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第四百九十八話:今やるべきこと

 ひとまず、今すぐに洗脳をかけてくるような人はいないと結論付け、まずは洗脳の解除を優先することにした。

 もちろん、洗脳についての記録について調べる必要もあるので、そちらはルナさん達にお願いすることにした。

 恐らく幹部達が管理していたと思われるので、一番怪しいのは城だ。どこまでが加担していたかは知らないが、運が良ければすでにエルやホムラの攻撃の巻き添えで死亡している可能性もある。

 ただ、そうでない場合は逃亡した中にそれをやった神官がいるということになる。その場合、資料を持ち逃げしている可能性もあるから厄介だ。

 襲撃から三か月ほど、逃げ出したと思われる教皇達が戻ってくる様子はないが、もし戻ってくるならそろそろ戻ってきてもいい頃合いかもしれない。

 出来ればその前に洗脳を解き、教皇達の身柄を拘束してしまいたいところだね。


「それで、どうだ? 痕跡はあったか?」


「ありますけど、かなり薄いですね。もう呪いとしてはあまり機能していなさそうです」


 ルナさんとの話し合いの後、あの場に残っていた全員の身体を精査した結果、やはりシュピネルさんと同等の呪いの文様が体に確認できた。

 違うのは、シュピネルさんのものよりもだいぶ薄くなっていたということ。

 基本的に呪いはかけられたが最後、自力で解くことはできないはずなのだが、今回は洗脳と言う精神が作用するものが設定されていたためか、その人物の思考に大きく乱された形になったらしい。

 確かに、基本的に自力で解呪できないとはいえ、私がやった予め解析しておけば隷属の首輪を千切れるという方法のように、何らかの例外はある。

 相当強力な部類の呪いだと思うけど、それを自力で解いたとなるとかなり意志が強かったってことだろうね。まあ、ルナさんに関しては私のせいでもあるけど。

 その場で解呪してもよかったが、シュピネルさんの例があるのですぐにやるのは止めておく。焦らなくても今日明日すぐにまた呪いが復活するということもないだろう。まずはお母さんに会ってからだ。


「となると、問題はあの馬鹿どもか。あいつらは元々そんなに好戦的ではなかったはずなんだがな」


「強い力を手にしたら、増長してもおかしくはないでしょう。神代さんを活躍させすぎましたね」


 元々、最初に竜を退けさせたのは神代さんが勇者としての技量を持っていると見せつけるためだった。

 あの時点では、神代さんはただの高校生でしかなかった。勇者召喚の事実を知っていたのは私とエルだけであり、勇者と認めさせるにはある程度の活躍が必要だった。

 だからこそ、あんな演出をしたわけだけど、それで竜など取るに足らないと思われたなら心外すぎる。

 よく考えてみてよ。神代さんは確かに大立ち回りをしたけど、別に竜を殺したわけではない。ただ追い払っただけだ。怪我すら負わせていない。

 そりゃ、本気で殺そうとして怪我すら負わせられなかった人達と比べたら凄いことだけど、逆に考えれば竜はきちんと引き際を知っており、連携も取ることができるということでもある。

 話を聞いただけで勝手に妄想し、それをあまつさえ自分達の力だと勘違いするなど愚の骨頂だ。これに関しては洗脳関係なしに頭が悪いと言わざるを得ない。


「洗脳を解く手段はあるんだよな?」


「あります。ただ、副作用が心配なのでちょっと確認してからになりますけど」


「シュピネルのハクを見る目がどうのって奴か。シュピネル、ハクを見てどう思ったんだ?」


「それは……何といえばいいのか、心がときめくというか、幸せな気持ちになるというか……」


「恋心みたいなものか?」


「そう、ね。それが一番近いと思うわ」


 恋心ねぇ……。

 確かにシュピネルさんは友人のアイリーンさんにご執心のようだけど、それは恋心と言うよりは友情に近いと思う。だから、別に女性なのに女性が好き、と言うわけではないと思うんだけど、そういう感情を抱いてしまうのか。

 確かに言われてみれば、テトもあれから私に色々アプローチを仕掛けてきていたような? よく私の絵を描いてくれたり、時には能力を使って私を再現したりしていた気がする。

 あれは友情故かと思っていたけど、愛情だったわけか。だとしたら、悪いことをしてしまったなぁ。

 ともあれ、あの方法で魂をいじくると私に恋心を抱かせてしまうとなるとかなり面倒くさい。知らずのうちにたくさんの人にやっていたら、みんな私の事が好きになってしまうわけでしょ?

