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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第十一章:編入生と修学旅行編
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第三百七十二話:アリシアとカードゲーム

 アリシアとシルヴィア、アーシェが初対面だったように書かれていた部分を修正しました。

 それからというもの、カムイさんはことあるごとに勝負を仕掛けてきた。

 私の事を倒すのを諦めたのかなと思いきや、普通に攻撃しようとしてくる時もあるしで本当によくわからない。

 勝負によって私の事を測ろうとしているのか、それとも遊び感覚なのか、よくわからないが、なんだかんだ早撃ち勝負なら拮抗するのでなかなか楽しませてもらっている。

 今のところまだ勝ち越しているが、負けも結構あるので今後どうなるかはわからない。そのうち早撃ち以外の勝負もしてみたいなとか思っている。


「あ、ハク。ようやく見つけたわ」


 いつものようにちょっかいをかわしつつ、昼休みに食堂に行くと、見慣れた少女が話しかけてきた。

 プラチナブロンドの髪に私と対抗できそうなほど幼い顔立ちの少女。そう、アリシアだ。


「ずっと探してたのになかなか会えないからどこに行ったかと思ったわ」


「アリシア。そっか、今年入学したんだっけ」


 アリシアは私と同じ転生者で、元々は男性だったと言う私と似た境遇を持つ人だ。

 普段はサクさんの道場で指導者として剣を振るっていたんだけど、魔法の才能もそこそこあり、今年から学園に入学することになっていた。

 なんか、エルの死やリハビリによってすっかり忘れてしまっていたな。


「せっかく同じ学園に入学したのに反応薄くない? これでも頑張ってBクラスに入ったんだけど?」


「あ、Bクラスなんだ。おめでとう、アリシア」


「ありがとう」


 学園でのクラスは一年生は入学テストの結果によって左右される。

 Bクラスということは筆記も実技も結構よかったということだ。

 アリシアは最近私の要望でカードゲームの製作にも取り掛かっていたし、勉強する時間なんてあまりなかったと思うんだけど、それでこの結果は普通に凄い。流石はアリシアだ。


「それで、学園生活はどう?」


「早速これが役立ってくれてるわ。ハクのおかげよ」


 そう言ってポケットからカードの束を取り出す。

 それは紛れもなく、現在開発中のカードゲームのデッキだった。


「あ、それ、もう実用化できたの?」


「この前説明会をやったでしょ? あの後、反応が良かったからってテトさんが早速第一弾を発売したわ」


 私の要望と言ったが、実質開発はほとんどテトさんとアリシアに任せてしまっていた。

 途中から私はお兄ちゃんに会いに行くために長く開けてしまったし、帰ってきた後も心の問題もあってなかなか開発に携われなかったのだ。

 だから、もはやこの計画はテトさんとアリシアの二人だけによって進められていると言っていい。

 私から言い出したことなのに全然貢献していないのはちょっと、いやかなり申し訳ないが、すでに発売を開始したというのは朗報でもある。

 この調子で広まってくれたらいいんだけどね。


「売れ行きの方はどう?」


「なかなか好調みたいね。この学園の生徒もすでに何人か購入しているみたい」


 開発がたった二人でよくそこまでできたものだ。

 よほど説明会の反応が良かったんだろうか。その時は春休み中だったらしいから、王都にいた生徒は少なかっただろうに。


「すでに第二弾の発売も考えているみたいだから、今度はちゃんと話し合いに参加してよね」


「うん、いなかった分はちゃんと案を出すよ」


 全部で何弾になるかわからないが、私もそれなりにはまっていた時期があるので召喚獣の見た目や特殊能力に関しては覚えているものも多い。それらを書き出せばすぐに埋まるだろう。

