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5話 涙の教会
僕は教会の中にいた。
それも真っ白な世界に行く前と同じポーズで。
しかし変わっていたことがひとつある。
それは司祭様の顔だ。
最後に見た時は威厳のある顔をしていたのに今では顔をくしゃくしゃにして嬉しそうに泣いている。
「司祭様!」
そこで1人のシスターが司祭様の変化に気づき、声を上げながら近付いてくる。
その時司祭様が教会中の全ての人に聞こえるような大声で喋り出す。
「ここに!人類の希望が誕生した!」
,,,,,,は?
「ルイダ=ドイメーンが神より授かりしスキルの名は『勇者』!この者こそが伝説の存在、勇者である!」
この宣言によりある3名の者以外は感動で泣き出した。
ちなみにある3名とは僕と父、そしてジェナである。
僕は脳の処理が追いておらず呆然とし、父は泣いてはいるもののその涙は息子に爵位を譲れず、また労働の日々が待っているという絶望の涙を流し、ジェナは単純に話を理解していなかった。
そして僕は脳内で様々な思いと感情が一気に押し寄せ、涙を流しながらその場で気絶した。
しかし僕の脳には1つの目標が強く残された。
(あの神いつか殺す!)