命の人と真実の愛を求める世のため人のために自分をホイホイ捧げてしまうような、身体はデカい頭脳はお花畑の幸せ者なの。


 そんなリンは私の大切な親友。

 私はリンの純粋を護らねばなの!


「ふふ、ランちゃんのサンタコスチュームとても似合ってるわ。会社疲れのサラリーマンがたくさん釣れたわよ」

「その言い方だと悪どい手法みたいで嫌なの! それにサンタさんの真似なんかしたら本物のサンタさんが家に来なくなるなの」


 都会の広い通路でキッチンカー営業をするのはいいとしても、目にクマをたくさん付けたお客さんに妙なメニューを売りさばくのは悪行そのもの、ワタシは悪い子だからサンタさんが呆れてプレゼントを寄越さないかもなの。


「それにリンまでサンタコスする必要あるなの? まあワタシより効果覿面だけれどなの」

「ちょっと肌寒いけど今日クリスマスイヴはサービスしないとね! ショーケースの上で見守る千手観音もきっとハッピーよ」

「クリスマスに仏教を混ぜ込むななの!」


 サンタコスのワタシ達を見て千手観音がハッピーになっても、それはそれでどうなの。


「あ、このいちご大福パンを一つ」

「はいですよ~」


 このお客さんも目にクマが……クリスマスイヴの日はこの前みたいにカップルが押し寄せると思ったけど、お仕事頑張りのお客さんがたくさん来るなの。

 この人達は私達と違って良い子なの、そんな良い子と比べてワタシは……


「今日はクリスマスイヴだったね、実は息子がサンタさんグランドピアノが欲しいなんて言い出して……本物を枕元に置くかリビングに置いておくか迷ってるんです」


 そんなピアノ男にリンは身振り手振り全開で慌てふためきながら。


「わわわわお客さんお客さん! サンタクロースは実在……そうね、私たちはサンタさんの真似をしている一般人なだけですよ!」

「そうなのーワタシ達が可愛いからってサンタさんと間違われると困っちゃうなの。そこはメッセージカードに書いて枕元に靴下と共に置いておくなの」


 この人の子供はサンタさんにピアノを頼むなんて相当な徳を積んでいるなの。やっぱり良い子には良いコウノトリから良い子を授かるなの。


「ああそう言うことね……嬢ちゃんもきっとサンタクロースからいいプレゼントを貰うだろうね。この寒い中頑張る君たちを見ると、私も負けてられないと思うんだ」

「……私良い子なの?」

「もちろんさ」


 真面目な顔をしたリンがひそひそ声で。


「お客さんお客さん、サンタクロースは多分煙突からピアノは運べないと思うの、一階の窓から不法侵入出来るようリビングに置いてもらうようにお願いすると良いわ」

「ははは、じゃあリビングに置くと……置いてもらうようカードに書いておくとするよ。じゃあこれで」


 目にクマがたくさんある男は笑顔で帰って行くなの。ワタシが良い子……あの男も笑顔に出来たし徳は積んだなの、これでサンタさんはワタシを認めてくれるはずなの!


 あ、またお客さんがノコノコやって来たの……あの赤い服装、白い髭、あれはまさか!


「おや、君たちも私と同族かい? 今日は寒くて大変ですねえ。さて、じゃあチョコチッププラペチーノを」

「さささサンタさんなの! 本物のサンタさんなの!?」


 さっきまでのスーツ姿と違う、上から下までサンタなの!


「ん? 君も欲しいかい? ほらプレゼントだよ」

「プレゼントなの!? わああ……い?」

「これは向こうのスーパーにあるソフトクリーム屋の引換券だよ、あ、あと今日限定のクーポンもあるけど使う? いやあ私もここずっと働きっぱなしでね、このプラペチーノが身体に効くんですわ」


 このサンタさん、クーポン配りの働き者なの!

 一年中三百六十四日休み放題だと勘違いしてたなの……


「うッ……(勘違いしてて)ごめんなさいなの……」

「どうしたんだい!? ソフトクリーム引換券じゃ足りないかい? じゃあプラスしてクリスマスケーキ五十円引きの……」


 リンはまた身振り手振り全開で慌てふためきながら。


「お客さんお客さん! あそこにソフトクリーム引換券を欲しがっている女の人がいるわ!」


 サンタさんがまた働きに行ってしまったなの。そんなサンタさんを見送るリンが汗だくになってふうと息を吐いてるなの。寒いはずなのに何で暑そうなの?


 遠くでクーポンを渡すサンタが女の人と和気あいあいにしてるなの……ん?


「さっきのサンタさん女の人とホテルに吸い込まれていくなの。これから夜のお仕事に向けて汗水垂らしてせっせと頑張るんだなの」

「クーポンで釣れちゃったわ! いやそうじゃないわ、そう、あそこはサンタさんが集う秘密基地、夜な夜なクリスマスに向けて集まる場所なのよ!」

「そうなの!? じゃあワタシ達もあの秘密基地で一緒にお仕事のお手伝いパーティーするなの! リンランパーティなの~」

「私と乱パ……!!!? ダメダメダメよランちゃん! ランちゃんの無垢は私が護らないといけないのー!!!」


 どうにか無垢を護り通したリンは、キッチンカーの室内ベットでスヤスヤ中のランの枕元にこっそりプレゼントを置くのであった。

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