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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第二十一章:学園卒業編
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第六百九十二話:特殊属性の相性

 前話の後書きでも言いましたが、後から追加したのでもう一度宣伝しておきます。

 新しい小説を投稿しました。タイトルは『TRPGのゲームマスターはお助けNPCとして異世界を駆ける』です。

 もしよければ、そちらも見ていただけたら嬉しいです。

 属性には相性というものがある。

 例えば、火属性と水属性はお互いに相性がよく、それぞれが同じ威力でぶつかった場合、その魔法は相殺しあう。

 逆に、同じ属性同士をぶつけた場合は変化せず、そのまま残り続けるのだ。

 もちろん、これは全く同じ量の魔力を使って作られた魔法だったらの場合であり、例えばどちらかが魔力がかなり多かったとか、当たり方やタイミングによっても多少変化する。

 まあ、基本的には魔力が多い方が勝つ、と覚えておけばいいだろう。ただ、これは魔力が有り余っている人だけが考えられるやり方であり、基本的には魔法の相性というのは重要だ。

 この相性に関しては、基本属性である火、水、風、土に関しては判明している。すなわち、火と水、そして風と土は相性がいい。

 学園でも教えられていることで、魔術師ならば多くの人はこれくらいの知識は持っているだろう。

 しかし、特殊属性、氷とか雷になるとあまり知られていない。

 特殊属性というだけあって、保有している人が少ないのだ。あまり知られていないのも当然である。

 なので、もしこれを解明できればそれなりに有意義な研究となることだろう。


「さて、とりあえず夏休みの時と同じ方法でいいかな」


 相性が有効に働くのは属性を持つ魔物を相手にする時だ。

 魔物はその生息地や特性によって体自体に属性を持っている。もちろん、属性を持っていない魔物もいるが、属性を持っていない魔物に比べて属性を持っている魔物はその分野の威力が高く、危険度も上がりやすい傾向にある。

 だから、そういう属性に対して有効な属性を知っていると有利に立ち回れるわけだ。

 ちなみに、人間をはじめとした人族は属性を持っていない。適正として使える魔法はあるが、体自体には属性を持っていないのだ。

 これもちょっと謎だけどね。いろんな属性を扱えるからかもしれないけど。


「同じ魔力量で魔法をぶつけてみて、と」


 相性を調べるには、とりあえず条件を同じにして魔法同士をぶつけてやればいい。そうすれば、相殺しあうのか、残り続けるのか、はたまた相殺せずに消えるのかといった状況が見て取れる。

 ただ、私は全属性を持っているからすべての属性の魔法を放てるとは言っても、自分一人でそれをぶつけあうとなるとちょっと難しい。

 元々、複数の属性を同時に操るってなかなか高等な技術らしいしね。

 まあ、できないことはないからいいんだけども。


「とりあえず、結果がわかっている光と闇から」


 私は結界で風を遮断し、小さな箱の中でボール系魔法をぶつけあってみる。

 それぞれ対になるように魔法陣を配置してやって、同時に打ち出してやるだけの簡単なお仕事だ。

 そうして光と闇のボールをぶつけあった結果、闇が飲み込まれる形で消え失せた。


「まあ、やっぱりそうなるよね」


 光属性はその名の通り、光の下で効果を高めることができる属性である。それに対して、闇属性は逆に暗闇の下で効果を高めることができる属性である。

 この二つが全く同じ威力でぶつかり合った場合、それはその時の条件下で変わるのだ。

 すなわち、光が強いか闇が強いかの違いである。

 現在、私が実験を行っているのは訓練室の一角。

 訓練室は至る所にあるが、ここは校庭のそばにある奴だ。

 当然ながら、訓練室は光の魔石によって明るく照らされている。つまり、光で満たされており、暗闇が少ない。

 だから、必然的に光属性の方が威力が増し、闇属性を飲み込んだというわけだ。

 試しに結界で光を遮断し、また同じ条件でやってみる。

 すると今度は、闇属性の方が光属性を飲み込んだ。

 このように、条件下によって変わるが、基本属性と同じように相性がいいのが光と闇というわけだ。


「昼間なら光属性の方が強いけど、夜なら闇属性の方が強いっていうのは他にはない特徴だよね」


 属性の特徴として、光属性は回復や隠密、そして看破などを得意としている。そして、闇属性は拘束や隠密、デバフなんかを得意としている。

 得意なことに同じ隠密があるけど、光属性の場合は光を屈折させることによって姿を見えなくし、闇属性は闇に体を溶け込ませることによって姿を隠しているといった感じだろうか。

