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5月11日
きっと今、みんなは五月病にかかっているはずだった。
「例年」がどこかへ行った。桜の花びらは見られずに散った。
実感の何もない夏が来てしまう。
私はあなたの春を知らない。
みんな下しか見なくなった。髪の毛が無造作にのびる。飲食店の人達は困っている、みんないなくなった街でいなくなる。
とうとうここにいることが、非日常になってしまった。
どこもかしこも自粛閉店倒産。リーマンショック以上の世界恐慌。
誰もいない実験室、窓の外から入ってくる過去一番の新鮮な空気。
「ふつう」ならここに数十人入って、締め切った状態で実験やらなにやらするはずだった。
はずだった、ばかり。予定はすべて消えるだけ。
涼しいな。寂しいな。