 女性が相手ならともかく、男性に言い寄られても全然嬉しくないし、そもそもそんな形で恋心を抱かれてもそれこそ洗脳しているようで嫌だ。

 まあ、テトもしばらくしたら落ち着いてきたし、多分一時的なものではあると思うんだけど、しっかりさせとかないと危ないかもしれないね。


「他の方法はないのか?」


「浄化魔法を新しく作れればそれでもいいかと。少し時間がかかるかもしれませんが」


「なら、まずはその魔法ができてからだな。もしできなければ、今の方法を使うしかないだろう」


 一応、浄化魔法を作ろうとしたことはあったので、本当に一から作るよりかは楽にできるとは思う。目的もはっきりしているし、イメージもしやすいからね。

 最悪は聖教勇者連盟の人達がみんな私の事を好きになるという展開だけど、そうはならないだろう。難しそうなら、リヒトあたりに聞けばいい知恵を貸してくれそうだし。


「近いうちには完成させますよ。任せておいてください」


「わかった。では、私は洗脳をしていた証拠や関わっていたメンバーの方を探ってみる。何かわかったら知らせよう」


「ありがとうございます。お願いしますね」


 呪いが解けていない状態で洗脳のことについて探らせるのは少し危険かもしれないが、ルナさん達なら既に呪いは機能していないも同然だったし、よほど悪辣な罠が仕掛けられていない限りは大丈夫だと思う。

 念のため、神代さんを同行させることにしよう。神代さんがいれば、大抵のことは何とかできると思うし。


「後やるべきことは……」


 少しやることが多くなってきたので一度整理しておく。

 まず洗脳に関しては、それを行っていたメンバーの証拠をルナさん達に探してもらい、再発の防止に努めるとともに、私が浄化魔法を開発して転生者達にかけられた洗脳を解く。

 恐らくないとは思うが、神官達もできれば調べておいた方がいいかもしれない。使い勝手のいい駒として使うために、上層部が洗脳をかけていてもおかしくないし。

 続いて竜への強い討伐意識だけど、これに関しては洗脳を解けばある程度は解決すると思う。元々、転生者達に竜と戦う理由はないはずだし、洗脳が解ければ自分の考えで竜と戦うかどうかを決めてくれるはずだ。

 問題は神官達は本気で竜は悪だと信じているようなので、彼らに同調して転生者が流されてしまう可能性があること。こればかりは何かしらのチャンスが巡ってこない限りは解決は難しいだろう。ルナさん達がうまく説得してくれることを祈る。

 逃れた教皇達の行方についてはコノハさん達が追っている。帰ってくるにしろ、どこかで再起を図るにしろ、勇者召喚の魔法陣や洗脳の技術を持っていることからして害にしかならないのでさっさと身柄を拘束したいところだ。今は報告が来るのを待つしかないね。

 ……こんなところだろうか? 私がやるべきことはさっさと浄化魔法を開発して転生者達の洗脳を解くこと。単純なようだけど、結構重要な役割だね。


「さて、それじゃあお父さんとお母さんに会いに行こうか」


 私の解呪の副作用について詳しく知りたいし、一度竜の谷へ赴くことにしよう。

 私はルナさん達に別れを告げ、エルと共に竜の谷へと転移した。

 感想ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] どんな現象が起こってるのか( ˘ω˘ )
[良い点]  ハクさんが魂お触り浄化法の弊害についに気がついた模様(´ω`)もうちょいこじらせて、ハクさんもそうはならんじゃろと思った「みんな私の事を好きになる」爆笑展開になってから気がつくのを少ーし…
[一言] 浄化魔法のイメージで何故か洗濯に使う洗剤のCMが思い浮かびました 頑固な呪いもこの通り、驚きの白さ(*´꒳`*)
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