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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第十二章:竜人の少女編
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第三百九十八話:光竜の事情

 あれで満足したかと思いきや、リヒトさんは回復した後再度挑戦してきた。

 まあ確かに、リヒトさんのストレス発散のためだったのに結局私が勝ってしまったし、ブレスを撃った私と違ってリヒトさんは細々とした魔法しか使っていないから消化不良だったんだろう。

 その気持ちは理解できたので、私も快く再戦を受け入れて勝負したのだが……本気を出したリヒトさんはかなり強かった。

 光魔法は雷魔法よりも速度を出すことができるとは言ったが、本当に撃った瞬間目の前にある魔法と言うのはびっくりしたものだ。おかげで回避や防御もままならず、攻撃を食らいまくってしまった。

 それにブレスも強力で、これは流石に光の速度と言うことではなかったが、光魔法によって牽制されているうちに結局食らってしまった。

 ブレスを食らう衝撃と言うのは相当重く、まるで鉄バットで頭を思いっきりぶん殴られたかのような衝撃だった。

 一応、私は全属性を持つ竜なので光属性に対してもある程度の耐性はあったが、結局今度は私がダウンして降参する羽目になった。


「リヒト、大人げないですよ。ハクお嬢様はまだ子供だというのに」


〈申し訳ありません。つい、興が乗ってしまって……〉


 試合が終わり、私に治癒魔法をかけながらリヒトさんはエルに謝っている。

 私も一応年齢上は700歳以上ではあるんだけど、その程度の年齢ではエンシェントドラゴンには遠く及ばない。むしろ、そんな未熟な竜なのにエンシェントドラゴンと渡り合えているだけ凄いことだとエルが言っていた。

 もし、私がエンシェントドラゴンと言えるほどの月日を費やしたらどうなるんだろう。お父さんみたくなれるんだろうか。


「それで、少しはストレス発散できましたか?」


〈それはもう! この上なく楽しい時間でした。ありがとうございます〉


「お礼はハクお嬢様に言ってください。今回の件はハクお嬢様が言い出したことですし」


〈ハク殿下、ありがとうございます!〉


〈まあ、満足してくれたのなら何よりだよ〉


 流石、光属性を司る竜だけあって治癒魔法も一級品のようで、私はすぐに回復することができた。

 リヒトさんくらいのレベルになると、傷のその場回復など朝飯前らしい。死んでさえいなければ治してみせるとも言っていたし、竜の中では貴重なヒーラーなんだね。

 なんか、かなり重要な位置になりそうだけど、この先どんな役職に就くことになるんだろうか。今は療養しているとのことだけど、それもずっとってわけじゃないだろうし。


〈リヒトさんって治癒魔法が得意みたいだけど、竜人の治療とかに駆り出されたりはしないの?〉


〈そういうのはすでに別の竜が担当しているのでわらわにはそこまで回っては来ませんな〉


〈そうなんだ〉


〈あ、ですが、先日かなり重篤な怪我を負った竜人が運ばれてきて、それの治療を担当したことはありまする〉


 光竜は珍しい部類ではあるけど、エンシェントドラゴンに限らなければそこそこの数はいる。特にここは竜の拠点のようなものであるし、そういう人材は確保しているのだろう。

 竜と言うだけで人間で言う宮廷魔術師を凌ぐような超難度の魔法を扱えるというのに、それでも癒せないような怪我を負った竜人と言うのは少し気になるな。一体どんな怪我をしていたのやら。


〈その人は今は?〉


〈竜人の里にて保護しております。村長に聞けばすぐにわかるかと〉


〈そっか〉


 まあ、気にはなるけど、竜人がここに保護されてくるのはいつものことっちゃいつもの事だし、そこまで気にする必要はないかな。

 ホムラとの約束もあるし、あまり寄り道している暇はない。いや、でも、すでにそろそろ日没と言う時間帯だし、これからどこかに行くというなら少し遅すぎるかな? 近場ならば竜の翼があれば数十分もあれば行き来できるとは思うけど、あんまり遅くなるとお父さんが心配するしなぁ。