 同じような魔法でも属性によって違いがあるのはなかなか面白いよね。


「さて、お次は……氷と雷でもやってみようか」


 続いてまた同じ条件で氷魔法と雷魔法をぶつけあってみる。

 すると、雷魔法の方がいち早く氷魔法にぶつかり、そのまま氷のボールを砕いて見せた。

 魔力の量は全く同じのはずだが、これはどういうことだろう?


「一応、氷属性は水属性に近い属性ってことは知っているけど、そのせいかな」


 属性相性的には雷と水は特に関係はない。全く同じ威力で放ったのなら、恐らくしばらく滞留した後にゆるやかに消滅するはずである。

 ただ、水は電気を通しやすい。だから、必然的に水魔法に雷魔法を放てば、水魔法が雷を帯びることになる。

 これが魔法同士だったら特に何もないが、例えば水属性の相手に雷属性の魔法を放った場合は効果的な場面が多いだろう。

 これは相性云々ではなく、ただ単に水が電気を通しやすいという理由からだと思う。要は、水属性の魔物は水を纏っている、あるいは使うことによって多少なりとも体が濡れる可能性が高いから電気がよく通るということなのだろう。


「とりあえず、水と雷でもやってみよう」


 結果は予想できるけど、実際にやってみなければ研究とは言わない。

 だから、同じように水と雷でやってみた結果、同じように雷魔法がいち早く水魔法に激突し、水のボールは砕け散った。

 予想とは違う結果に少し驚く。まさか水の方が砕け散るとは思わなかった。


「相性がいいってわけじゃないと思うんだけど、実はやっぱり相性がいいのかな?」


 そうでなければ、氷や水の方が負けた理由にならない。

 それとも、雷属性には何か隠された力でもあるんだろうか?

 ひとまず、他の属性でも試してみることにする。


「土は壊れず、火は滞留した後相殺、残りは全部砕けたか」


 結果としてはこんなものだった。

 土が壊れなかったのは、多分土魔法の特性のせいだろう。

 土属性は基本的に防御に特化した属性である。壁を作ったり、穴を開けたりと土を操作するのが土魔法だ。

 土魔法でウェポン系魔法を使う場合、他の属性に比べて壊されにくいという点がある。

 他の属性がエネルギーのような武器になるのに対し、土属性はきちんと実体を持っているからだ。

 魔法での攻撃なら魔法である程度相殺できるけど、実体を持っている場合は話は別。多少なりとも別の手段が必要となる。

 だからこそ、土魔法は防御特化、というより耐久力特化というべきかな。

 そして、火が相殺されたのは、威力が高かったからだろう。

 火属性の特徴は土属性の真反対で威力特化。同じ魔力量でも、水属性相手でなければ押し切れるだけのポテンシャルを持っている。

 火と雷は相性がいいわけでもないから、同じ威力の魔法がぶつかり合って、対消滅したってところだと思う。

 ここから導き出されるのは、雷魔法は威力がかなり高いってことだ。


「つまり、単純に火力不足で負けたってことね」


 確かに、雷魔法は全属性の中でも最速の発動速度を誇る。

 魔法では相性の方が重要視されるが、速度は威力と直結する要素だ。

 それに、雷魔法は高い貫通力を持っているという特徴もあるし、そのせいもあって相性のいい属性相手でなければ並みの相手だったら喰ってしまうってことなんだろうね。

 こうして実際に実験してみるといろんなことがわかって面白い。

 私はしばらくの間研究に熱中していた。

 感想ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] ハクさんが集中(ゾーン)に入った
[一言] 純水は絶縁体だけど、魔法で呼ぶ水は電気を通す =不純物を含んでいるor絶縁破壊が起きているということですね 前者なら不純物の内容を調べ、後者なら地球の物理法則と どの程度の同一性があるのか…
[良い点]  お手軽クッキング感覚で魔法の根源のような実験するハクさん(^^)相変わらずのノリだがそれが良い♪ [気になる点]  たぶんこの世界は人々の概念が魔法の根源に深く根ざしてるんでは?結構以前…
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