表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

2月1日

 人が多い日だった。

 そのはずだった。聞いてみれば、なんだか新しい感染症のせいでお客が減っているとのことだった。住んでいる側にしては都合がよく、まあある程度の危険性は負うものの、日常品の調達には歩きやすい人の密度だった。

直に止まりそうな人の流れの中で、いつまで営業できるか秒読みの商店街に入っていく。地元ほどさびれてシャッターだらけに成り果てるのを自分は見届けられるのか、考え始めたら頭痛に襲われた。

酸欠になる前に薬局に駆け込んで、切らしていた薬やティッシュやらを購入する。急いで部屋に戻りたくても、急いで息が上がりでもすれば今度こそ気を失ってしまう。

引きこもりには容赦ない直射日光、気まぐれに訪れた小春日和のようなものだった。どうにか進めた足で通り過ぎたパン屋から嫌なくらいに美味しそうな焼けた生地の匂いがした。いつだか食べた気もするが、パンはいくら匂いや味が美味しくたって、うまく消化できないわけでもないのに吐き出してしまうようになっていた。今食べてみたらどうなるだろうか。きっとパンでも、それ以外の食べ物でも、全て余程の空腹でない限り吐き出してしまうだろう。先日買い込んだ水とコーヒーだけが、自分の身体が摂取できる人間らしいものだった。

不健康。だけど、まだ歩いていられるだけ、人間らしいと思われたい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