みくみ山へ
俺の名は、タバタ。自転車を漕いでいる。向かう先はみくみ山だ。
道中自販機でかった茶を前カゴに入れて、燦然と輝く太陽に焼かれている。
自販機で茶を購入がてら、俺はアイツに一報を入れた。
「もしもし、今大丈夫か」
「大丈夫だけど、どーした。タバタ」
「みくみ山に集合」
「おい、それだけかよ」
「詳細はみくみ山で話す」
自転車でみくみ山の麓に着いた。一応、登山口があるらしくそこに自転車を止めて茶を口に注ぐ。辺りを見渡しても、普通の山だという感想しか出てこない。何か不可思議なものを纏っているように感じることはなかった。
「おーいタバタよ」そう言って登山口に向かって自転車を走らせるやつが見えた。マルキである。よく焼けた肌。背中には虫取り網が見える。ガッチリとした体躯。そんな彼は額から汗が滲み出ていた。帽子をかぶっているようだが、涼しさは得られていないらしい。俺は彼に手紙を渡した。例の手紙だ。彼はそれを受け取り、読み終える。
「で、調査?」それだけが発せられた。
「いや、他にあるだろ。もっとこう、憤慨とかさ」
「事実だろ」
確かにその手紙に書かれた挑発は、現状を的確に突いていたと客観視すれば言える。だけども、それでも、こう馬鹿にされるのは心外なのだ。
「で、何するんだ」
「この山に登って何があるのか確かめる」
「まぁそんなところだろうな」
山に登り、神隠しの原因を探る。
それが俺ことタバタと虫取り網装備のマルキの使命だ。
そして、この神隠し問題を終わらせる。