 まあ、行ってから考えればいいだろう。別に明日でも構わないわけだし。


〈それじゃあ、私はそろそろ行くね。またストレス発散したくなったらいつでも言ってね〉


〈ありがとうございます。その時はぜひとも手合わせくださいませ〉


〈ネーブルさんも、何かあったら頼っていいからね〉


〈……はい、姫様〉


 二人に別れを告げ、私達は竜の谷の方へと飛び立つ。

 人の姿に戻ってもよかったけど、服破いちゃったし、竜の谷なら人型よりも竜の姿の方が違和感はないだろう。

 エルも私の姿に感化されたのか竜の姿に戻ったし、これでちょうどいいかもしれない。


〈えっと、北東出口だっけ?〉


〈そう言っていましたね。一体何を見つけたのやら〉


 ホムラと約束した場所まで向かう。

 出口とか言っているけど、谷である都合上、出ようと思えば大抵の場所からは出ることができる。ただし、それは空を飛べることが前提であり、通常の人が移動する場合や、竜が人の姿に化けて移動する際に使う通路のようなものがある。それが出口と呼ばれる道の一つだ。

 まあ、ここには竜と竜人しかいないからほとんど意味のない通路ではあるけどね。


〈お、来たか。……って、ハク、その姿! なれるようになったのか!〉


〈あ、うん、そう言えば言ってなかったね〉


 封印が解けてしまった際、竜の谷に報告にはきたが、言ったのはお父さんだけでホムラや他の竜達には言っていなかった。

 あの時は封印が解けたなら使いこなせるようにしなさいとは言われたけど、もし手に余るようなら再度封印してもらうことも考えていたし、どう転ぶかわかっていなかったので下手に混乱させるよりかはと思って伝えなかったのだ。

 まあ、私は基本的には人の姿で行動しているし、別に竜になれようがなれまいが大した違いはなかったと思うけどね。


〈やっぱ綺麗だな。そしてちっこい〉


〈ちっこいは余計だよ〉


 ホムラと比べたら私はホムラの半分くらいの大きさだろうか? お父さんとは比べ物にならないけど、ホムラはエンシェントドラゴンの中でも大きい方だ。一番大きいのはアースかな、多分。

 で、一番小さいのが多分リヒトさん。まあ、ルフトさんとかを見てないから私の知っている限りでだけど、ライ達よりは絶対小さい。シルフィがいい勝負かな。

 まあ、大きさ談義はさておき、割といい時間ではある。このままいくかどうか悩み所だ。


〈もうそろそろ日没だけど、ホムラの見せたいものってここから近いの?〉


〈竜の翼なら片道一時間ってところだな。そう遠くはない〉


〈いや、十分遠いよ……〉


 竜の翼で一時間ってことは、馬車なら五~六時間程度かかるだろう。それだけかかるならそれはもう一日に進む距離と大して変わらない。

 竜の飛ぶ速度はかなり早いから勘違いしそうになるけど、人間の移動速度に当てはめるとかなり遠いんだよ。

 まあ、これは私が人として生活しているからそう考えるだけで、生粋の竜のホムラからしたら私の方がおかしいのかもしれないけどね。


〈それだと帰りは夜になりそうだけど、大丈夫?〉


〈大丈夫だろ。夜になったとしても夜目は効くし、何なら帰りは転移魔法でもいいしな〉


〈まあ、それもそうか〉


 急ぎならば帰りの過程を転移魔法で飛ばしても構わないというのは結構な強みだ。その代わり、魔力はかなり消耗するけど。

 そういうわけで、今から行くことになった。一体何を見つけたのか楽しみだね。

 感想ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] そういえばホムラさんとそんな約束してたなぁ
[良い点] エキシビションマッチゆえに勝ったり負けたりの怪獣プロレスも和やかに終了、成長中のハクさんが無敵ってワケじゃないのに内心ホッとする読者でした。 [気になる点] 怪我した竜人(-_-;)なんか…
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