 今度アリシアには何かお礼をした方がいいかもしれない。甘いものでも食べに行こうか。


「それじゃあ、ひとまずこれを渡しておくわ」


「これは?」


「布教用よ。そっちのクラスでも流行らせてみて」


 アリシアが渡してきたのは二つのデッキだった。

 まあ、製作者として布教するのは当然の事か。私もこのカードゲームには期待しているし、遊び仲間が増えることは好ましい。

 私はデッキを受け取ると、そっと懐にしまい込んだ。


「うん、やってみるよ」


「お願いね。私も頑張って広めるから」


 なんだかんだ、アリシアも結構乗り気なのが嬉しい。

 最初は単純に自分達だけで行う娯楽を作るという目的で始めたことだったが、自分達の考えたものが商品として世間に広まっていくというのは結構嬉しいものである。

 ただ、イラストを描いているテトさんの負担が少し心配だな。

 カードに加工する作業は別に人がやっているとしても、この世界に印刷の技術ってあるんだろうか? 今のところ、本は手書きしか見たことないけど、だとしたらテトさんの負担は相当なものだ。

 後でそれとなく聞いておこう。倒れられたらたまったものじゃないし。


「ちなみに、名前はそのまま『サモナーズウォー』になったわ」


「そのまんまだね」


「それが一番わかりやすいから。それじゃあ、またね」


 そう言ってアリシアは去っていった。

 さて、布教かぁ。あんまりそういうことをやったことはないんだけど、いい機会ではあるか。

 私もクラス内では結構交流は広いけど、他クラスではそこまででもないし、立ち寄るいいきっかけになるかもしれない。

 シュリちゃんとかも全然会ってないし。


「アリシアさんもこの学園に入学したんですのね」


「あ、はい。そういえば言っていませんでしたね」


 一緒に昼食を食べていたシルヴィアさん達が興味を示す。

 確か、以前シルヴィアさん達の実家に遊びに行った時に会っていたよね。

 あの後も何度かチャンスはあったんだけど、結局それっきりになっていた気がする。

 でもまあ、今年からは同じ学園の生徒である。

 アリシアも友達が出来たらいいなと言っていたし、友達になってくれると嬉しいんだけど。


「それで、先程の……『サモナーズウォー』でしたか? というのはなんでしょう」


「カードゲームの一種です。やってみますか?」


「ええ、ぜひ」


 早速興味を示してくれる人がいた。

 私は早速だと言わんばかりに先程しまったデッキを取り出す。

 ざっとカードを並べてみるが、デザインはかなり良かった。

 流石テトさんと言うべきだろうか、かなり元のデザインに寄せてあって私にとっては馴染み深いイラストである。

 召喚獣に関してはこの世界の魔物を参考にしているようで、見知った名前の魔物も結構いた。

 デッキタイプとしては『ビートダウン』かな? 攻撃力が高い召喚獣が多い。恐らく初心者用のデッキなのだろう。


「まず、『サモナーズウォー』と言うのはですね……」


 私はざっと説明を始める。

 しばらく開発に携わっていなかったのでもしかしたら設定を一部変更しているかもしれないが、特に何も言ってこなかったってことはそこまで大きくは変えていないのだろう。

 サモナー、つまり召喚士だが、この世界では結構珍しい職業になる。だから、シルヴィアさんもアーシェさんも最初はうん? と首を傾げていたが、説明して上げると合点がいったようでしきりに頷いていた。

 説明をしていると、カードに興味を持ったのかいつの間にか数人の生徒が私達を囲んでいた。どうしようかと思っていたら、サリアが軽く説明をしてくれて少しびっくりした。

 どうやら、私がいない間サリアにテストプレイを任せていたらしい。なるほど、だから知っているのか。

 世界観やルールを知っている人は多いほどいい。私達は休み時間ぎりぎりまで布教活動に勤しんだ。

 感想、誤字報告ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] シュリちゃん? 思い出せない 王子の妹はいないし 何かの事件の関係者だったかなー [一言] 人物紹介がほしくなってきました そういえば王妃様の病気ってなんでしょうかね
[良い点] 〈すっかり忘れてしまっていたな〉 (^皿^;)シドい!初めての転生仲間で学園に入学したばかりの相手にこの扱い、それを軽く流すアリシアもカラッとしたもんですが。本当この2人のベタつかない友情…
[良い点] 久しぶりにカードゲームがしたくなりました! 高校生の頃よく友達と放課後に図書館でデュエマやったなぁ…… [気になる点] 確かアリシアとシルヴィアってどこかの幕間(たぶん五章?)で会ってませ…
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