第六百十九話:配信を終えて
その後も、色々と質問を拾い、時間もいい感じになって来たので、配信を終わることにした。
三期生コラボ改め、妖精の庭。頻度としてはそこまで高くはないものの、期待している人は結構いるのか、次回も待っているという声が多かった。
もしかしたら、次回はオフコラボになるかも? みたいな匂わせをしつつ、配信を終了する。
『お疲れさまー』
「お疲れ様でした」
配信を終え、通話でお互いを労う。
元々、私と話したいという理由から始まった配信ではあるけど、質問を通して、結構話せたのは良好だった。
アプリの話だったり、オフコラボの話だったり、色々やるべきことも持ち上がってきたしね。
まあ、実際にやるかと言われたら、まだわからないけども。
『久しぶりに話せて楽しかったよ!』
『オフコラボはぜひやりたいですね』
『結局どこにするー?』
「私はどこでも構いませんが……」
候補としては、やはりアケミさんの家が一番いいだろうか。
一軒家に住んでいるみたいだし、少なくとも、マンションの一室に集まるよりはいいと思う。
『なら、私の家においでよ。ちょっと狭いかもしれないけど』
「なら、そうさせてもらいましょうかね」
『アケミ、ちゃんと掃除しておかないとだめですよ?』
『う、うるさいなぁ、わかってるよ』
割と狭い狭い言ってるけど、そんなに狭かったかなぁと思う。
オフコラボではないけど、アケミさんの家は前に訪れたことがあった。
普通に、可愛らしい部屋だったし、四人で部屋にいてもそこまで狭苦しく感じないくらいには広かったように思える。
いや、これに関しては、私の基準がおかしいのかな?
私自身は、自分の家を持ち、自分の部屋もあるけれど、それと比べると、確かに狭い。
ただ、私の家は、元々貴族が住んでいた家だし、部屋も相応に大きいから、それと比べたら狭く見えるのは当たり前だ。
それに、友達の家って、あれくらいが普通じゃないかとも思っている。
私も、前世で子供の頃は、よく友達の家に遊びに行ったこともあったけど、あれと比べたら、相当広い部類だと思う。
寝る場所もないくらいの狭さが普通だと思っているから、その基準を当てはめてしまうと広く感じるんだろうね。
友達の家に遊びに行くって言う経験が、子供の頃で止まっているのが良くないのかもしれない。
これを機に、基準をアップデートできたらいいね。
『いつがいいかなぁ?』
『ハクちゃんは、この後異世界に行っちゃうんだよね?』
「はい。まあ、その前にいくつか配信したいとは思っていますが」
『なら、次回の方がいいかな』
次回、ということは、今回の滞在ではオフコラボをする気はないってことか。
まあ、言ってすぐに実現してしまうのも面白みがないし、確認を取ったり、準備もいるだろう。
私からすると、一年くらい後になる計算ではあるけど、まあ、問題はない。
「では、次回来た時に打ち合わせをしましょうか」
『了解。楽しみにしてるね!』
その後、しばらく話した後、明日も早いということで、通話を終了した。
オフコラボ、楽しみではあるけど、少し心配でもある。
ちゃんと溶け込めるかなぁ。
「ハク兄、お疲れ様」
「ありがと。こっちで勝手に盛り上がってごめんね」
「ううん、大丈夫。それより、オフコラボするなら私も行きたいなぁ」
「いいんじゃない? アケミさん達も、乗り気みたいだし」
一夜も参加するとなると、流石に狭くなりそうだけど、まあ、その方が楽しそうではある。
一体何をするのかはわからないけど、楽しみだね。
「次はいつあっちの世界に行くの?」
「決めてないけど、まあ、あと二日三日したら行くんじゃないかな」
基本的に、滞在は一週間くらいを目途にしている。
何か外せない用事があるなら伸ばしてもいいけど、あんまり長居すると、あちらの世界も心配だからね。
ただ、今回は、葵ちゃん関連で信之さんに話を通さなきゃいけないってくらいで、そこまで切羽詰まった用事はない。
信之さんに関しても、別に今回話す必要もないしね。
だから、割といつでも帰れるタイミングではある。
帰るとなると、一夜を連れて行かないとルディに怒られるだろうから、連れて行かなくちゃいけないのがちょっと心配だけど、以前の経験をしてもトラウマすら背負っていない様子を見ると、精神的な面は大丈夫な気がする。
よかったと思う反面、怖がって行かなくなってくれたらいいのにと思わなくもない。
私は、今後の日程を思い浮かべつつ、寝る準備をするのだった。
翌日。今日はRTAの配信をしたいので、ひとまず練習に費やすことにする。
と言っても、ルートはすでに把握したし、覚えなければならない技もそこまで多くはない。
どうせなら、通常プレイを楽しむのもありかな?
なんだかんだ、ルート以外の場所は全然行ったことないし。
「ちょっとくらい遊んでもいいよね」
みんなが神ゲー神ゲー言うゲームがどれくらい面白いのか、この目で見てみるとしよう。
そう思って、新たにデータを作り、ゲームを始める。
オープニングの場面は、すでに何度も見たけど、作り込みは凄いと思う。
一体、これを作るのにどれくらいの労力がかかったんだろうか。想像もつかないね。
「あ、ここ見たことある」
ストーリーを進めていくと、いくつか見覚えのある名前を見つけることができる。
緑の勇者シリーズは、かなり長く続いているが、毎回多少舞台は違えど、主人公は緑の勇者だし、ヒロインはお姫様である。
他にも、村の名前や主要な地域など、同じ名前が使われている場所は多く、過去の作品をやっていればいるほど、懐かしさを感じさせる。
詳しいことは知らないけど、時系列もちゃんとあるんだったかな? 中にはパラレルワールドのものもあるらしいけど。
こうしてみると、よく違和感なくはめ込めるものだと思う。
「ちゃんと同じ世界なんだなって感じられるね」
しばらくの間、夢中になってプレイしていた。
オープンワールドだけあって、本当に行ける場所にはどこにでも行くことができる。
中には、こんな場所行くことを想定していないだろという場所にも、宝箱が置いてあったりして、完全に開発の術中にはまっているなという場面もあった。
お兄ちゃん達ではないけど、こう言う魅力があるから、ゲームってはまるんだろうね。
お兄ちゃん達も、今頃ゲームしているんだろうか。
そんなことを思いながら、時間を忘れてプレイに没頭するのだった。
感想ありがとうございます。