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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第二部 第二十二章:対談企画編
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第六百十八話:妹キャラ

「そういえば、アカリ先輩が異世界に行ったら魔法を使いたいみたいなこと言ってたけど、結局使えたの?」


「ああ、それはね……」


 私はちらりと一夜ひよなの方を見る。

 結局、一夜ひよなが異世界で魔法を使う機会はなかった。

 観光に時間を割いていたって言うのはあるけど、途中から攫われたりして、それどころではなかったからね。

 ただ、代わりにルディから呪文を授かったらしく、それを使って魔法まがいのことはできるようになったようだ。

 魔力とは似て非なる何かを使っている様子だけど、一体何を使っているんだろうか。

 怖いから、使うのはやめさせたけど、こんなことならちゃんと魔法を教えた方がいいだろうか。


「使えなかったよ」


「そうなんだ。それは残念だね」


「やっぱり、こちらの世界には魔力がないから、ある程度の素質がないと使うのは難しいと思うよ」


 これに関しては、仮に使えたとしても、使えたとはあまり言いたくない。

 リスナーさん達はともかく、アケミさん達は事情を知っているから、自分もと言い出す可能性もあるからね。

 護身術として教えるのは別にいいけど、魔法を使うと当然ながら魔力を消費する。そして、魔力はなくなってしまうと気絶してしまうので、回復手段が乏しいこちらの世界では、使うのは少々危険である可能性がある。

 あちらの世界のように、魔力で満ちているなら、寝ればすぐに回復するんだけどね。

 使うとしても、魔道具を使う程度で抑えていた方がいいんじゃないかな。


(コメント)

・魔法を使うのはそう簡単じゃないってことだな

・やっぱりハクちゃんみたいに妖精じゃないとダメなのか

・同じ妖精であるアカリちゃんですら使えないんだから相当難易度高そうだよな

・自在に魔法を操れるハクちゃんが異常なのかもしれない

・うらやま

・ハクちゃんは魔法とRTAの腕は一流だけど、漢字に弱かったりする可愛いところもあるから

・弱点と言えるほどできてないわけじゃないんだよなぁ

・ヒカリンの対談の奴か。あれは委員長と比べるのがおかしいだけだから


「まあ、残念だけどそう言うことみたいだから、諦めてね」


「うーん、残念」


「次の質問に行くのじゃ」


「了解です、のじゃ」


『こんばんは。毎回三期生コラボは大変てぇてぇのですが、オフコラボとかはしないのですか?』


「これは多分、ハクちゃんのことかな?」


「多分そうじゃろうな」


 そう言って、配信画面のみんなの視線がこちらに向く。

 アケミさん達は、同じ学校に通う学生だけあって、リアルでも付き合いが濃い。

 だから、オフで会うのなんて当たり前だし、それは配信でも言っていることなので、そんな三人にオフコラボはどうかというのはおかしい。

 となれば、これは必然的に私に対するメッセージである。

 オフコラボ、ねぇ。まあ、考えていないわけではないけど……。


「ハクちゃんの家って、遊びに行っていい奴だっけ?」


「私は基本的にお姉ちゃんの家にいるので、その場合お姉ちゃんともオフコラボすることになるけど」


「私は全然オッケーだけど?」


「なんか聞こえたんだけど」


(コメント)

・唐突に挟まるアカリちゃんの声

・やっぱりいるんかw

・まあ、三期生プラスアカリちゃんみたいなところあるし

・五人でオフコラボも悪くない

・オフコラボは見てみたい


 一夜ひよなとしては、別に招いても問題ないらしい。

 ただ、ここマンションだから、あまり大勢で集まっていると、近所迷惑になる可能性もある。

 いくら配信部屋は防音仕様になっているとはいえ、流石にオフでコラボするのは難しそうだ。

 となると、私が契約しているマンションの一室で、となるけど、あちらにはお兄ちゃん達がいるし、いくら『Vファンタジー』の社宅みたいなものとはいえ、音は気になる。

 気にしすぎなのかな? 防音仕様って言うのがどこまで効果あるのかがわからないから、ちょっと過剰になっている部分はあるかもしれない。


「アケミさんの家はどうなの?」


「うち? 別にうちでもいいよ? でも、客間はないから一緒に寝てもらうことになるけど」


「それは……まあ、いいですけど」


(コメント)

・これはてぇてぇの予感

・ハクちゃんちっちゃいから何とかなりそう

・アカリちゃんも入って、みんなでハクちゃんを愛でる会になりそう

・みんなの妹みたいな感じ

・実際妹キャラだし


「ちょっと待って、私って妹キャラなの?」


 ちょっと気になったので、思わずコメントを拾ってしまった。

 妹キャラ、まあ、設定上は月夜アカリの妹なんだし、妹キャラと言われたらそうなのかもしれないけど、私はどちらかというとお姉さんキャラでは?

 みんなが先輩とのコラボで困っている時にも助けていたし、先輩との対談コラボでも動じることなくやり切った自覚はある。

 頼れるお姉さん、そんなイメージを勝手に思っていたんだけど、まさか妹キャラと言われるとは思わなかった。

 あれか、やっぱり身長なのか?

 公式の設定では、実際の身長よりよっぽど高く書かれているとはいえ、実際に見せている手はそれとは全然釣り合わない大きさ。だから、みんなそこから身長を予想して、ちっちゃいと思っている。

 で、そこから妹キャラって言う公式になっているんだろう。なんとも遺憾である。


(コメント)

・ハクちゃんは妹キャラやろ

・まごうことなき妹

・普通に妹に欲しい

・RTAとか見てると頼れるところもあるけど、声もそうだし、やっぱり妹かなぁ

・アカリちゃんの妹なんだから妹でしょ


 コメントでも、みんな妹だって言ってる。

 うーん、リスナーさんからのイメージは大事にしていきたいところではあるけど、なんとも複雑な気分だ。

 後ろで一夜ひよながにやにやしているのがわかる。

 後で覚えてろよ。


「私はお姉さんキャラだと思ってたけど」


「頼りになるのは確かだね」


「先輩とのコラボの時はお世話になりました、のじゃ」


「でも実際見ちゃうと、やっぱりそのイメージが強いのぅ」


「ぐぬぬ……」


 これに関しては覆しようもないし、忘れることにしよう。

 妹という部分を除けば、コメントも間違っているわけではないしね。

 私がオフコラボなんてしたら、絶対みんな可愛がってくる。少なくとも、頭を撫でたりしてくるのは確定したようなものだ。

 お店に行った時は、着せ替え人形にもされたし、一緒に寝るなんてことになったら、抱き枕にしてきそうである。

 まあ、抱き枕にされるのはお姉ちゃんで慣れてはいるけども。

 私は、小さくため息をつきながら、実際やるとしたらどこがいいのか思案した。

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抱き枕(ハク)争奪戦が始まりそう
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