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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第二部 第二十二章:対談企画編
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第六百六話:オフの姿

『そこまで言われると実際にハクちゃんを見てみたいですね!』


『確かに。ハクさん、どこかのタイミングで会うことはできませんか?』


 そんなことを言っていたら、二人とも食いついてきた。

 同じ箱に所属するヴァーチャライバーが、個人的に交流するのは別に問題はない。

 問題があるとすれば、まだ配信上での交流が少なすぎるってことだけど、私は別に気にしないしね。

 会いたいというなら、別に会っても構わない。私の方も、先輩の姿は気になるしね。


「いいですよ。ただ、しばらくしたら異世界の方に帰ってしまうので、それまでにお願いします」


『助かります。集合場所は、本社でいいでしょうか?』


『もう、委員長、本社じゃ遊べないでしょう? せっかくハクちゃんに会うんだから、もっと楽しいところがいいと思います!』


『楽しいところというと?』


『うーん、遊園地とか?』


『遊園地……今からチケット取れますかね』


『ダメですか?』


『せめてショッピングとかの方がいいんじゃないでしょうか』


『それも悪くはないですね!』


 そう言って、遊ぶ場所を話し合っている二人。

 それにしても、二人ともこの近くに住んでいるんだろうか?

 『Vファンタジー』は社宅という名のマンションの部屋があるから、あそこを利用しているというならお隣さんという可能性もあるけど。

 というか、もしそうだとしたら、私があそこを全然利用していないことがばれてそう。

 拠点は必要だったから、助かってはいるんだけどね。


『二人とも、遊びに行くなら私も連れて行ってくださいね』


『あ、アカリちゃんも来ますか? もちろん大歓迎ですよ!』


『ハクさんはまだこのあたりの地理に慣れてないかもしれませんし、案内役は必要ですね。アカリ、頼めますか?』


『任せといてください!』


 いつの間にか、一夜ひよなも一緒に行くことになっている。

 まあ、別にいいけどさ。むしろ、橋渡し役としていてくれた方が助かる。

 お兄ちゃん達は、流石に連れて行かない方がいいか。

 いきなり私の兄です姉ですと言われても困惑するだけだろうしね。

 今回のお誘いは、あくまでプライベートである。直接的な繋がりがないお兄ちゃん達を連れて行くのは違うだろう。


「それで、結局どこに行くんです?」


『それなら、あそこのショッピングモールでどうでしょう? 確か、近くですよね?』


『よく行ってる場所ですね。問題ないですよ』


『ではそこにしましょう。日程は……明後日のお昼とかどうでしょう?』


「大丈夫ですよ」


『決まりですね。それでは、当日はよろしくお願いします』


 日程を決め、通話を終える。

 今思うと、思いつきで約束してしまって大丈夫かなと思ったけど、いずれは先輩達とも会わなければならなかったし、それが早まっただけのことだ。

 配信の片づけをして、寝る準備をする。

 予定は明後日か。明日は何をしよう?


「こんなにスムーズに一期生とオフで会う人なんて今までいなかったね」


「そんなに早いの?」


「今の二期生が、最近になってようやくオフで会うようになったくらいだよ」


 一応、これまでにも何度か会う機会はあったらしいのだけど、挨拶するだけだったり、話しても仕事の話だったりと、プライベートで会う機会はあまりなかったらしい。

 それでも、日々親交を深めていって、ようやくそれが叶うようになり、最近では一緒に旅行に行く計画を立てたり、お泊り会をしたりなど、交流も盛んになってきているらしい。

 二期生の面々ですらまだその段階なのだから、最近デビューしたばかりの三期生である私がもう会うことになるのは、相当早いのである。

 なんか、ちょっと申し訳ないね。


一夜ひよなは会ったことあるの?」


「あるよ。オフコラボもしたことある」


「オフコラボ、そう言うのもあるのか」


 今までは、通話越しにコラボするという形だったけど、オフで会えるなら、そう言う選択肢もある。

 なんか、友達の家に遊びに行って、ゲームしたり、お喋りしたり、そう言うのって凄く憧れるシチュエーションである。

 私も、学校に通っていた頃は、そう言う友達もいた。

 高校に上がると同時に疎遠になってしまったけど、今も元気しているだろうか。

 前世での繋がりは、家族を除いてあまりしてこなかったけど、そう考えると、友達や、同僚がどうしているのかは少し気になる気もする。

 会わないまでも、様子くらい見てみるか?

 ……いや、やめておこう。過去の繋がりは大事ではあるけど、私にとっては、すでに終わったことだ。

 家族くらい大切な存在ならまだしも、同僚とは別にそこまで交流があったわけでもないし、友達に至っては、住所も電話番号もわからない。

 今あるものを大切にする方が、いいと思う。


「二人はどんな人なの?」


「配信の通りだと思うよ? 裏表の少ない人だからね」


 リツカ先輩のように、普段と配信の時とでキャラを使い分けている人もいるが、二人はそう言うことはないらしい。

 まあ、そこらへんは会ってからのお楽しみでもいいかもね。

 配信の様子を見る限り、そう悪いことにはならないだろうし。


「じゃあ、楽しみにしておくね」


「うん」


 時間も時間なので、そろそろ眠りにつくことにする。

 結局、明日何やるか決めてないけど、まあ、起きてから考えればいいや。

 そんなことを考えながら、ベッドに入り、目を閉じるのだった。


 翌日。朝起きて、朝食を食べていると、通話アプリに連絡があった。

 どうやら相手はアケミさんのようだ。

 そう言えば、結局まだ連絡していなかった気がする。やることが多すぎて、できなかったという方が正しいかもしれないが。

 朝食を食べ終えた後、通話を繋げる。

 しばらくすると、通話が繋がった。


『あ、ハクちゃん、おはよう!』


「おはようございます。すいません、連絡できていませんでした」


『ううん、大丈夫。配信見てたから、帰って来てたのは知ってたよ』


「ああ、見ていてくれたんですね」


 そう言って、昨日の配信の感想を話してくる。

 今回は、会いたいというわけではなく、安否を確認したかっただけらしい。

 別に、私がどうこうなるとは考えていないだろうが、いつ帰ってくるかもわからないからね。

 もちろん、会えるなら会いたいとも言っていたけど、今日は学校らしいので、それも難しい。

 まあ、会う機会はその内来るだろう。

 学校に行く前だと言うので、軽く話しただけで通話は終わった。

 こちらの世界にも色々と繋がりができて、会いたい人も増えてしまったな。一週間程度ですべてを解決するのは難しいかな?

 私は、滞在期間を延ばすべきかと、思案するのだった。

 感想ありがとうございます。

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